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異世界で楽しいセカンドライフ  作者: 附箋
ナンシー家騒動
12/20

11話「メリットとデメリット」

今回はあまり間隔が空いてないんじゃないかなと思ってます。

 「私のお父様です」


 ノアさんから出たその答えを聞き俺は何も反応することができなかった。否、反応することはできたのだけれど……する場面では無い。ノアさんの気持ちがどんななのかは全く分からない。今までさんざんノアさんに対してやってきたことを思えば居なくなったことに喜べるかもしれない。でも、それでも唯一の親だ。親が死んで何も思わないほどノアさんはあの人を嫌ってはないかったのだろうか。分からない。


 でもそれでも解ることはある。今のノアさんの顔を見ればわかるだろう。なぜならその目には涙が浮かんでいっるのだから。少なからず寂しいと思える存在ではあったのだろうと。


 「そう、貴女の父親なのね。あなたはどうなのかしら?贄となった屑と一緒なのかしら?」

 「アン!」

 

 アンは人間の感情なんて知らない。だからずけずけと言える。確かにこれは人間が勝手に決めているルールというか常識というか、決して法律で禁止されているわけではないのだけれど。

 あのおっさんは少ししか会っていないが屑っぽかった。それは否定しない。だがそれは今のノアさんに問うべきじゃないし、その言葉を使うべきじゃない。アンにはこれから人間と過ごすことを意識してもらおう。


 「いいんですよアマノさん……確かにお父様は周りから見れば屑なんです。自分勝手で自分の思い通りにならなかったら恐喝しそれでもだめなら壊す。人の命さえも」


 ノアさんは目をつむり思い出しながらだろうか父親に対する想いを言い始めた。


「お父様があんな人になってしまったのはお母様が亡くなってからなんです。お母様がまだ生きているときは優しくてカッコよく皆から愛されている人でした。お父様は皆を愛し愛させるそんな人だったんです。ですがお母様が病気にかかり医者に見捨てられ亡くなってからあのような人になってしまったのです」

 「見捨てられた?一体どうして」


 ノアさんは俺に目を合わせてじっと見つめてきた。俺は決してその目から視線を逸らしたりしない。


 「風の噂を聞いてアマノさんがもっと早くこちらに来て入れさえすればお父様はあんな風にならなかったのでないかと考えてしまいました。それが自分勝手で我儘で本来アマノさんは関係ないって。

 でも、思わずにはいられなかったのも事実です。」


 俺がもっと早く来ていればあんな風にはならなかった……?つまり俺がこっちに来てから依頼で治してきた人たちの中に同じ病気だった人がいる?そしてそれを俺が治した。医者が匙を投げる病気と言えばあれしかないがまさか。


 「……多分もうお気づきかと思いますがお母様はアンドラゴラを握ってしまったんです」

 「……」

 「家には庭がありお母様はそこで家庭菜園をしていました。貴族なのに家庭菜園っていう人もいましたがお母様が好きでやっていた家庭菜園。その中にアンドラゴラが混ざっていたのです。お母様はそれに気づかずアンドラゴラを握り精神を破壊されそのまま衰弱死してしまったのです」


 アンドラゴラが混ざっていただと?何故そんなものが混じっている?趣味でやっていた家庭菜園にアンドラゴラが混ざることがあるわけがない。

 

 八百屋のおっちゃんのところでもそうだ。仕入れてもいないアンドラゴラが混ざっていてそれを握ってしまったおやっさんは精神が破壊され衰弱していた。だがまだ生きていた事により俺が治すことができた。もう少し遅ければ精神を復旧させることもできなかっただろう。そうなればおやっさんも衰弱死していたのかもしれない。

 

 これは少しきな臭くなってきましたな。誰かがアンドラゴラを混ぜていたと考えるべきだろう。むしろそれ以外に可能性がない、事もないのだけれど他の可能性は殆ど無いだろう。


 「それで?結局あなたは一緒なの?」

  

 アンはもう一度ノアさんに疑問をぶつけていた。あのおっさんと同じなのかと。俺はアンに対して注意しようとしたがアンの顔を見たらその気が無くなった。アンのその顔は何かを探るように見分けるようにノアさんをじっと見ていた。


 「私はお父様の娘です。一緒かどうかと問われれば、一緒の部分もあれば違う部分もあります。すべてが一緒でもなければ、全てが違うわけでもありません」


 ノアさんは肯定するでもなく否定するでもなくといった回答をしていた。本来これは答えとして成り立っていない。だがアンはその回答に満足したのか口元に少し笑みを浮かべていた。


 「それならいいことを教えて差し上げましょう。そこの貴方もよく聞いておきなさい」

 

 アンはフォルゲン隊長にも声をかけて話し始めた。



 〇〇〇


 俺はいま自分の部屋に居る。ここの王から借りたというか借りさせられたというか。外見が完全に城のそんな家と呼べない家の自室にいる。まぁほとんどが自室なんだけれど。


 実はあの後アンがノアさんとフォルゲン隊長に対して爆弾発言をしてフォルゲン隊長は気絶をしかけノアさんは何かもう変な顔をしていた。

 そりゃあアンが発言した事は決してフォルゲン隊長や一市民であるノアさんが手出しできないようなことだったのだから。それが嘘であればどれほど気が楽で良かったか。だがアンは悪魔である。そしてアンドラスという悪魔の一種族の王である。

 悪魔は基本嘘はつかない。人間に対しては絶対に嘘はつかない。何故ならば悪魔は人間より優れているからだ。だからこそ嘘をつく必要がない。それが一種族の王であるならばなおのことである。


 爆弾発言をした当事者のアンはそんなことはお構いなしといった感じで言いたいことだけ言って俺に「さ、帰りましょうご主人様♡」とか言っていた。

 俺としてはフォルゲン隊長とノアさんが可哀想なのでちょっと帰りたくなかったけど特にやれそうなこともなかったのでごめんね!と言って帰ってきた。


 「ところでご主人様、1つ宜しいでしょうか」

 「何?」 

 「ご主人様のステータスは少々どころかとても特殊でございます。私がご主人様に負けたのが納得できましたがそのままにしておくと些か危険でございます」


 え?なに?何で俺のステータスのこと知ってんのこの娘。確か他人のステータスって見れないんじゃなかったんじゃ?

 いやそれは後でいいだろうそれよりも。


 「俺のステータスが何でわかったのかを聞くのは後にするとして危険ってどういう事だ」

 「本来ステータスというものは数値で表される程度のものとなっております。unknownとは希少で今まで私が手にかけてきたすべての中でもただの1個体も持ち合わせておりませんでした。ですがご主人様のステータスはすべてunknownとなっております。これは自分の意志で数値を変えることもできますが一時でございます。任意の数値で固定するとならば魔法道具マジックアイテムが必要となります」

 「数値固定に魔法道具が必要なのはわかったがそれと何の関係が?」


 「unknownのステータスとはそれだけで持ち主に負担がかかります。一つや二つならまだ耐えることもできるのでしょうがご主人様の場合すべてでございます。HPやMPもunknownではありますがむしろそれすらも持ち主にとっては負担となているのです。」


 unknownのステータスはそれだけで持ち主の負担になるか。俺は今はそんなのは全然感じないけれどきっとまだ耐えれているだけなのだろう。


 「それとご主人様はステータスだけでなく魔法・特技の方も特殊でございますね。ご主人様はご存じないかもしれませんが本来魔法や特技はそれぞれ2~3種類程度しか扱えなくなっております」

 「え?そうなの?特技に至ってはなんとなく分かるけど魔法も2~3種類しか使えないの?」

 

 「はい本来魔法というのはその個体にあったものが自然と使えるようになっています。例えば私の場合ですが魔法は炎と闇と鉄でございます。その他の物は私は持ち合わせておりません。ですが同じ種族のアンドラスでも闇が使えないものもいれば光が使える者もおります。これはその個体によりどの魔法が使えるかは見るまでわかりません」


 なんかとんでもなく重要なことを聞いている気がする。箇条書きにするとこうだ。

 

 ・unknownというステータスはそれだけで持ち主の負担になる

 ・本来魔法・特技は2~3種類しか持てない。

 ・魔法・特技は個体によって違う。

 ・どれが使えるかは分からない


 といったところか。


 んーむ、となると魔法が何種類あるかわからないが俺はすでにそれの倍以上に魔法も特技も扱える。これは俺ヤバいんじゃないですか?すごいんじゃないんですか?


 「魔法が多く扱えるだけなら何ら問題ないのですが……」


 アンがちょっと不安になるようなつぶやきをしている。


 え?使えるだけなら問題ないって何?むしろほかに何か問題があるの?てっきり魔法が多く使えること自体が問題何であってその他の物は特に問題視することのものでもないかなとか思ってたんですけど。


 「ご主人様、魔法のレベルにMAXなんてものはないのです」

 

 ・unknownというステータスはそれだけで持ち主の負担になる

 ・本来魔法・特技は2~3種類しか持てない。

 ・魔法・特技は個体によって違う。

 ・どれが使えるかは分からない

 ・魔法のレベルにMAXはない new


 ほほうアンが来てから半日経ってないのに一気にいろんな情報が入ってきましたね。それもステータス関係で俺に対してのデメリットってやつを。


 ムムム、やっぱり強すぎる物には相応のでもデメリットもついてくるというわけだよな。メッリトが大きければ大きいほどデメリットもそれに応じて大きくなるのだろう。

  

 ステータスのunknownは確かに強大だろう。なんせアンも言っていたが一時的にとはいえ自分の思い通りに数値を動かすことができる。やったことはないしやっても見ることができないと思っていたけれどアンが見ているようなので後でやり方を教えてもらおう。 

 

 それよりも今はデメリットの方だろう。unknownのステータスはそれだけで持ち主の負担になるというのはやはり何とかしなければいけないな。でも何とかする方法ならアンが最初に言ってくれた魔法道具を使えばきっと何とかなるのだろう。

 

 unknownじゃなければいいってことならば魔法道具で数値を適当なところで固定さえすればいいのだろう。

アンが無駄なことを言うとは思わないから。

 

 さて気になるのが魔法の方のデメリットだな。MAXレベルなんてものはないと言われてしまったしきっと何かしらあるのだろう。けどMAXってだけならとてもいいんじゃないかなと思ってしまう。

 

 レベルが1よりMAXの方がいいだろう?ただ無いはずのレベルがどれほどのものなのか気になるところだ。


 「無いと言うと少し語弊がありますね。たどり着ける者がいない事と魔法に自我を持っていかれてしまう可能性があるので皆MAXにはしないのでございます」


 魔法に自我を持っていかれるだと?怖すぎにもほどがあるだろうが。


 「それは昔いたのか?魔法に自我を持っていかれたやつが」

 「はい、数人ではなく数百万といました。昔は魔法に自我を持っていかれるとは誰も知らなかった時代、その時はみなMAXにすることを生きがいにしていました。魔法のレベルは勝手に上がるのではなく経験値がたまり割り振ることでレベルを上げることができます。ですから皆魔法のレベルをMAXにすると自我を持っていかれると知った我々は一歩手前で止めているのです。それでもまだ止めないバカもいますが例通り自我を持っていかれて討伐されました」


 「それは……」

 「私はご主人様を討伐したくありません。それよりもご主人様に勝てる者がいませんのでこの世界が本当の意味で崩壊してしまいます」


んん、とても暢気のんきにセカンドライフを満喫できそうにもないですね。何なの?俺が何かしました?いきなり異世界に飛ばされて薬やってんじゃないの?みたいな奴に追い掛け回され逃げたと思ったらつかまってあれよあれよと裁判で、無罪だったけど!そのあとノアさん助けたり金稼ぎで回復魔法バンバン使ったりアンと戦ったり。


 ……あれ?これ前の世界じゃ到底できない経験してる?もしかしてすごい楽しい?何ものんびりするのがセカンドライフじゃないと?むしろファーストライフの方が引きこもってたから今度は動けと?

 いいだろうだったら動いてやろうぞ。だからまずは確認せねばな。


 「でもあれだろ?何だっけ?魔法道具だっけ?それがあれば大丈夫なんだろ」

 「ええ、ですが……」

 「どした?」

 「その……信じるのですか?私の言葉を」


 この娘はこの期に及んでいったい何言ってんですかね。悪魔は噓をつかないと自分で言っておきながら。

いや、嘘はつかないが騙しはするってか?それは無いだろう。騙す理由がない。


 「悪魔は嘘をつかないんだろ、だったら俺は信じるよ。それにメイドの言葉を主人が信じずに誰が信じると?」

 「ご主人様」


 アンは目に少し涙を浮かべて嬉しそうに微笑んでいた。


 控えめに言って超かわいい。控えめに言ってこれだからね?もっと言えば神だから本当に嘘じゃないって。だってよスゲー整った顔の金髪碧眼のこが涙浮かべてんだよ?やべーって。


 あ、そういえば


 「そういえばアンお前自分の姿見たか?」

 「あ、はい。髪の色がゴールドからブロンドへ目の色が緑からあおへと変わっていました」

 「あ、それブロンドなんだ。金髪にしてはちょっと薄いかなぁとは思ってたけど」


 へーブロンドっていうのか。初めて知った。しょうがないよねオシャレには疎いから。


 うーん見れば見るほど可愛いし奇麗だし美人だし本当にこれは現実ですか?もうこの子孕ませればいいんですか?そうなんですね?きっと子供も俺の遺伝子なんてポイしてアンの方だけを受け継いでくれるよきっと。


 何だっけなんかあったよね目と口と鼻の位置がここだと美人だよみたいなの。でもあれ個人によって好みがあると思うの。だって世界の美人順位上位陣見ても美人だなーって思った人いないもん俺。


 あれって案外下位にいる人の方が良かったりするよね。でも美人だなってより可愛いなって思うから違うのかな。今となっては関係ないけど。だって目の前に完璧なのが居るのだから。


 「あの……あまりじっと見つめられると恥ずかしいのですが」

 「おっとすまんね」

 「いえ。何故だかご主人様にじっと見られると照れてしまいます。他の男に視られても全然平気なのですが」


 やばい本当にヤバい。何がやばいってナニがやばい。ごめんなさい。

 

 「んんっ話をそらした俺が言うのもなんだがそろそろ話を戻そうか」

 「そうですね。えーとどこまで話しましたっけ?」

 「お前の言葉を信じるかどうかかな」


 確かそうだろ。あれは流れを切っていないからいいと思うけど。既にあそこで流れが切れいるともいえるけれど。


 「ご主人様が私の言葉を信じてくれるというのであればお教えいたしましょう。魔法道具と……ふふ、ご主人様が先ほどから気になっているステータスの見方を」


 

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