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第十六話 手取り足取り

 次の日。

 俺はいつもの時間にいつもの場所に向かった。

 最近はダンジョンの儲けがあるおかげで、狩りより訓練に時間をさいている。

 剣でロイに勝てない以上、とりあえず魔法に関しては誰にも負けないようにしたい。

 でも剣術もおろそかにはしない。

 魔法が効かない相手や魔力切れの時、何も出来ないのは問題外だからだ。

 とりあえず剣術に関しては、ロイが来た時の模擬戦の中で良いところを盗む方針にした。


 いつもの場所に着くと誰かいる気配がする。

 ロイだろうか?


 「あっ、おはようございます!」

 「お、おはよう」


 そこにはなんとあのシャーリーがいた。

 俺は予想外の事に驚き、声が詰まった。

 ダメだ。

 やっぱり俺は予想外の事に弱い。


 「今日からお世話になります! よろしくお願いします!」


 シャーリーは元気に挨拶して頭を下げた。

 俺は突然の事にびっくりして動けない。

 でも、本来教えてもらうのなら最初はこんな感じなのかもしれない。

 ロイが特殊なだけだ! 絶対!


 「やる気十分だね!」

 「もちろんです!」


 シャーリーは両手を握りしめ気合いを示す。

 よし! 可愛い!

 ……いや、違う。

 やる気もあるみたいだしいい事だ。


 「じゃぁ、最初にどれくらい魔法が出来るか知りたいから使ってみてくれる?」

 「はい!」


 シャーリーはそういうとさっそく詠唱にかかった。


 「水よ。我が力となり標的を破壊せよ」

 「水球!(ウォーターボール)


 シャーリーの手元なら水の球が現れ、飛んで行く。

 しかし、少し威力が……。


 ……ズンッ


 魔法は近くの木に当たり木が少し揺れた。

 う〜ん、威力が弱い。

 たぶんイメージが弱いからかな?


 「俺はあんまり魔法を説明するのは苦手だけどたぶんイメージが弱いからじゃないかな?」

 「……イメージですか? 魔法って詠唱だけじゃないんですか?」


 うん。

 普通はそう思うよね。


 「え〜っと、じゃぁ俺がするの見てて!」


 俺は無詠唱でシャーリーと同じ魔法を使う。

 すると、俺の手元にシャーリーの時より大きな水玉が現れ、勢い良く飛んでいく。


 ……ドカッ


 同じ魔法だけど俺が使った魔法は木に当たり木が倒れた。

 ……ちょっとイメージと魔力が強すぎたかな?


 「えっ!?」


 あぁ、やっぱりその反応になるよね。

 シャーリーはこの世の物ではない物を見たかのように驚き、呆然としていた。


 「え〜っと、魔法は詠唱なしでもイメージさえ出来たら使える。そしてイメージの中で魔力を注ぐイメージで威力を上げる。これが出来たら隙も少なくなるし威力も上がるし一石二鳥だからこれを教えようと思う」

 「わ、私に出来ますか?」


 シャーリーは不安な様子だ。

 目が自信なさげに揺らいでいる。

 自信……そりゃそうか。

 いきなり、今までの常識が打ち砕かれたんだから。


 「大丈夫! 少なくとも俺の他にもう一人は出来る奴がいるから!」


 確かにロイは出来たけど、シャーリーが出来るって保証はない。

 でも、これは誰でも出来る気がするんだよな。


 「分りました。頑張ります!」

 「おぅ!大丈夫!行き詰まったら俺が手取り足取り(・・・・・・)教えるから!」


 あっ、ヤバイ!

 ノリで変な事言ってしまった!


 「よろしくお願いします!」


 良かったシャーリーは気づいていないか気になっていないみたいだ。

 でも、手取り足取り(・・・・・・)……。

 俺は頭の中で煩悩と格闘していた。

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