初めての告白、初めての召喚
「私ね、実はずっと……あなたのことが……」
夕暮れの公園に呼び出された俺は、幼馴染に告白されていた。
いや、まだされてないけど。でも、この流れは確実に告白されるパターンだろ?そうだろ?そう思うだろ?
長かった。ひたすら長かった。彼女が隣の家に引っ越してきてから十年。初めて会ったその日に一目惚れし、告白しようとしては今の関係が壊れるんじゃないかと不安になり、結局グダグダとただの幼馴染という関係を続けてきたわけだが、今日ついにその関係に新たな進展がっ!と思ったその時――――
「んあ?」
我ながら間抜けな声と顔だったと思うが、それも仕方がない。何故なら俺はこの時、恐らく約16年間の人生史上最も混乱していたのだから。
「え? え?悠希くん、どうしたの!?何だか身体が……」
目の前にいる俺の幼馴染こと東雲初奈さんも目を白黒させている状況のような気がしなくもない感じのアレ。ダメだ、俺もテンパってるから上手く状況が説明できない。だが、あえて今の状況を一言で説明するなら。
「何か俺の身体が光り始めてるんですけどおおおおおおおおお!!!!!!!!!!??????」
つまり、そういうことだ。
本当に何の前触れもなく、俺の身体は突然に光を放ち始めた。しかも、どんどんそれが強くなっていく。
「やばいやばいやばい。これ絶対やばいってこれ。俺の嫌な予感センサーがビンビン反応してるもん。これ絶対あかんやつだって」
「ど、どどどどどどどどうしよう!?病院!?こういう時って病院!?救急車呼ぶ!?」
とりあえず慌てる俺と初奈。慌ててる間にも光は強くなっていき、やがて――――
「あ」
俺の意識はブラックアウトし、
「悠希くん!?」
最後に世界で一番愛しい幼馴染の声を耳に残し、この世界から飛び出していった。
これが俺の一番最初の、異世界召喚だった。