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第81話

 俺とソフィアは特に何事もなく1日を終え帰宅すると、ソフィアの部屋の前でフェンデルが佇んでいた。


「お帰りなさいませ」


「爺や、まさかずっとここで待っていたの?」


「いえ。あの後付近を探索し住居を見つけました。事前に頂いたソフィア様からの資金と私が持っていた資金で分割払いで契約も済ませてきました」


「そう、なんですか」


 ソフィアはフェンデルの行動の早さに驚いているようだ。俺もあまりの早さに驚いたが。


「その件も含めまして、ソフィア様をご案内したいのですが、宜しいでしょうか?」


 ということで、俺達はフェンデルが契約をしたという物件に向かった。



 その物件はソフィアの住む部屋から徒歩数分の距離の場所だ。

 大きな通りから一本路地に入った所で立地としては悪くない。


 建物は木造建築で、外観は何処かの喫茶店のような感じでとてもお洒落だ。


「なんか喫茶店みたいな外観ですね」


 ソフィアも同じ意見のようで、フェンデルに感想を述べた。


「ええ。喫茶店を開くつもりで購入致しましたからね」


「へぇー、そうなんですか。喫茶店を………喫茶店っ!?」


 まさか本当に喫茶店を開こうとしているとは思わなかった。


「はい。まだ腕は鈍っておりませんが、私の年を考慮し、こういった店で稼いでみようと考えましてな」


「で、でも爺やって料理とかは」


「ソフィア様に仕える以前から料理は嗜んでおりましたよ。それにまだソフィア様にお仕えしている頃のおやつのクッキーやケーキ等は殆ど私めが作った物でございます。勿論紅茶等の飲み物も私めが淹れておりました」


「そ、そうだったんですか」


 ソフィアは昔を思いだそうとしたが、そこまで詳しくはなかなか思い出せなかった。


「ソフィア様、ここで立ち話もなんですから、中へお入り下さい」


 フェンデルに言われ、俺もソフィアと一緒に中へと入る。


 中はカウンター席とテーブル席が合わせても15席ぐらいの少し小さな造りだ。


「この机や椅子って元々あったの?」


「いえ、こちらは購入致しました。なので多少値は張ってしまいましたが」


 フェンデルは苦笑しながら答える。


「いつ開店するの?」


「そうですね。材料の確保等を考えると3日後ぐらいでしょうか」


「へぇ………」


 3日で揃えられるのも凄いと思うが、ソフィアは理解していないのか、ポカンとしている。


 その様子を見てフェンデルはくすりと微笑んでいた。



 ☆     ☆     ☆



 そして3日後、フェンデルはここで喫茶店フローラと命名し開店した。


 フローラは花という意味を持ち、名前の由来はソフィアとフェンデルが暮らしていた国のフルーリエは花が多く咲いていたことに由来しているらしい。


 メインはコーヒーや紅茶の飲み物とクッキーやケーキといったものだが、サンドイッチやパンケーキ等も提供し、軽い食事が出来るようになっていた。


 近所の人達からは近くに喫茶店が出来たことで好評らしく、最初の軌道は上手く乗ったといってもいいだろう。


「美味しー!!」


 その喫茶店の一角でココナがケーキを口に頬張り歓喜の声を上げていた。


「紅茶、美味しい」


 向かい側ではミレイが静かに紅茶を飲んでまったりとしていた。


 そして、ソフィアはというと。


「こっち注文お願いします」


「はーい」


「ケーキまだ~?」


「もう少々お待ち下さい」


 店内を忙しなく動き回っていた。


 フェンデルも予想以上の客の数にコーヒーに紅茶、サンドイッチにケーキ等の準備に追われていた。


 この日はジャネットの講義はないので自由登校になっていた。


 なので、ソフィアはココナとミレイを誘い、フェンデルが開店した喫茶店へとやってきたのだ。


 そして来てみればこの状況。


 ソフィアはフェンデルに手伝いの申し出をして、フェンデルもあまりの忙しさに渋々と手伝いを頼むことになった。


「フローラちゃん、こっちも注文お願い」


「はーい、ただいま」


 そして、いつの間にかソフィアが店名であるフローラと呼ばれるようになっていた。


 ソフィアは忙しくて、特に気にしていないようだ。


 ソフィアの服装は突然の手伝いだったので、清楚な感じの服の上からエプロンを付けているだけなのだが、客からは好評で、振り向く時にエプロンとスカートがふわりとするのが、可愛らしくて男性女性問わずに目を奪われていた。


「あのお方、渋くて格好いいですわ」


「そうですね。ここの常連になろうかしら」


 そして、フェンデルも容姿と紳士的な対応で、客の女性陣の視線と心を奪っていった。


 そして夕方になり、この日は当日分の材料が無くなったということで、店を閉めることになった。


「ソフィア様、本日はありがとうございました」


 フェンデルは片付けながら、ソフィアにお礼を言ってきた。


「私も楽しかったし大丈夫です。お手伝いが必要なら言って下さい」


「ソフィア様、なんてお優しい」


 フェンデルはソフィアの言葉に薄らと涙を浮かべていた。



 ☆     ☆     ☆



「気持ちいい…………」


 ソフィアは自宅へと帰り、風呂で汗を流した後、ベッドに横になり、俺(猫)のマッサージを受けていた。


 どうやら足が疲れて張ってしまっていたので、俺(猫)の全体重で揉みほぐしているのだ。


(それにしても、なんで風呂上がりの女はこんなに良い匂いがするんだ)


 猫の嗅覚のせいもあるのか、ソフィアからは甘く良い香りが漂ってくる。


 しばらくの間、ソフィアの太ももを踏み続けていると、規則正しい寝息が聞こえてきた。


(ん?寝たのか?)


 ソフィアの顔を覗き込むと幸せそうに眠っていた。


 俺は風邪を引かないようソフィアにタオルケットを掛けてやる。


 そして、俺は明かりを消して、定位置であるソフィアの枕元で眠ることにした。


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