第二百八十話 アースハイト攻防戦 その12
「なんとか攻撃は通じるみたいだな」
ドラゴンの翼を斬りつけ地面に着地したロイは相手からの反撃を警戒し、一度俺たちの元に戻ってきて言葉を発する。
「ロイ君凄いわ!!」
戻ってきたロイにアリィは声を上げて賞賛する。
ロイがドラゴンに与えたダメージはほんの少しだろう。でも、圧倒的な存在感を放つドラゴンの前に無力と感じていた部分のあるメンバーを勇気付けるのには十分だった。
俺という特殊な存在ではなくて、この世界に普通に生まれて育ったロイがドラゴンに攻撃を加える事が出来たという価値は大きい。
「ロイ先輩凄いっす!」
ラートも興奮冷め止まない様子でロイに言葉をかける。
「……やるとは思っていたが、まさか取り巻きの奴らもここまでやるとは」
俺たちの様子と裏腹にダグマルは少々険しい顔で呟く。今までの戦いを直接見た事ない奴からしたら以外だろうけど、ロイは元々技術もあるし強い。これくらいは出来ると俺たちは思うけど、向こうからしたら俺以外はあまり眼中になかったのかもしれない。
カルザルとの戦いではロイも全力で戦っていたけど、結果的には負けているしあのカルザルからすれば問題なかったのかもしれない。
でも、ロイは間違いなく強いのだ。それは俺が保障する。
「油断していたおまえが悪いんだよ」
ロイはダグマルに言葉を放つ。
ロイの奴、かっこつけやがって! でも、この状況でも普段通りの調子でいられるロイは頼りになる。
「ふん……勝ってから言え!」
カルザルがそう言うと同時に再度ドラゴンが咆哮し炎を吐いた。




