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ALICE IN FAIRY TAIL  作者: 白月兎 夜
怠惰の物語
4/9

不思議の国のアリス③

主人公のプロフィール

鏡 有紗(かがみ ありさ)19歳 女性

デブではなく痩せ型。ゲーム漬けだが視力は良い。

容姿は特に決まってないが、ブスではない

耳が雑音を拾い、意識が緩やかに浮上する

雑音の正体は規則的に屋根を叩きつける大粒の雨のようだ


「あれ、寝ちゃってたんだ…」


布団から身体を起こし伸びをする。

部屋の中は薄暗く、出窓からの外灯の光りだけが唯一の光源である。窓に雨粒が当たる様がよく見える。


「雨が降る予報なんてなかったけどなぁ…まぁいいか…」


すぐに興味をなくし、寝落ちる前に枕元に置いたスマホを見れば時刻は19時ジャスト

遅めの朝食を取ったのが11時頃でその後12時頃から15時近くまで動画巡回をしてた

そしてその後は…あ、やばい!

掛け布団を剥ぎ目的のブツを探す

お、あったあった。良かった、ぐしゃぐしゃにはなってなかった…


手に取ったのは黒い一冊の文庫本。

黒一色の表紙に金色の文字で『不思議の国のアリス』と書かれている


――この本と出会ったのはつい昨日の事。朝目が覚めるといつの間にか枕元に置いてあったのだ

部屋には内鍵が掛かってるから誰にも入れぬ筈なのに、寝る前にはそんなものなかったのに、いつの間にか置いてあったのである。

恐る恐る表紙を開いてページを捲れば、なんの変哲もない誰もが知ってる『不思議の国のアリス』の物語。異様な風体をしているだけで、中身は至って普通の文庫本。

何処から来たのかいつから置いてあったのか。なんの目的で?そもそも誰が置いたのか…

例の恒例行事をしに来た母親に、折見てそれとなく聞いてみたが当たり前のように否定された。父親?父親はここ数日帰ってきてないので除外。そもそも私の事など存在ごと忘れてる。本当クソ….

まぁそんなこんなでこの本の扱いを持て余し、一時は得体の知れなさに捨てる事も考えたが、なぜだかそんな気には一切なれず、そのまま放置しても良かったのだが、結局、動画巡回の片手間に読むようになってしまったのだ

部屋の灯りをつけて布団に座り直しながらページを捲る


「寝落ちる直前までこれを読んでたからあんな夢見たのかな?なんだがものすっごい厨二臭い夢だったけど」


『大罪』だの『司る(ソウル)』だの、二次元でしか今日日(きょうび)聞かないようなワード達である


「しかも『怠惰(たいだ)』とか『(うつろ)』って。私に対する嫌味か…」


本当、自虐にも程がある。深層心理では、今の状況は良くないと感じてるからあんな夢になったのか?

いやまさか。

今が一番幸せに決まってる。

だって何もしなくていいんだから。

何も頑張らなていいのだから

誰にも期待されてないし、強要もされてない、命令もされてない

悩む事など何もないはず…


本を片手に立ち上がり、自室のドアに向かいそっと鍵を開ける

ゆっくりとドアを開けようとするが、コツンと「何か」に当たる

笑みがこぼれるのを止められない

慎重に()()倒さないようにドアを開ききれば、その「何か」はすぐに正体を現す


四角いお盆の上に乗せられた、一人前の焼き魚定食。部屋のドア前にデリバリーされた本日の晩御飯である。


「アジの塩焼きしたんだ。美味そう!」


お盆を部屋の中に入れドア閉めて施錠する


働かずに食う飯はいつも美味い

母親がメシウマで良かったと、そこだけはいつも感謝してる

性格は合わないしなにもかも気に食わないが、適当にスルーすればこのような素敵な状況を提供してくれる


「だから本当、今が一番幸せ。願いなんてない。今のままでいいよ」


机の上に置かれた本を眺めながら一人つぶやく


――夢での問いかけを思い出し、そう結論づけた時、出窓から轟音が響いた





すいません、デュエルは次回で。その代わり幼女来ます

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