第二百二十話 ダンノームでの出来事 その15
「……」
「……」
地の精霊が俺で視線を止め目が合う。
でも、地の精霊は何も話さず俺もどうしていいか分からず沈黙が流れる。
どうしたらいいんだろうか。
「……ハル様、大きくなられましたな」
「!?」
地の精霊が口を開いたと思ったら予想もしていない事を口走った。
そして、俺の周りの人たちは驚愕の顔をしている。
いや、俺も驚きだし。
「えっ!? 俺の事知っているのですか!?」
「はい。遠い昔……と言えば良いのでしょうか。あなた様が小さい時に……。挨拶が遅れて申し訳ありません。今の我々は契約者なしに聖地から出られないもので……今回あなた様がこちらへ来られ気配を感じて出てきた次第です」
そう言って地の精霊は俺に頭を下げる。
「いやいや、頭を上げてください! 精霊様に頭を下げてもらうなんて!!」
「いや、あなた様の親、ファラン様とララ様のおかげで今の我々精霊があるのですから……」
地の精霊は頭を下げたまま言葉を口にする。
「頭を上げてください! それに俺の親を知っているのですか?」
「はい、存じ上げております」
地の精霊はそう言うと頭を上げた。
「……俺の親とはどういった関係だったんですか? それに俺の親は……」
『最後どうだったのですか? 何があったのですか?』
と言葉を繋ごうとして自分の中で止まってしまった。
聞きたいけど聞くのが怖い。
親の死は受け入れているはずだけど、改めて言葉として聞くのに戸惑ってしまった。
「……その辺りの話は我らの上位精霊である光の精霊様から話すと聞いておりますので、いずれフォルクレストの頂きへご案内します。とりあえずはオリハルコンという事ですので、そちらを行かれてはどうでしょうか?」
地の精霊は俺を心中を察してか話を変えてくれた。
「……そうですね。ありがとうございます。地の精霊様」
「いえいえ。それに私の事はノームとお呼びください。ずっとは無理ですが、ラートを通してなら少しの間姿を表せますので御用があればお呼びください。……では、そろそろ失礼します」
そう言うとノームは姿を消した。
今年一年ありがとうございました!
また来年もよろしくお願いします!




