15話「メイド」
ちゃんと投稿できましたよ!
「やはりあの方は必要なのです」
「しかしまだ安全面の確証も十分ではありません。それにあの悪魔がいます」
「それでも」
緑色、いや翡翠色の髪、目をした豪華な服で身を包む少女とメイド服のようで騎士の鎧のような服に身を包む女性が一人ある男の話をしていた。
その男は異世界から来たといっていた。国王は特に何もしないままその男に衣食住の保障をしそれ以来その男にかかわっていない。しかし少女はなぜかその男が気になり自分の専属である密偵にその男の動向を探らせていた。
男の名前はわかっている。国王との謁見のときに名乗っていた。確か名前を・・・・・・。
「ユウマ・アマノ。私はこの人に合わなければなりません。この国の未来のために、何よりもお母様とお父様のために」
「姫様」
翡翠の色をした髪と目を持つその少女そして、その色の名前を持つ少女・・・・・・ヒスイ・エスポワールは決意する。ユウマ・アマノに合いこの国のことを話すことを。一般人である者には絶対に話さないような内容までも話そうとの覚悟を持って。
その決意を無駄なものにしないように徹底して動こうと同じく決意したものがいた。メイド服のようなそれでいて騎士の鎧のような服を着ている女性。真っ赤に燃えるような髪に目を持つフレア・ノール。
ヒスイの専属メイド兼騎士として長く使えてきた彼女はまだアマノを信用していなかった。どこの馬とも知らない男に大切な姫を合わせるのに抵抗がある。
だからこそその抵抗が後に足を引っ張ることになるのだがまだ関係のない話である。
△▽△▽
俺は今ノアさんの家の前に来ている。昨日ノアさんと約束したのだ明日解決しましょうって。若干いったことと違う気がするけどそんなことは誤差だ誤差気にするんじゃありません。そんな細かいこと気にしてると禿げますよ?
この世界にはインターホンというものがない。まぁ科学が発達していないのだから当たり前といえば当たり前なのかな?全く持って発達してないというわけではないのだけれど。それでも元の世界と比べたら電球って何?だ。もっと言ったら『どうやったら光るんだろう』という段階にも入っていない。
元の世界ではすでに当たり前のようになった科学でもこの世界では新しい発見でそれだけで一生暮らしていける。たった一回電気を科学で生み出すだけで一生だ。それほどこの世界では科学は発達しておらずすべて魔法で事足りていた。むしろ科学なんて必要とされていない。
発達した科学はそれこそ魔法だなんて聞いたこともあるっけれどやっぱり科学は科学だ。何かしらの理論とかがあるが本物の魔法はそんなものあって無い様なものだ。
考えてみてほしい。科学で火をおこそうとした時何が必要になる?可燃物・酸素・熱だ。だが魔法なら魔力だけでいい。ね?意味わかんないでしょ?可燃物も酸素も熱もいらない。科学を真っ向から否定してるぜ?しかもどれかひとつが無くなった消えてしまうようなものじゃない。科学だったら消えてた。
ちなみに可燃物と酸素はわかるが熱がどうしてなのかという人もいるだろう。火じゃないのかと。そもそも火をつけるのになぜに火を使うのかという突っ込みはしないでおこう着火石とかあるし。
自然発火というものがある。これは可燃物がある特定の温度になると近くに火が無くとも燃えてしまう現象だ。森林火災は意図的なものもあるけれど夏場に起きる森林火災は大抵自然発火だ。熱で火をおこすものの中で一番わかりやすいのが虫眼鏡だろう。
虫眼鏡で太陽光を可燃物に一点集中して当て続けるとそこから燃えてくる。ある意味では自然発火とも言えるけどこれは間違いなく燃えるのに必要な3つの条件がそろったことを意味する。
可燃物・酸素・熱。熱とは即ち火といっても過言ではないのかもしれないな。
ってか何の話してんだ?確かインターホンの話してなかった?
この世界ではインターホンの代わりに魔法で人が来たことを感知することができるのだとか。魔法ってスゴイナーアコガレチャウナー。俺も使えるんだけどね!
ちなみに特にこれと言った動作もなく本当に監視カメラで確認してるぐらいのもの。だから体を魔法陣に通すとかそんな事は無い。ちょっとがっかり。
そんな馬鹿なことを考えていたらノアさんがやってきた。
「おはようございおはようございますアマノさん。今日はありがとうございます」
「おはようございますノアさん。まだお礼を言われるような事をしてませんのでお気になさらず」
そう、今日は昨日ノアさんが言っていた悩み事を聞きに来た。なんとなく嫌な予感がしなくもないけど気にしないのが男の子です。
「それで?一体相談とは?」
「はいそれなんですが」
俺はノアさんからオルマ邸で起こったことを聞いた。完全に幽霊的なものだと直感した俺は速攻で断ろうとしたが。
「それは面白うですね。是非調べましょう」
なんてこったアンの野郎勝手に決めやがった。主人である俺を差し置いて勝手に決めやがったぞ!なんなんこの子本当に俺の事主人とみてるの?
「ソウダネ」
アンが乗り気で受けてしまった以上俺が断るのも気が引ける。関係ないと言えば関係ないのだが。まぁ部下のやらかしたことは上司が面倒みる的なものですよ。ただし最初だけな。
「ありがとうございます」
ノアさんはなんだかお礼ばかり言ってる気がする。
△▽△▽
さて、問題のオルマ邸までやってきたわけですが何でしょう。あの豚野郎にはもったいないほどの豪邸なんですがそれは。
ええ、うっそだーあの豚野郎だよ?そんなやつにこの豪邸!?ふざけんなよ何で門くぐってから10分近くも歩くんだ!何で家の庭にハウスがあるんだ!?何でプールがあるん?なんでマーライオン的なものもあるの!?何ここふざけてんの喧嘩売ってんの?
「この屋敷潰せばもっと人住めるんじゃ?」
なんてもっともなことが頭によぎったらそのまま口に出していた。それを聞いていたノアさんも流石に苦笑いを隠しえないようだ。
「確かにその通りですね。この家を取り潰して土地を売ればここだけで何十件と家が建てれるでしょうね」
「すみません」
「いえ本当の事ですから」
しまったな、ノアさんにいらんダメージを与えてしまった。ノアさんにはこれから幸せになってもらわなきゃいけないんだ。メルクのおっさんとも約束したしな。亡霊に一方的にだが。
例のうめき声が聞こえるという部屋にやってきた。1回の隅の部屋だった。ますます霊的な何かが出てきそう。やだなー入りたくないなー。
「さ、ご主人様行きましょう!」
何でこいつこんなに目をキラキラさせてんの?目がシイタケ状態なんですけど。そんでもって超いい笑顔なんですけど。どういうことだってばよ。
やはり悪魔なのか。悪魔だから霊的なものが好きなのか。それとも部下にするとか言い出したりしてしまうのだろうか。可愛い子の幽霊だった大歓迎だけど。そうじゃない。
「んじゃ入るぜ」
俺がドアノブをひねりドアを開けて部屋に入る。入った感想として至って変わったところはない。普通の部屋だ。だけどやはり部屋数が多いからなのかここにはものが少ない。本棚が3台と机が一前。たったこれだけ。机の上に紙と筆?的なものが置いてあるがそれはノーカンだ。
「ノアさんここってどんな部屋何ですか?」
「すみません私にもわからないというよりも覚えていません。この屋敷に最近帰っていませんでしたので」
ですよねー。分かるわけないか。
「んーあれだこの部屋みたいに物が少ない部屋って他にもあるんですか?」
「はい、如何せん住む人間の数に対して部屋の数が圧倒的に多いので。この部屋はまだいい方です。ないところは何も無いですから」
つまり本棚と机があるこの部屋はまだましな方だと。うーんでもなんだろこの違和感。何故だかとても違和感を感じる。それが何なのかと問われれば答えに困るのだが。
俺はなんとなくどんな本があるのかを見に行こうとした。それが原因だったのだろうか突如魔法が発動した。
「これは?」
「ふむ」
「?どうかしたですか」
ノアさんは気付いていないようだ。しかしそれは確実に発動してしまった魔法。俺とアンは気付いて警戒したがアンの言葉によりその警戒を解く。
「これは魔法範囲の中のあらゆるものを反響反発させる魔法ですね。しかもなかなかうまく仕掛けられていて魔法に敏感な上級者にしか発動がばれないようにしてあります」
「反響反発、どうやらそれがうめき声が全体で聞こえる要因だな」
だがそのうめき声は一向に聞こえてこない。むしろ俺とアンの声が反響してやまびこのようになっている。うるさいほどではないけれど若干うざい。
しかし発動がわからないように細工をしてあるか。つまりうめき声を全体に響かせ恐怖状態にしこの部屋から一刻でも早く出したいわけだ。
「こりゃ何かあるな」
「なければここに来た意味がありませんよご主人様。私の場合既にありませんが」
アンは声の正体が既に霊のものではないと確信しているようだ。だからなのだろうか、さっきまでキラキラしていた目が今では初見の神アニメとして噂のやつをネタばらしを食らった目になっている。いわゆるレイプ目だ。
そんなに霊が良かったのかこいつ。俺はどっちかと言えば心底ほっとしてるんですが。
「あの、なぜこの部屋にはこのような魔法が」
「んーなんででしょうねぇ。きっと何か隠したいもんがあったとしか」
言いながら俺は本棚に近づいた。そしておもむろに一冊の本に手をかけ引くと。
ガタン。ゴゴゴゴゴと音を立てながらあら不思議、机の下に階段ができた。漫画とかだと本がスイッチ代わりになってるとか思ってた時期が私にもあります。現在進行形。
「マジかよ金持ちだな」
「そっちですか」
アンが若干あきれたように言ってきた。
そんなあきれたように言わなくたっていいじゃないですか。だって男のロマンではあるけれどこれを実際にやろうとすれば大金が必要になるだろうよ。地下掘ったりばれないように細工したり。
考えただけでも震えが止まらない。
「アマノさんどうかしました?」
「お金が飛んでいくことを想像したら怖くなった」
「今ですか」
ノアさんもあきれたようだ。
さ、気を取り直して。この地下へと通ずる階段を下りていこう。ノアさんも来るのだろうか?なんだかノアさんには見せない方がいい気がする。別に証拠とかないけど。子供たちが学校でよかったよまったく。
この世界は貴族の子しか学校にいけないとかそんなに遅れていない。なので一般家庭の子でもちゃんと学校に行き勉強できる。俺はしたくないけど。
話がそれた。
「ノアさん……」
「言わなくても分かります。行きましょう」
俺がとやかく言わなくても言いたいことが分かったようだ。分かったうえで一緒に付いてくると言っているのだから俺はそれを否定したりしない。
「わかりました。行きましょう」
「はい」
「アンもいいな?」
「ご主人様がよろしいのなら」
アンも賛成してくれたようなので俺はそそくさと階段を下りて行った。
しばらく歩いたがどうにも明かり無く暗い。そこで光属性の魔法が使える俺は小さな光の玉を手に平に出しそれを照明の代わりにしている。
こんな魔法の使い方してみたかったんだよね。この魔法は光魔法が使えれば誰にだって使える。レベルが1でも使えるし別に情報も流れてこない。ただ玉をイメージするだけなのだから。言ってしまえば呼吸と同じ。意識してやろうとしたら当然できるし、意識しなくてもできるそんな魔法。
だけどその魔法は案外役に立つときがある。みんな戦闘には使わないけれど俺は使っていこうと思っている。初心忘れるべからずってやつだ。
光の玉をだし一気に明るくなったことにより今まで歩いてきた道がよく見えるようになった。若干かび臭いと思っていたがまさかカビだらけコケだらけとわ。何故苔があるし。それに錆か?つまりここは鉄製のものでできている?
頑丈に作る理由は何なのだろうか。ただたんに地下だからなのだろうか?今はそんなことはどうでもいい。
「汚いな。かび臭いと思ってたが健康に悪いなここ」
「私は大好きです」
「君は黙ってな。ノアさん大丈夫ですか?」
「ええ、今のところ。コホッコホッ。すみません」
うーん。アンは論外としてノアさんはきつそうだ。掃除とかしたいところだけれど道具とかないし、今はそんなことをやりに来たわけじゃない。
と俺は良いことを思いついた。思い出したというべきか。確かクリーンという魔法があるはず。俺の愛読していた本の中にはあったがこの世界にはないかもしれない。それでもちょっと期待を込めて探してみる。
ヒット!洗浄……補助系魔法
なんと補助ですか。まぁそうだろうな。
「洗浄」
するとみるみるうちにカビや苔、さびなどが消えていき奇麗な空間へと早変わりした。超便利。ナニコレ向こうの世界でも欲しかったんですけど。
「ありがとうございます」
「いえいえ」
「ご主人様のいけず」
「君はキャラをどうしたいんだい?」
僕にはもうアンが如何したいのかがわからないよ。なんてちょっと笑いを交えながら進んでいくとある部屋が見えてきた。その部屋に入った俺たちは先ほどまでの軽口を言える状態ではなくなっていた。なぜならそこには。
「こりゃひでーな。生きてんのか」
「微かながら全員生きてますね」
「そうか」
そこにはいくつもの折があり、その中にはかつてメイド服だったものであろう布を纏ったボロボロの女性たちが居た。男は居ない。また別のところに連れていかれたのだろうか?それとも。
「メイドばかり?」
「お父様は執事は雇わなかったのです。男には興味ないと」
おっふ。なんて理由だよあいつ。俺的には執事も必要だと思うよ?いろいろ力仕事とかさ。
しかしどの折の中を見てもとてもじゃないけどいい気分はしない。糞尿なんて当たり前きっとクリーンを発動する前はもっとひどかっただろう。今でこそ匂いもなくなっているが。
そこいらに散らばる食材も腐っているものからまだ比較的新しいものまである。こんなことをするのに飯は与えているのか。ただただ無意味に苦しみを長引かせてるだけじゃないか。
だが餓死する手もあっただろう。それをしなかったのはきっとさせてもらえなかったのだろう。
「フェイ!」
ノアさんがある折の中に知人を見つけたのか名前を叫び名が折に手をかける。
「お嬢……様?」
「フェイ……あなた、足が」
フェイと呼ばれるその女性はくるぶしから先がなくなっていた。見るに堪えないその光景は子供達にはきつかったであろう。本当に学校に行っていてくれてよかった。
「お嬢様……生きていらしたんですね。よかった」
「フェイ?だめよ!目を開けてフェイ」
フェイさんはノアさんの顔を見れて安心したのだろうかゆっくりと目を閉じて安らかに眠ろうとしていた。
が俺がそんななのを許すはずもない。俺はこの世界で楽しいセカンドライフを送りたいんだよ。まだ3日目だそれなのにいきなり目の前で人が崩れ死にゆくさまなんぞ見たかねーんだよ。
「範囲回復」
フェイさんだけでなく他にもいたメイドさんであろう人達を一緒に回復していく。フェイさんはすでに初老に差し掛かっているようだ。さっきまでよくわからなかったが範囲回復のおかげでよくわかる。
「これは」
「初めましてユウマ・アマノです」
俺はフェイさんに自己紹介をしてすべての折を壊して回る。すべての折を壊し終えたところで。
「さぁ、地上に出ましょう」
△▽△▽
「私はお嬢様にお仕えいたします」
「それがフェイさんの望みなら俺は構いませんが。ノアさんは大丈夫ですか?」
「お給料が払えないので少し困りましたね」
やはりノアさんは今貧乏なようだ。貧乏と言ってもその日に食べるものが困るほどではない。ただメイドを雇う以上給料が必要だろう。その給料を払えるほどのお金はないということだ。
「お嬢様お給料なんていりません。私はお嬢様のお世話ができれば。昔みたいにお嬢様の笑顔を見ることができればそれでいいのです」
「フェイ」
ノアさんはフェイさんの言葉に感動しているようだ。昔よく育ててもらった人から言われたその言葉はとてもうれしいだろう。
「フェイ……私ね子供が居るの。アルドとメグっていうのよ。ちゃんと二人にも紹介しないとね」
「お嬢様」
うんうん。いいことだ。ノアさんがまた一つ幸せをつかむことができただろう。ナンシー家の事はフェイさんに任せよう。フェイさんの事はナンシー家に任せよう。互いが互いを助けあう関係になることを祈っていよう。
さて、問題は他のメイドさんたちである。一応みんな俺の今住んでいる家に来てもらっている。まずはお風呂に入れてあげなければ。
お腹もすいているだろうがこんな汚れだらけの恰好で食べさせるわけにもいかないので速攻でお風呂を沸かせた。ただやはりお腹も減っているので温かいスープで時間を稼いだ。
材料はお腹がすいているだろうから帰りながら八百屋や肉屋、その他にもいろいろ回り事情を説明したらみんな泣きながら食材をくれた。後日ちゃんとお金を渡そう。
ちなみに呉服屋にもよっているので店主にとりあえず着られるものを急いで用意してもらった。あとでお金を払いに行くと同時にちゃんと好みの服を買ってあげよう。
「それで君たちはこれからどうするんだい?今働く場所がないんだろう?」
元メイドの皆さんは他のメイドさんと顔を見合わせたりしながらどうするのかを考えている。
「他のところのメイドになるもいいし、実家に帰ってゆっくり仕事を探すのもいい。俺に仕えてもいい。これから先の事は君たちが考えな」
冷たい気もするが俺も無償で助けていくわけにもいかない。俺にだって生活があるんだ。と言ってもそうそう死にかけたりしないけど。
総勢20人位いるけれどその程度なら全然養っていける。ちょっと難易度の高いクエストやれば稼げるからね!
メイドになった理由はそれぞれだろう。家が貧しいために出稼ぎをしにきただとか、メイドにあこがれていたからだとか。
実際の理由は知らない。聞いていないのだから知り由もないだろ?
「ま、すぐに答えは出ないだろうからしばらく家でゆっくりしてきな。一応さっきまで死にかけてた身だしばらく安静にしないとな」
「しかしご主人様、この者たちをすべて養うおつもりですか?」
「しょうがないだろ?」
「なぜご主人様がそこまでするのですか?あのフォルゲンとか言う者に任せればよろしいのでは?」
ふむ、フォルゲン隊長にまた仕事を増やすのか。そろそろフォルゲン隊長の生霊が出てきそうで怖いんですけど。
「それに事の発端はそこの小娘の親がしでかしたこと、責任はその小娘がとるべきでは?」
「確かにアンさんの言う通りですね」
ノアさんがアンの指摘に対して表情を暗くしながら同意していた。ノアさんは関係ないような気もするが当のメイドさんたちからすれば親を止められなかった子にも恨みを持つだろう。その証拠にフェイさん以外のメイドさんはノアさんに対して恨みを持った視線をぶつけている。
フェイさんはノアさんの事を子供のころから知っているゆえかノアさんの事をそんな目で見ていない。むしろ何とかしてあげたそうにしている。
「アン、何をそんなにイラついてるのか知らんがノアさんにはその資格がないんだよ」
「というと?」
「ノアさんは責任を取るにはかかわりがなさすぎる。それにメイドさんたちを見てみろあんな奴に養われるくらいなら死んだほうがマシって目をしてやがる」
どんな目だよって突っ込み話の方向で。まぁそれほどノアさんというよりオルマ一族に恨みを持っているのだろう。恨みを持っている相手から養われるとかきっと拷問よりひどい仕打ちなのだろう。
「それに俺的にはメイドさんが増えたほうが楽しい」
「それが本音ですよね?」
「あたり前だろ」
むしろメイドさんが増えて嬉しくないなんて言うやつは男じゃないと思うんですよ。きっと男を装った何かなんじゃないですかね?と言いたくなるほど俺はメイドさんが増えるのが嬉しい。
メイドさんにあんなことやこんなこといろんな無理難題を言って失敗したりしたらそれを名目にいたずらをする。なんて鼻血モノなんだ。なんていうAVですか!
「ご主人様鼻の下伸ばさないでくださいいやらしい」
「べべべ別にぃ↑鼻の下なんか伸ばしてないしぃ↑」
「そんなに動揺されながら言われても説得力ありません」
クソ!声が上ずってしまった。これでは俺がただの変態みたいじゃないか。どうにかして俺がただの変態じゃないことを証明しなければ。
「んん、とりあえずフォルゲン隊長にも国にも俺から言うつもりはない。言いたいなら君たちがいいな。そこまで面倒を見たやるつもりはない。ただ君たちをあんな目に合わせた張本人はすでに死んでいる」
俺がその事実を述べるとフェイさんを含めメイドさんたちが一様にざわつき始めた。信じられないとつぶやく者もいれば当たり前だというやついる。
反応はそれぞれだけれども一つだけ共通していることがある。仕えるべき人であったデル・オルマの死を嘆くものは居なかった。喜びはすれど悲しみはしない。信じられはしないが嬉しく思う。それほどまでにあいつは憎まれる行動をしていたのだろう。
その反応にフェイさんもノアさんも渋い顔をしていた。きっと今いるこの若いメイドたちは昔のやつを知らないのだろう。俺も知らないがノアさんの話では普通の人だったらしい。妻が死んでから性格が変わってしまったのだとか。
フェイさんは仕えて長いのだろう。だからこそあんな顔をする。
ふと俺は疑問が浮かんだ。フェイさん以外は比較的若いメイドだ。経験はどうか知らないが外見は行っても20代後半までだ。
「なぁフェイさん。フェイさん以外の……ベテランと言いますか昔から仕えていたメイドさんは居ないんですか?」
「あら、こんなおばさんに気を使ってくれてありがとうございます。私以外の他の物はすでに他の領主様の元へ行ったものもおりますれば実家へ帰ったものもおります」
「それは」
「はい、オルマ様が青の性格になってしまってからです」
やはり他のメイドたちはすでに逃げているようだ。しかしフェイさんはなぜそのまま仕えていたのか。アンさんが心配だったから?それにこの若いメイドさん達はいったい。
なにかありそうだけれどもあまり深く踏み込み過ぎるのもよくない気がする。結局は赤の他人なのだから。
今は目の前のフェイさん以外のメイドをどうするかが問題だ。
「とりあえずさっきも言ったがしばらくは家でゆっくりしていってもらって構わない。すぐに実家に帰ってもいいしこのまま俺に仕えてもいい君たち次第だ」
やはりすぐには答えが出ないのだろう。皆一様に考えている。なのでとりあえず部屋へと案内をして寝かせてやることにした。
後日メイドさんたちから俺に仕えたいと言われたので二つ返事でokした。アンが若干不機嫌だけれど多分大丈夫だろうよ。
一応キリのいいところまで書いたつもりです。
読む人によっては微妙な終わり方をしたと思うかもしれません。
そのときはごめんなさいいつもの事です。




