第三百八十四話 最後の晩餐 その3
「だから、男なら行く時はいかないとーー」
「いや、だからルルの事はまだ俺もこれが恋というやつなのかはーー」
「いや、そうだ! きっとそうに決まっている!」
俺はウィルにひたすら恋について語っていた。
ウィルは俺の話に真面目に付き合ってくれている。ウィル曰く「ルルといるのは落ち着く」「隣にいて違和感はない」といった感じらしく、何か熟年夫婦のような感じすら匂わせているのに「これが恋かは分からない。恋とはどんなんなんだ?」と真面目に聞いてきた。
そして、俺はそれに全力で答えている。
ロイはやれやれといった感じで、俺とウィルに付き合ってくれていてエールや果実酒を注いでくれている。
この話が他のメンバーに聞こえないか心配だったけど、今は女子会も盛り上がっているようで、ラートは酔い潰れたアドルノさんを担いで寝かせに行っている。
アドルノさんが酔い潰れるのは珍しい事らしいけど、オリハルコンの剣を作って気分良く速いピッチで飲んでいたからだろう。
「そうなのか……?」
「おそらくな。でも、ここからはおまえの問題だ」
ウィルは腕を組みながら「うーん……」と唸って考えている。よし、あとは本人次第だな。少なくともルルに対しては普通の感情じゃないという事だけはウィルが気づいた。
「ほらほら! そんな静かにならずに飲むぞ!」
「おうよ!」
そう言ってロイはお酒をついでくる。
そうだ、たまには男同士飲むのもいい。ラートは気の毒だけど。
こうして、最後の晩餐は混沌としながら進んでいった。




