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4.この世界の学友たち

「ふふふ、おはようございます、ゼスト、ディッシュ。今日はちゃんと来たのね、ゼスト」


「お、おう、おはようティリア。昨日父上に怒られたからな。今日からはちゃんと出るよ」


 物凄い笑顔のティリアが俺たちの後を付いて来る。まあ、同じ教室だから当たり前なのだが。


「それは良かったわ。今日は帰りまでしっかりと授業に出てもらうわ! 帰りも一緒に連れて帰ってやるんだから」


 ティリアは何かの使命感にかられながらそんな事を言ってくる。だけど


「ああ、悪いけど、今日から放課後は父上のところに行かないと行けないから無理だ」


「って事は第3兵団に?」


「ああ」


 俺はそれだけ言うと、先に進む。ディッシュも俺の隣を歩き、ティリアは変わらず俺たちの後ろで何かを考えている。


 そのまま教室に入ると


「おっ、今日は来たんっすね、ゼスト君」


 眼鏡をかけた三つ編み女子が俺に声をかけて来た。彼女の名前は、エマ。魔道具研究のエキスパートで、珍しいものがあったら解体して調べないと気が済まない変人だ。


「あはは、もうサボっちゃダメだよ、ゼスト君」


 そして、この困ったように笑う金髪の少女は、メアリー・テイラー。テイラー商会の一人娘で、魔術の適正が高いため入学した少女だ。


「全く、あなたは私のライバルなのですから、しっかりと授業には受けてもらわなければ。次のテストでは、私が勝つのですから!」


 この前世でもガリ勉君みたいな奴が、レイク。平民だが、かなり頭が良い。座学なら俺と毎回トップ争いをしている男だ。


「まあまあ、みんな落ち着いて。ゼストも少し魔が差しただけだよ。ねっ、ゼスト」


 この女性を虜にする笑みを浮かべるイケメンは、カインズ・バルメロイ。バルメロイ公爵家の長男。将来の公爵様だ。全魔術適正があるという天才だ。


 そして


「カカカ、俺も偶にはサボってみようか。親父がいないここが1番気が抜けるしな」


「何をバカな事を言っているのですか、兄様は。周りの目を考えて下さい。全く、ゼスト、あなたのせいですよ。これは私自ら調き……指導しなければなりませんね!」


 全く呑気な事を言う金髪の男と、少し危ない事を言っている金髪の女子は、このミストラル王国の王族の2人。


 男の方はゼリック・ミストラル。女子の方はメイリーン・ミストラル。この2人は双子で、ゼリックが将来の国王になり、メイリーンはカインズと婚約をしている。


 この6人とティリア、ディッシュ、そして俺を含めて、黄金世代なんて呼ばれていたりする。全くの不本意だが。


 他にも成績が優秀な奴はいたりするのだが、何かに特化していたり、総合的に成績が良かったりするからだ。俺たちの教室、特進クラス30人いる中でも、特に成績が上位の9人になる。


 そして、その中でも総合成績がトップなのが、何故か俺なのだ。まあ、記憶の中の俺は、かなり努力していたみたいだからな。そんな俺が急にサボったものだから、周りがこんなに騒がしいのだ。


「おら、席につけよ……っと、今日はちゃんと来てやがるな、ゼスト」


 周りから色々と言われていると、グレル先生が教室に入って来た。その後は自分での席へと座る。


「まず初めに、お前たちに言っておかないといけない事がある。ゼリックやメイリーンは既に知っているかもしれんが、隣国であるシックザール帝国から、犯罪者がこちらに逃げ込んだと言う話がある。

 この情報は1週間前のものだから、もしかすると王都あたりまで既に来ているかもしれん。王国兵団が捜索中だが、万が一何か情報があったら教えて欲しい」


 ……本当に物騒だなこの世界は。この世界は前世に比べてかなり命の重さが軽い。魔獣に襲われたり、盗賊団に誘拐されたり、今回みたいな犯罪者に殺されたりと。


「まあ、この王都にいる限りは安心しろ。なんせ、俺がいるからな! ガッハッハ!」


 そう言って高笑いするグレル先生。確かに、王都には王国兵団に近衛団もいる。その内捕まるだろう。この時の俺はそんな軽く考えていた。


 この事が甘い考えで、この出会いが、俺の目標を決める事になるとは、この時の俺は想像もしていなかった。

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