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神の悪戯、異世界召喚  作者: 白崎黒絵
13/17

ボーイ・ミーツ・メイド

 リリィ団長との訓練を終えた俺は、割り当てられた自室に向かって廊下をとことこと歩いていた。


「やっぱ城だけあって内装豪華だなあ……この壺、売ったらいくらくらいになるのやら」


 少なくとも十年は遊んで暮らせるだろう。


「……」


 つんつん。


「……」


 つんつんつんつん。


「……誰も、いないよな」


 いっぱいあるし、一つくらいもらっても……


「ユウキさん?何してるんですかー?」


「ひいっ!?」


 突然後ろから聞こえた声に驚いて振り返ると、そこにはメイド服に身を包んだ見目麗しき女性がいた。


「なんだ、メイドさんですか。驚かさないでくださいよ……」


 この人は正式この城の客人となった俺の身の回りの世話をする、専属のメイドさんだ。名前と年齢は不詳。聞いても教えてくんなかったのである。だから俺は便宜上、メイドさんと呼んでいる。


「いやー、すみません。驚かすつもりはなかったんですよ?」


「ま、いいですよ。特に怪我とかしたわけでもないし」


 メイドさんのにぱー、とした笑顔を見るとついつい許してしまう。決して後ろめたいことがあったから許したわけではない。断じてない。


「それで、ユウキさんこそ何してたんですか?」


「ちょ、ちょちょちょちょちょちょちょっとこの壺を眺めていてね。うん、実にいい壺だ」


「そうですか。もうそろそろ夕食が出来ますけど、どうします?先にお風呂入ります?」


 ふむ、どうしようか。散々動き回ったから腹は減っているけど、汗臭いまま食べるのも何だしな……


「先に入浴でお願いします」


「わかりました。それではごゆっくり入浴してください。あ、覗きはダメですからね?」


「しませんよそんなこと」


 第一、この時間に入ってる奴なんてそうそういないだろうし。


「姫様が入浴中ですよ?」


「だからしませんってば。俺を信用してください。あと双眼鏡貸してください」


「覗く気満々じゃないですかヤダー♪」


 はっ!しまった!つい本音が!


 この巧みな話術といい、ニコニコ笑顔のポーカーフェイスといい、この人本当に何なんだろう。絶対にメイドに関係なスキルをたくさん持ってるって。ついでに厄介そうな事情も。


 触らぬ神に祟りなし、ということでさっさと大浴場に向かう俺にメイドさんが一言。


「ユウキさん、お城の物を盗ったら普通に捕まりますからね?もちろん、私たちメイドはこの城内にあるものをすべて把握していますよ?」


 俺が何をしようとしてたのかバレてたんかい。

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