表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/2

*プロローグ*

少し怖いかもしれません。そうしたつもりはないんですが・・・((苦笑

《コポッ・・・コポッ・・・》

薄暗い部屋で、巨大なカプセルの中の赤色の液体が不気味な音をたてている。

・・・いや、正確には『カプセルの中に入っている物』に繋がれたチューブから

、なにかが注入されている音である。


カプセルの中には、4・5歳の人が入っていた。

・・・断言はできない。確かに形は人なのだが、人は普通カプセルの中に入って

はいない。




ここは、南アルプスを少し北上した辺りにある研究所である。

周りはすべて杉の木で覆われ、ここを知る者など無いに等しい。


――高原 祐貴たかはらゆうきだけは、ここを知っていた。彼がここを建て

たのだ。

この『高原生物研究所』では、表向きは〈自然生物の生態系の観察〉をしている

事になっているが、実際には生物の〈作成〉・・・〈人を人工的に作る〉研究が

されている場所なのだった。


つまりカプセルの中にあるのは、彼が十数年をかけて作り上げた『作品』・・・DNA

から何からすべて祐貴が作った、正真正銘の人工生命体なのである。


医者でもある祐貴は色々な監視をあざむくために、この山奥で作品にさらなる手

を加えていた。

もうすぐこの作品は小学校に行かなければいけないのだ。学校全体の人々をあざ

むくのは容易なことではあるまい。

この施設の存在をバレないようにするため、作品が自己をコントロールできるよ

うになるまで、仮の記憶を入れておくことにした。

妻には少し前に、『孤児を引き取ってやらないか』という話をし、承諾を得てい

る。


「そろそろ動かしてみようか・・・。」

大丈夫、性格にはなんの異常も無いはずだし、妻は孤児が来るのを心待ちにして

いる。


祐貴は遠隔操作で作品の口からチューブをはずし、中の液体を全部抜いた。


――作品は、ゆっくりとまぶたを開けた。

祐貴はにんまり笑うと、言った。

「おはよう、未彩みさ。気分はどう?」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ