始まりの詩
薄ぼんやりとした仄かな明かりの中で、母の声が物語を紡ぐ
何度も何度も聞かせて読み聞かせて貰った話
眠れぬ夜の友
とある一人の少女の冒険譚
『不思議の国のアリス』
私はその話が大好きだった
その話は私の中に染み渡り染み渡り、「私」を型作る
幼き頃から聞かされたおとぎ話の世界
夢の世界、不思議の世界
それは私の礎となった
私の力となった
でも
それは忘れ行くもの
成長と共に忘れ行くもの
忘れさせない…
忘れられなくしてやる…
―――――
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「みんな、プレゼントは受け取ってくれたかな?!」
真っ白な何もない空間。そこにひしめき合う何百人もの老若男女の人の群れ。皆一様に虚ろな目をしており、右手には黒い本を持っている。
しかしその中で唯一、知性の輝きを持つ目をした少年が1人で叫んでいた
「人の数だけ物語はあり、人の数だけ罪がある!自らの願いを叶えたければ、その罪を集め数えるがいいさ!」
少年は人々で作られた円の中心でまるで舞うようなオーバーなリアクションで演説を続ける
「どうすればいいか、だって?そんなの簡単だよ!今ここにいる君たち全員で、その本を奪い合えばいいんだよ!やり方は問わないさ。殺しちゃっても構わないよ!そうしてどんどん本を集めて『願い事』を叶えてもらえる価値がある人間を目指すんだよ!それがこのゲームのルールさ!」
人々は虚ろな目をしたまま何も答えない。身動ぎすらしない。ただただ、呆然と立ち尽くしたまま少年の言葉に耳を傾けるのみ
「これでもう理解出来ただろ?!僕が『スタート』って言ったら始めるからね!準備は良いかい?!自分自身の『真の願い』はしっかり持ってたかい?それがなければ話にならないからね!じゃあいくよ?!!!」
少年は右手を大きく振り上げ、高らかに宣言する
「よーーい!スタート!!!!」
そしてその手は振り下ろされた
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こんな感じで初めていきます!