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ALICE IN FAIRY TAIL  作者: 白月兎 夜
怠惰の物語
7/9

不思議の国のアリス⑥

なかなかに遅い投稿になってしまった…

肺に溜まった空気を思いっきり吐き出し、眼前を見据えれば、自らの吐いた息で作り出した大量の水泡の切れ間から、明らかに狼狽えた様子の「クソガキ」の顔が見えた


「えっまだ死んでなかったの?!どうして?!!」


水中だというのに相手の声がクリアに聞こえる。

コレもあの子の能力(ちから)のなんだろうか…


【うふふ、随分動揺してる。…今のうちね。今の内にこの水をどっかにやっちゃいましょうか…】


左手に持った黒の本(ものがたり)からアリスの声が届く。

――どうやら、黒の本(ものがたり)に触れてる間はアリスと会話が出来るシステムのようだ…

その声に頷き、教えられた通りに黒の本(ものがたり)に意識を集中させる


(この忌々しい水を消してしまえ!)


すると、不思議な事が起こった

目の前の空間に亀裂が走ったのである。

ピシピシと音を立てながら亀裂は蜘蛛の巣状に瞬く間に広がり、さらに大きな音を立てて割れ、大きな丸い穴となった。

穴の中は真っ暗でさながらブラックホールのようだ


「何をする気?!大人しく死んでよ!!!」


ミキが自身の黒の本(ものがたり)をこちらに突き付けながらそう叫ぶと、水中がうねりだし、巨大な渦ができる。渦潮の先端はこちらをしっかりと捉え、さながら水で出来た竜のよう…

しかし…


「え…うそ…なにこれ…」


ミキが生み出した巨大な水竜状の渦潮は、空間に空いた穴の中に、音もなく吸い込まれていった。

そのまま周囲の水も、まるで風呂釜の底を抜いたような有様で穴に吸い込まれ、ものの数秒で()()()()全て吸い込んでしまった。

穴が閉じ空間の裂け目が消えると、後にはびちゃびちゃに濡れ散乱した家具や衣類で溢れた汚部屋が残るのみである


「ゲホッ、オエッ…!…はー…ホントに死ぬかと思ったわよこのクソガキ!なんて事してくれんだ!てかこれ海水かよ!しょっぱいな!!」


「…負けちゃった…どうしよう…」


「どうしようもクソもあるか!まずは言う事あんだろうがバカクソガキ!」


やっと喋れるようになったので、口に残った海水に咳き込みつつミキに怒鳴るが、呆然といった様子で床に座り込み、自分の黒の本を抱きしめて途方に暮れてるだけで謝罪はない。

他人の家にいきなり不法侵入し、海水を部屋いっぱいにぶち込みこちらを殺そうとし、あまつさえも黒の本(ものがたり)を奪おうとした。

あまりにも身勝手。あまりにも常識が無さすぎる。

コイツの親はどういう教育をしてるんだ…

…水没してダメになったであろう、愛用のノートパソコンを見て更に怒りが沸いてきた所にタイミング良くアリスが割り込んできた


【愚か者にはご退場頂くとします。反省もしないし、謝りもしない。そんな愚かな女の子には、()()()()うさぎの穴に落ちて虚無を彷徨うのがお似合いよ。殺しはしないわ。でも反省しなさい】


アリスがそう宣言したと同時に、ミキの足元にまたあの黒い穴がぽっかり口を開き


「えっ、なに、嫌だ…助け―――」


そのまま、()()()()()()は穴に落ちていってしまった


【本当に愚かで可哀想な子ね。嫉妬に狂ったあまりに、大切なものをなくしてしまったのね】


ミキが居なくなった空間に響く、アリスの心の底から憐れむ声に、なぜだか自分の胸がチクリと傷んた

次回から主人公は一旦おやすみです

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