第百二十六話 ラモル山での出来事 その7
俺は剣に魔力纏わせて二人の様子を見る。
少し観察する限り、あの二人が仲間という事はなさそうだ。
なぜなら、二人が仲間だとすれば二人揃った絶好の状況でウィル達か撤退するのを見逃す訳はないし、何より二人が斬り合っている。
でも、あの髪を見る限りは『魔人』で間違いないだろう。
いったいどう言う事だ……?
「……その髪、そして、その理性……お主も自ら闇の精霊に心を捧げたか」
「だからどうした? 俺の目的はただ一つ……おまえ達を倒す事だけだ!!!」
そう言葉を交わしながら、二人は剣を交える。
黒いオーラに包まれた二人が斬り合う度に衝撃波が周りを伝う。
今の話を聞く限り良くは分からないけど、あの漆黒の鎧の男はゴルゾーラ教を倒そうとしているみたいだ。
だとしたら、俺たちの味方なのか?
それならば……。
俺はカルザルに標準を合わせて岩弾丸を放つ。
『シュン』
岩弾丸は一直線にカルザルに向かう。
「む?」
カルザルは岩弾丸に気付き、漆黒の剣から黒いオーラを発して盾にして岩弾丸を防ぐ。
「……魔法もその威力か。……確かに手強いな」
くそ。
意表を突いたかと思ったけど、やっぱりダメだったか。
「貴様!! 邪魔をするなぁぁぁ!!!」
俺が次の行動を考えるより早く、漆黒の鎧の男が俺に向けて斬撃から黒いオーラを俺に向けて飛ばす。
「くそ!」
俺はそれを横に飛びかわした。
さっきの俺の魔法と漆黒の鎧の男の行動で、俺たち三人は互いを牽制しながら動きを止めた。
あいつ、魔法じゃないけどこんな事も出来るのか。
それにしても、同じカルザルが相手なのにこっちまで攻撃してくるとは。
まぁ魔人となっている以上一筋縄では行かないか。
「おい! おまえの相手がカルザルなら目的は一緒だろ!?」
「関係ない! 俺は誰とも組まん! 俺の相手はゴルゾーラ教だが、俺の邪魔をする奴は切る!」
どうやらやっぱりあの男も訳ありって感じだな。
目的は一緒みたいだけど、仲間って訳にはいかないみたいだ。
……さて、どうする?
俺は次の行動をどのようにうつすか思案しながら二人の様子を伺った。




