第五話 ダンジョンに向かいます
あれから一週間。
ロイがいろいろ家の方の都合をつけないといけないとか言って今日まで顔を合わしていない。
俺は……そわそわしていただけだ。
なんだって遠足……いや、腕試しだからね。
今日はいつもより少し早めに待ち合わせしてダンジョンに向かう事になっている。
俺は少し早めに家を出ていつもの場所に向かった。
すると、そこにはすでにロイが来ていた。
「遅かったな」
いやいや!
俺だっていつもより早く家出たし遅いはずがない。
それにロイの姿を見るといつもの格好と違う。
いつもの訓練で使っている剣より明らかに高そうなで切れ味が良さそう剣、それに動き易さと防御力を兼ね備えて高そういそうな鎧、それに兜。
……ふふっ。
ロイって意外とミーハーだな。
てか、どこにそんなお金があったんだ?
「いやいや、ロイこそ早過ぎだろ! しかもなんだその装備は!」
ふふふっ。
初めてロイに突っ込んでやったぜ。
「ハルこそなんだそれは? 遠足気分か?」
えっ?
ダンジョンってそんな危険なんですか?
まぁちょっと遠足気分……いや、浮かれてはいたけど。
「……マズイかな?」
「はぁ〜……ダンジョンはCランクの冒険者が挑んで生存率が30%と言われている。ちなみにCランクの冒険者なら国に雇われるくらいの実力はある」
……えっ?
それってかなりまずくない?
ちなみに俺はいつもの服にいつものボロい剣に水筒だ。
でも、水分補給は大事だ。
なんて言ったって脱水は禁物だ。
外に行く時は水分補給は大事だとじぃちゃんとばぁちゃんに言われているからね。
「ここまで常識外れとは……まぁでもハルは能力も常識外れだからなんとかなるか」
おい!
なんでもかんでも常識外れですませるな!
俺は口に出さず心の中で抗議した。
「ま、まぁヤバイと思ったら帰るって事でとりあえず行ってみるか」
「でも、その前に髪の色と子供ってバレたら厄介だから変装ぐらいはしろよ?」
あっ、確かに。
黒髪の子供と言えば俺しかいないしすぐにバレるだろう。
そう言うとロイは俺に黒い長布を差し出した。
「それを頭と顔にまいたら盗賊にでも見えるだろ」
盗賊……確かにダンジョンにはアイテムがあるし盗賊がいてもおかしくない。
でも、盗賊か〜。
せっかくなら魔法使いとかロイみたいな戦士が良かったけど……。
贅沢は言えない。
俺は不満があったけど素直にロイの言う通り、黒い長布を頭と顔にまいた。
でもなんで黒い長布なんて持ってたんだ?
俺の行動が見透かされてる気がする……。
かくして俺たちは戦士と盗賊のコンビでダンジョンに向かって出発した。