ねじれの美(1)
寂しかった。
孤独に耐えられなかった。
ただそれだけだった。
私は弱い人間だ。
いや、正確には「弱いと認識している自分」に酔いしれていたのかもしれない。
私を理解してくれる人。
本当に望むものはたったそれだけだった。
寂しい時に、辛い時に寄り添ってくれる人。
物質的な物は特に必要なかった、心さえ繋がっていればそれで良かった。
でも、求めるばかりの自分はあまりに醜くて欲張りで傲慢で。
そんな事は分かっていた。
だから、たくさん行動した。誰かを理解しようとした。施そうとした。
たくさんたくさん自分なりに頑張った。
結果としてここ数年の私は荒れていた。
気付けば多くの男性と交際していたが、同時に多くの大切なものを失っていた。
現在の交友関係ですら、失うのは非常に悲しいのに、これから作られるであろう人間関係の可能性まで失っていた。
多くの出会い別れを経た後、世間は私を「憂いを帯びた男好き」と呼んだ。
しかしそれは、私が望んだものではない。
本来の私でもない。
でもいくら自分が本来の自分では無いと言った所で、他人の目に映る自分も、紛れも無く自分なのである。
私は、自分が「傲慢な人間」だと気付いた時には、全てを失っていた。
もう何も失いたくない、傷付きたくない。
友達も恋人も、周りからの評判も。
何もかもだ。
何かを手放していたのは、傷つけていたのは、他でもない自分だ。
その事に気付いてはいるものの、状況は今も変わらないままだ。
こうして、再びまた誰かに優しくしてしまっている。
誰かの心に、頭の片隅に、自分と言うものを置いてもらおうとしている。
誰かに空虚な温もりを与えてしまっている。
―神さま、もしも願いが叶うなら、自分が劇的に変わるきっかけを下さい。
弱い私に、救いの手を差し伸べて下さい。