勇者さん、魔王をボコる
「ふむ、今日も大金が手に入った」
魔王城パークの中央・ヤルバダオトの館。
「アルコーン君、アルコーンちゃん。これも、貴様らの働きの賜物よ」
外に跳ねた黒髪の男ーー魔王ヤルバダオトは、満足そうに赤いマントを翻す。
「それより、魔王様」
「この子供、お金が払えないようです」
アルコーン君が抱えるゼファーを見て
「なんという不届き者……アルコーン君(緑)の着ぐるみを着せて、働かせよ」
「ヤルバダオト、そこまでです」
聞き覚えのある声に
「貴様、ベリアス……裏切ったはずでは?」
ヤルバダオトは、顔を顰める。
「ええ、だからこうして戻って来ました……貴方が、アルコーン君(緑)の着ぐるみを着せようとして居る方は、勇者さんです!!」
貴方を懲らしめるために教会から連れてきました、とクロードは続ける。
「……え」
ヤルバダオトが目を丸くしていると
「貴方という子は……また、こんな傾いた商売をしているのですか」
意識を取り戻したゼファー(ソフィア)が、語りかける。
「こ、こ、こ、この声は母上!??」
そんな姿まで変わって、と動揺するヤルバダオトに
「私の人格は、代々勇者の称号を持つものに移植されます」
まあ、その影響で本人とは正反対の第三の人格を生み出してしまうのですが、と続ける。
「貴方は、最高のテーマパークを作ると私に言いましたね」
聖剣を起動させ、ジリジリと距離をつめる(ゼファー)に
「だ、だからこうして金持ちだけが楽しめるテーマパークを……」
怯えながら、ヤルバダオトが答える。
「それが、傲慢だといってるのです!」
「ぎゃあああああっ、ごめんなさい母上!!」
聖剣を持ったゼファー(ソフィア)にボコられているヤルバダオトを見て
「まさか、勇者と魔王の最終決戦が親子限界だったとは……」
呆れ顔をのアリアの横で
「これで、これまでの経営方針を反省してくれるといいのですが」
ため息をつき、クロードが言った。
「スイマセンデシタ。これからは、皆が平等に楽しめるテーマパークを考えようと思います」
ゼファー(ソフィア)頭を下げるヤルバダオトに
「「ごめんなさい」」
アルコーン君とアルコーンちゃんも続く。
「分かればいい……ううっ、また時間オーバーしてしまいましたね」
ゼファー(三人目)は、瞬きを繰り返すと
「あ、あれここは? 美女のレアアイテムの番人は?」
お前、知らない、と問い詰めるゼファー(三人目)に続き
「そうそう、あんたのせいでレアアイテムとり逃がしてるのよ」
何とかしなさい、と詰め寄るアリア。
「美女は、どこだよ」
「お宝、出しなさいよ」
「ベリアス、俺はこれから真っ当に働く……だ、だからこいつらなんとかしろ」
お前のクビも取り消す、というヤルバダオトを見て
「それは、無理です。勇者とは、魔王を懲らしめるのが仕事でしょう」
「は、白状者おおおおっ」
魔王城パークに、魔王ヤルバダオトの悲痛な叫びが響いた。
「こうして、魔王城パークの入場料は9800ゴールドになりました」
クロードの説明に
「……まだ、高いと思います」
声を出して、ゼファーはツッコミを入れた。
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