第百四十九話 ラース教皇国での出来事 その12
「じゃぁクリフ君の誕生日を祝って……」
「「「「「乾杯!!!」」」」」
孤児院の先生の乾杯の挨拶でクリフ君の誕生日会がスタートした。
「おいしいぃ〜!!!」
「うめぇ!!」
「それ僕のだよ!」
「いや、私が先に取ったんだもん!」
「ほらほら、ケンカしないで! まだまだいっぱいあるしあそこのお兄ちゃんが焼いてくれるから!」
「「「はーい!!」」」
ケンカする子供達を諌めながら、俺は肉を焼いているロイの方を向く。
ロイは蒔きで火を起こしてブロックで囲った上に網を置いてひたすら肉を焼いている。
その姿は屋台のお兄さんだな。
『今回は迷惑をかけたから俺がやろう』
と、ロイは自ら肉焼き当番を買って出た。
やっぱりロイも迷惑をかけた事を気にしていたのだろう。
お言葉に甘えて任せる事にして、この際今までの借りを返す事にした。
「ほら、お兄さんもっと焼いて!」
「……ハル、後で覚えてろよ」
ふっ、覚えてなんかおかないさ。
それにしても、俺が異空間から肉を出した時のみんなの顔は凄かった。
子供達は目が凄く輝いて、
『これってお肉?』
『すごーい』
『食べていいの!?』
ってもの凄く喜んでくれた。
これはロイとアリィの見立てが正かったな。
でも、俺が異空間から肉を出す時に誤ってプレゼントを出してしまいそうにはったのは内緒だ。
ウィルはメイファちゃんに連れて行かれクリフ君のと三人で仲良く食べたり喋ったりしている。
ここから見ると親子にしか見えない。
まぁでも、みんな喜んでくれているみたいで良かった。
「遅れてすいません!」




