不思議の国のアリス①
操作が慣れない…
ある日、物語の主人公であるアリスは、お姉さんと一緒に本を読んでいました。本を読みながらぼーっとしていると、服を着た白いウサギが慌ただしい様子で走っていく様子を目にします。
そのウサギは、「もう間に合わない!」と人の言葉を喋りながら走っていくのです。そんなウサギに興味を覚えたアリスは、そのウサギを追って穴の中へと入っていきます。
穴の中に入ると、そこは広間になっていました。彼女はウサギを見失ってしまいます。怖くなったアリスが泣いていると、涙が池となって彼女はその池に落ちてしまいました…
―――――
うーん、なんて良いお天気なんだろうか…
布団にくるまったまま、パジャマ代わりのスウェットのまま、自室である2階の窓辺から爽やかな朝の日差しを浴びつつ下界を眺める
外ではランドセルを背負ったガキ共がギャーギャー朝から騒ぎながら数人で走って行き、その走るガキ共を器用にスマホを見たまま避けるOLさん
さらにそのOLを追い抜かして行く腕時計をチラ見しながら走る若いサラリーマン
下界はまさに朝の通勤通学ラッシュ
皆、目的地まで忙しなく動く
私はそれを悠々と上から見下ろす
まるで神にでもなった気分だ…
うん、いつもの最高に良い朝だ
ドンドンドンドンドン!!!
「有紗!!起きてるんでしょ?!お願いだから出てきて頂戴!!」
ドンドンドンドンドン!!!!
…これさえなければもっと良いんだけどねぇ…
私、『鏡 有紗』は所謂引きこもりなのだ
ちなみにドアを叩き鳴らして暴れてるのは母親。今日も朝からご苦労さま。アンタは本当に不幸な女だね(笑)
――もう、一年近くになるだろうか…特に希望も聞かれず、親に偏差値だけで選ばれた高校を卒業してから、進学も就職もしないでこうして自室に閉じ籠っている。
理由なんて特にない。
ただただ面倒くさくなっただけ。
やる気もないし、そもそもやりたいことも無い。
むしろ18年間親の言いなりによく頑張った。
――だからもう、頑張らなくて良いじゃない…
お、ドアの向こうが静かになった。母親、説得諦めて出勤したみたいだな。良かった良かった。
出窓から離れ、布団に潜り込む。やはりベッド最高!ずっとこのままがいい…
…母親はあんな風だけど、実際は私の事などどうでもいい。気にしてるのは『自分が周りからどう見られるか』だけ。
悲劇のヒロイン気取りの嫌な女
父親はクズ。一言でクズ。
学歴と若い女が大好きで私ら家族なんてどうでもいい人。
今頃は直属の部下の女の子の家であまーい朝を迎えているだろう。…あれ?部下の女の子とはもう破局して、受け付嬢に乗り換えたんだけっけ?…まぁどうでもいいや。あっちも家族なんかどうでもいいだろうし。
あ、でもあのクズ、姉ちゃんにはそれなりに愛情あったなぁ…
姉ちゃんは昔から頭良かった。学歴厨のアイツにとっちゃ最高の娘だったろうな。
…まさか大学卒業と同時に結婚するなんて私にも思いもよらなかったけど…
しかも相手はバイト先の35歳バツイチ店長ときたもんだ。
事後報告された時には父親の顔真っ赤通り越してドス黒くなってたなぁ…その後、姉ちゃんと取っ組み合いの喧嘩になったっけ?
んで、姉ちゃんにコップの水をぶっかけつつ「勘当だ!」って宣言して。
内緒でバイトしてたってだけでもキレそうだったのに、バイト先がチェーン店の居酒屋で、さらにそこに居たバツイチのオッサンのお手付きにされるって確かにヤバいでしょ(笑)
日本最高学府の法学部に行ってたんだから、卒業後はそっちの道に向かうのかと思ってたのに、底辺コースに路線切り替えかよ
まぁ、姉ちゃん自身はとても幸せそうだけどね。勘当宣言されて、この家を出て行く直前に2人っきりで話したんだが、姉ちゃんたらとても綺麗な笑顔でこう言ったんだ
「私はあの人に、生きてく上で一番大切な事を教えて貰ったの。有紗も、そんな人を見つけて幸せになってね」
…姉ちゃんそりゃ無理だな。こちとらまだ誰とも付き合った事もなければ男に興味も無い、しがないヒキニートでございやすよ(笑)
そんな事をうだうだ考えてたら腹の虫が一声鳴き声を上げた
時刻はいつのまにか朝を過ぎて昼になろうとしていた。
飯食ったらログインボーナス取って、動画視聴でもするか…
布団からモソモソと這い出て欠伸しつつ、リビングに用意されてるであろう朝食をとるために、自室のドアを自ら開けるのであった
色々考えたんですが、出てくるヤツら全員悪人のアウトレイジ状態でやっていこうと思います