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第九十八話 コルト都市国家での出来事 その13

 森に入ると空気が変わった。

 見た目は普通の森と同じようだけど、重々しい空気が漂い、俺たちが歩く音しかせず、静寂に包まれている。

 そして、日光は高く伸びた木々の葉に遮られ、朝だというのに薄暗い。

 その薄暗さと静寂さが余計に不気味な雰囲気を醸し出している。

 そんな中を俺たちは話し合って決めた戦闘隊形(フォーメーション)で森の中を進む。


 「静かだな」

 「そうだな。とても魔物が潜んでいるとは思えない」


 ロイの呟きに俺も同じように思い、言葉を口にする。

 なんと言うか、物音一つせず、不自然な静けさだ。

 鳥の鳴く音もせず、生物の気配も感じさせない。

 ただただ、無音の世界が広がっている。


 「これは確かに不気味だな。戦闘隊形(フォーメーション)を崩さず、周囲の警戒を怠るなよ?」


 ダリウスさんの言葉に、再度無言で頷く俺たち。

 その時だった。


 「うわぁぁぁ!!!」


 俺たちの前方、森の奥から叫び声が聞こえた。

 おそらく、俺たちよりも先に入った冒険者の声だろう。

 しかし、冒険者ならば普通、よほどの事がないと悲鳴を上げたりしない。

 しかも、今回は自ら志願し戦闘狼(ウォーウルフ)を討伐する為にこの森に来た者たちだ。


 「ロイ、ウィル……今の聞こえたか?」

 「……あぁ」

 「間違いなく人の声だな」


 俺だけでなく、二人とも聞こえたみたいだ。

 さっきのは声というより悲鳴だった。

 いったい何が……?


 「い、いったい何があったの……?」

 「こ、こわいです」

 「……」


 さっきの悲鳴でアリィ、ソニン、シャーリーの三人は足がすくんでしまっている。


 「大丈夫だ! 俺が前を行くからおまえ達三人で嬢ちゃん三人を守るんだ! 前だけじゃなく後ろも警戒しろよ!」


 ダリウスさんはそう言うとゆっくりと前方を見据え進み出す。

 俺たちもそれに続き、さっきより警戒を強めながら、歩を進めた。

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