3話「王」
今俺は王都エスポワールの王、アルド・エスポワールの前で跪いていた。
別に悪いことをしたわけではなく、やはりというべきか王には跪くのが当たり前のようだ。
俺の隣で同様に跪いているフォルゲン隊長に教えてもらった。
さて、なぜ今こんな状態かというと取り調べ中に呼ばれたからである。
簡潔すぎて何言ってるかわかんなくなってきた。あとこれ日本語あってる?大丈夫?ここ日本じゃないからセーフかな?
話が脱線した。兵隊さんが伝令を伝えに来たときフォルゲン隊長に緊張が走ったのを俺は見逃さなかった。
それほど危ないのだろうか。もしかして俺はこのまま死刑なんてことになるのではないだろうか。
それは勘弁してほしい。俺はまだやりたいことがたくさんあるのだ!童貞も捨ててないし……
話を戻そう。俺は王の前に跪いているが、実はまだ王の顔を見ていない。王が来る前から跪き床とにらめっこしていたから。
「ふむ、面を上げよ」
王から床とのにらめっこやめていいと言われたのでお言葉に甘えて王の顔を見ることにしよう。
「……」
「どうした?」
「……いや」
フォルゲン隊長が小声で話しかけてきた。俺が何かを思っていると思ったのだろう。
その通り、俺は考え事というよりも違和感を覚えていた。
顔を上げて王の顔を見た瞬間もやっとする感覚におちいった。何だろうかこのもやっとする感覚は。
王の見た目が王らしくないだとかそんな直ぐに気付くようなものじゃない。もっとこう、内面的な?
身なりとしてはよく想像される王なんだよな。
いいものを食べてるのがわかるほど出ているお腹に、豪華な服、貫録を感じる声や顔。
極めつけは王冠だ。だけど貫録を感じるのだけれど……
「フォルゲン、貴様の隣におるものが例の異世界人か?」
「はっ、その通りでございます。」
「ふむ」
こうしてみるとちゃんと仕事してるんだなと思う。
「異世界人よ名を名乗れ」
「ユウマ・アマノです」
きっと外国と同じだろうと思い名前をユウマ・アマノと名乗っていおいた
「ユウマ・アマノよ、如何様にしてここに来た」
「はぁ、如何様にと言われましても聞いているかと思いますがドアを開けたらここに繋がっていまして。いつの間にかドアも消えていて戻れなくなったのですが」
俺が王に対してフォルゲン隊長に行ったことと同じことを言う。すると
「貴様!王に対してその口の利き方は何だ!」
「そうじゃ!平民風情が王に対してなんと無礼な!即刻打ち首じゃ!」
うわぁ平民風情とかいってるぅ。
貴族と思われる人たちが俺の口の利き方が気に入らなかったみたいだ。
だが俺がいた世界には、いや住んでいた国には王なんてものは居なかったのでわかんないんです。
言ったところで聞きもしないのだろうけど。
「静まれい!今は我が話しておる貴様らは黙っておれ!」
「……っ」
王の覇気というべきか、貴族たちが押し黙った。
「ユウマ・アマノよ、質問を変えよう。何をしにこの世界へ来た?」
「来たくて来たわけではありません」
「本当に何も知らずにこちらへ来たのか?貴様はこれからどうする、元の世界へと戻りたいと思うか?」
「はい、本当に何も知らないです。こちらに来たときは戸惑いました、今も戸惑っています。元の世界へは帰りたいと思っていないので、これからこの世界でのんびりと生きていきたいと思っています」
「ほう、なぜ帰りたくない。貴様が何も知らないどこの手先でもないのであれば元の世界へ帰りたいのではないか?」
「……それは」
帰りたくないのはこの世界を征服するとかそんなものじゃない。そんなものに興味はない。
ただ、あちらの世界へ帰ると嫌な思い出ばかりしかないからだ。こんなことを言っても信じてもらえるかわからないが……いや、誰も信じないんだったなここの王は
「どうした?」
「元の世界へは嫌な思い出しかありません。あの世界に戻るくらいなら死んだほうがマシなほどです」
「……そうか」
エスポワール王は何かを考えたように間を置き相槌をうった。
そのとき、俺はまたもやっとした感覚を感じた。
「判決を言い渡す!異世界人ユウマ・アマノを無罪とする。ならび被害者であることを認め必要最低限の衣・食・住を半年保証し仕事を与えよう!!!」
「「「!!??!?!?!??!」」」
「王よ!誠ですか!?この様なものを!得体のしれないものを!」
「黙れい!これは我が決めたこと!貴様らは口出しをすることは許さん!」
貴族たちは王の判決に反対のようだった。それもあたり前の反応なのだが。
この王……やっぱりもやっとする。俺に対し衣食住に仕事を保証(衣食住は半年だが)し、甘いと思っていたら貴族たちの反論を一切受け付けない独裁。
この王はどうしたいのかがわからない。一体何を考えているんだ、この王は。
「フォルゲンよ、貴様はユウマ・アマノにこの国の案内役を任せる」
「はっ」
「うむ」
王の事を考えているうちにフォルゲン隊長が俺の案内人になったようだった
連日投稿果たしたぜ