ありときりぎりす
昔々あるところに、働き者のきりぎりすと、なまくらで毎日遊んで借金を繰り返しているありがおりました。
ある日、借金をしすぎて困っていたありは、何かうまい手はないかと考えていたところ、働き者のきりぎりすに借金の連帯保証人になってもらおうと考えつきました。
「オレってば、やっぱ天才だわ」
ありは天才ではありませんでした。
それはともかくとして、ありが思いついた考えをきりぎりすに話したところ、あほでくそまじめなきりぎりすは、友のためならと喜んで引き受けました。
その日から、きりぎりすのもとには連日のように借金取りが押しかけ、ドアをたたく音で夜も眠れなくなるようになりました。
「ありさん、どうしよう(涙)」
ありは、とっくにバっくれていました。
けれど、ドアごしの罵声が終わることもなく、借金取りの健康を心配したきりぎりすは
「君たちも早く眠ったほうがいいよ。健康に悪いよ」
と言うと、借金取りの人たちに怒られてしまいました。あほでくそまじめなきりぎりすは、どうして怒られたのかわからず、そのことを聞くと、また怒られてしまいました。
きりぎりすは、けして夜更かししません。お母さんの言っていたことを、今でも忠実に守っていたあほなきりぎりすでした。
そんなことをしているうちに、きりぎりすは、自分のお金がどんどん減っていることに気づきました。借金を返済しているのでお金が減っていくのは当たり前なのですが、あほでくそまじめなきりぎりすは、自分がもっと頑張らないと、と思ってもっとよく働きました。
きりぎりすは、どんどんやつれていきました。
そのうち季節はめぐり、冬になりました。
きりぎりすは、寿命で死にました。
死ぬまで報われることはありませんでした。
それでもきりぎりすは、満足して死にました。
ありは、靴に踏まれて死にました。




