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第14話

「ミールさん、ユースフィアさん、この後少しいいかしら?」


 ある日、授業が終わるとジャネットが話しかけてきた。


「大丈夫です」

「ココナも大丈夫」

「ありがと。それじゃあ、ちょっと付いてきてくれる?」


 ジャネットに案内されたのはあまり使われていない練習場だった。


 人も自分達しかおらず、少し寂しい場所だ。


「貴方達の魔法をしっかりと見させてほしいのよ。授業の一環だけでなく、私の指示で魔法を使ってほしいの。本当はもっと早く見てあげたかったけど、私が時間作れなくてごめんなさいね」


(なるほど。ジャネットも忙しいから今まで見れなかったのか。その分俺は研究だけだったからこの2人の相手には良かったというわけか)


「ユースフィアさんからいきましょうか。少し貴方のこと見てきましたが、確認したいことがあるわ。あ、その前にミールさんにギフトのことを話しても大丈夫かしら?」

「うん!ソフィアにならいいですよ」

「ミールさんは?」

「私もココナになら大丈夫です」


 確かにギフトは人には教えないのが基本だ。

 特に今後レジスタンスで働くのであれば尚更に。

 ギフトを知られれば、生死を別ける場合もあるぐらい重要なのだ。


「ユースフィアさんは暴発するみたいに魔法を唱えてなくても発動するときがあるわよね?最近もあるのかしら?」

「うーん・・・あれ?最近はないかも」


 確かに最近は一緒にいることが多いけど、暴発はしていないな。


「それでは、向こうに向かってファイアボールを撃ってもらっていいですか?」

「はい!ファイアボール!!」


 すると、巨大な火球が放たれた飛んでいき、壁に衝突し爆発を起こした。


「もう1回いける?」

「はい!ファイアボール!」


 すると、さっきとは比べ物にならないほど小さな火球が飛んでいった。


「あ、あれ?」

「やはりこの線が濃厚かしら」


 うん、今ので俺もココナのギフトがわかったような気がする。


「ち、違うんです!もう少し休憩すればまた凄い魔法撃てますから!」

「そうね。ユースフィアさん、ここの学校に来る前に魔法はどれくらいの頻度で使ってましたか?」

「え?うーん、毎日使う時と何日も使わない時もありました」

「・・・恐らく、ユースフィアさんのギフトは『全力』もしくは『全開』と見るのがいいかもしれないわね」


 俺もその辺りが妥当だと思う。

 何の魔法でも、使えば今ある全ての魔力をその魔法に込めてしまうギフトだと、今までのことに説明がいく。

 暴発するのは魔力が溢れすぎている時や、身体能力を上げるつもりがなくても、無意識の内にそのギフトのせいで魔力が放出されるからだろう。


「これで決まりというわけではないわ。あくまで候補だから、後はユースフィアさん自身で考えてみて」

「『全力』と『全開』・・・・わかった!気を付けて考えてみます!」


 ココナは自分のギフトのことがわかったので、少し嬉しそうだ。

 だけど、扱いが難しいのを理解しているのか、いつもより真面目に頷いていた。


「次はミールさん」

「はい」


 そして、ソフィアの番だ。


「貴方の『ギフト』は恐らくレジスタンスにはとっても有り難いと同時に危ういものである可能性が高いの」

「・・・どういうことですか?」


 俺はソフィアと常に一緒にいるが、俺もギフトについてはわかっていない。


 いや、1つだけ言えるとしたら、ソフィアの魔法は魔法障壁とかを無視出来るかもしれないってことぐらいだ。


「恐らく貴方のギフトは『障壁貫通』である可能性が高いわ。貴方の魔法は障壁を貫通していることが多いから」

「な、なるほど」


 確かにそれなら障壁が張ってあっても意味がないな。


「一応これが今のところの私の見解よ。あくまでも今言ったのは可能性があるって話よ。そこだけは覚えておいて」

「「わかりました」」

「それじゃあ解散しましょうか」


 ジャネットの話は終わり、解散となった。



 ☆     ☆     ☆



「ココナのギフトだと、魔法はいざって時に使った方がいいってことだよね?」

「話を聞く限りだとそうなるのかな」

「うん、気を付けよう」


 帰り道、2人は教えてもらったギフトについて話しながら帰っていた。


「それにしても、ソフィアのギフトって実戦的だよね」

「う、うん」


 確かに『障壁貫通』のギフトだとするならば、魔法戦闘に関してはメリットが大き過ぎる。

 戦闘において魔法障壁は誰もが使う防御魔法だ。

 それを貫通するのであれば、ソフィアが先手で魔法を撃てれば勝てるというこだ。


 避けられたら意味はないが、それでも大きなアドバンテージであるのは変わりはない。


「でもそれって強い魔法が使えないと意味がないよねぇ・・・」


 ソフィアは1人ではまだ強い魔法が使えない。

 そのことを言っているのだろうけど。


「え?ソフィアってクエストの時、強い魔法バンバン使ってるじゃん」

「そ、それは・・・」

「ん?でも練習の時はそうでもない?」

「・・・・・・・」


(練習の時は俺は手を貸していないからな)


 ソフィアは魔力制御がしっかりと出来れば、俺より強い魔法使いになれる。

 それは直接ソフィアの魔力制御している俺が一番わかっていることだ。

 だからこそ、俺の手を借りなくても、いつしかしっかりと魔力制御をしてほしいのだ。

 あくまで俺が助けてるのは、ソフィアに魔力制御の見本としてほしいから。


 そのおかげなのか、最近は少しは魔力制御も成長してきている。


「あ、もしかしてクエストの時のソフィアは気持ち良さ」

「違うから!それは違うから!!」


 ソフィアは顔を真っ赤にし、慌ててココナの口を塞いで抗議する。


「で、でもいつもパンツ濡れて」

「わぁー!わぁー!わぁー!!」


 ソフィアは耳まで真っ赤にしてココナの言葉を遮るように叫ぶ。


 最初のクエスト以来、ソフィアは替えのパンツを持っていくようにしている。


 理由は俺が魔法制御をすると、帰りにはパンツが濡れてしまうからだ。


 なので、クエストが終わったらいつもパンツを穿き変えているのだ。


 今のところ、そのことを知っているのはココナぐらいだろう。


「わかった!もう言わないよ!」

「うぅ・・・ココナのいじわる。もう口聞いてあげないもん」

「ごめん!パンツ新しいの買ってあげるから許して!」

「もう!ほんとにもう!!」


 ソフィアは首から上を真っ赤にして、ココナに突っかかるのであった。


 何かソフィアの精神年齢が下がっているような気がする。


 俺はそんな2人の会話を後ろから付いていきながら、聞いているのだった。

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