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最強魔法使いで先生になるはずの俺が教え子の使い魔に!?  作者: 雅國
第1章 運命の出会いと再会~最強魔法使いが使い魔に~
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第4話

 俺がソフィアの使い魔になってから数日が経った。


 今俺は、ソフィアの両肩に首を跨ぐような形で乗った状態で、以前俺が暮らしてフォルティス教育機関学校の校門に立っていた。


「ここがフォルティス教育機関学校」


 初めて見る巨大な建物に圧巻されて、腰が引けている制服に身を包んだソフィア。


 この学校の制服には魔法式が組み込まれており、そこらへんの剣や魔法ならば防げるという優れものだ。


 男子はブレザーにスラックス、女子はブレザーにスカートという普通の制服だ。


 まぁ、ここのトップのある男のせいで、女子のスカートは少し短めなところはあるが。


 そして、ソフィアと同じ制服に身を包んだ生徒達が次々と校門に吸い込まれていく。


 この学校は3年制になっており、授業という名の厳しい試練を全てこなした者がレジスタンスにそのまま入隊出来る場所だ。

 生徒数全体は100人いるかいないかぐらいだ。

 少ない理由は、レジスタンスになれる素質を持つ人間が多くはないからだ。


 魔法で犯罪を犯す者を倒すには、それ以上の魔力や技量が必要となる。


 この世界の人々は皆が魔法を使えるが、それはあくまで生活を補助する程度の魔法しか使えないのだ。


 だから、中には途中で心が折れて、退学していく者も決して少なくはない。


 そんなこともあり、ここの生徒達は少しピリピリした空気を醸し出していた。


「えっと、新入生は・・・」

「にゃっ!」

「リアン?」


 俺はソフィアの肩から飛び降り、道案内をすることにする。


「にゃっ!」

「こっちへ来いってこと?」

「にゃう」


 周りの生徒達は、ソフィアが猫の俺と会話しているのが珍しいのか、怪訝な顔で見てきていた。


 だが、俺はそんなことは気にせずに、ソフィアの案内をすることにする。


(ま、恐らく新入生は講堂にいくだろう)


 俺の見当は当たっていたらしく、新入生と見られる生徒が全部で30人ぐらい集まっていた。


「この人達もレジスタンスを目指しているんだ」


 自分と同じ目標の人達がいる。

 そのことで少し安心感が出たのか、ソフィアの顔が少し緩んだ。


「おい見ろよ。悪魔の子がいるぜ」

「っ!?」


 近くにいた男子生徒がソフィアのことを見てそんなことを言ってきた。


「うわ!マジだ!目の色がちげぇ!悪魔の子だ!」


 近くにいた気の合った友人なのだろうか。

 その友人らしき男子生徒もソフィアを指差して嘲笑ってきた。


 すると、他の生徒もソフィアを遠巻きから見て、ざわついてきた。


「っ!!」


 ソフィアは何か言いたそうにするが、何も言わなかった。


 俺はソフィアを見てあることを悟った。


(ソフィアは昔からこのような虐めを受けてきたんだ。これはあまりにも酷過ぎる)


 今の俺はただの猫だ。


 ただただ、そんなことないと思いながら、ソフィアの足元で寄り添うことしか出来なかった。


「「悪魔の子!悪魔の子!」」

「うぅ・・・」


 ソフィアの綺麗な色違いの綺麗な瞳は次第に涙を溜めてきた。


 それを見た俺はこのガキ共を魔法で吹っ飛ばしたい思いでいっぱいになってきた。


「何を騒いでいるんですか!!」

「「っ!?」」


 そこに俺が聞きなれた声が響き渡った。

 すると、生徒の中から「炎の竜姫」とか「勝利の女神」とか聞こえてくる。


(そういえばジャネットのやつって炎の魔法が得意だけでなく、ギフトで『炎鱗』も持っていたもんな)


 ジャネットのギフト『炎鱗』は炎のドラゴンと同様の力を出すことが出来ると言われている。


 炎の魔法は一切効かず、炎を纏い、灼熱の炎で全てを焼き尽くす。


 そんなことから付いた代表的な通り名が『炎の竜姫』だ。


 そんな彼女、俺の補佐をしてくれていたジャネットは、俺の居住空間であった研究室を破壊し、俺を吹っ飛ばした張本人でもあった。


「・・・・・・・・」


 ジャネットは厳しい視線で辺りを見渡すと、ソフィアの目がオッドアイであることに気が付いた。


(この子が悪魔の子って呼ばれていたという訳ね)


 ジャネットは事の経緯を把握すると、ソフィアの方に近付いて来た。


「貴方がソフィア・ミールさんね」

「え・・・はい。そうですけど」

「「「「「っ!?」」」」」


 あの炎の竜姫のジャネットが悪魔の子と呼ばれているソフィアのことを知っている。

 その事実に生徒達は驚きを隠せなかった。


「貴方は私と一緒に来るように」

「わ、わかりました」

「うん、いい子ね。えっと・・・後は」


(なるほどな。俺が行方不明になったから、専任教師をジャネットが引き継いだのか)


 俺は今の発言で学校側がどのような対処をしたのか理解出来た。


「にゃああぁぁぁぁぁぁ!!!!」

「「え?」」「にゃ?」


 いきなり響き渡った声に俺とソフィア、ジャネットと他の生徒もそちらを向く。


 すると、講堂の扉が突然破壊され、一人の金髪ツインテール少女が俺達の方へと突っ込んできた。


「きゃあっ!!」「にゃう!?」


 その飛んできた少女に俺とソフィアは巻き込まれてしまう。


「にゃ・・・にゃにゃ!?」


 俺は身体を起こそうとするも、身体が2人の少女に挟まれて動くことが出来なくなっていた。

 というか、俺はソフィアのスカートの中の純白のパンツに顔を突っ込んでおり、身体はソフィアの太腿と飛んできた少女で挟まれていた。


(やばい!柔らかくてあったかくて良い匂いがする!!保て!俺の理性よ!保ってくれ!!)


 俺はただ理性を保つのに必死になっていると。


「いたたたた・・・」

「きゅう~・・・」


 ソフィアは意識はあるようだが、飛んできた少女は意識を失っていた。


「にゃうにゃう!!」

「あ、リアン!」


 ソフィアが俺が挟まっていることに気が付くと、すぐに解放してくれた。


「大丈夫?」

「にゃ、にゃあ」


 何とか大丈夫という感じに答えると、ソフィアはほっとした顔をした。

 危うく理性が飛びそうだったけど。


「貴方達!大丈夫ですか!」

「わ、私は大丈夫です。でもこの子が・・・」

「えっと・・・うん。この子がココナ・ユースフィアさんね」


 ジャネットは気絶している少女、ココナを抱き抱えた。


「ミールさん、付いてきて下さい」

「は、はい」


 ココナと呼ばれる少女を背負ったジャネットに、ソフィアと俺は後ろを付いて行くのだった。


 そして、講堂に残った生徒達は俺達のやり取りを見て、ただ呆然としているのだった。

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