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LOG.5 ― 牡蠣がすき / OYSTER ―

——実話。


こんな人生で、マトモは無理だった。


これは、

現実にあったかもしれないし、

無かったかもしれない。


もう一つの結末。

————






ミカから突然LINEが来たのは、

前触れもなく、深夜1時すぎだった。



ミカ

『ねぇ、シン~。』

『月曜ひま〜?』

『デートして~』





シン

『空いてるよ!』

『でもダメだよデートは。』

『整体なら、いくらでも!』






送信してから1秒後に既読がついた。







ミカ

『ふーんだ!』

『やーだよ!』

『じゃあさ、撮影のために牡蠣食べたい。』

『だからミカを港に連れてけ。』

『ミカ、牡蠣食べないとヤル気出ない。』

『あー…ヤル気出ないなぁ…』





シンは

画面を見ながら

深く息を吐いた。





シン

『それは困るね』

『じゃあ俺が牡蠣買ってくるよ』






シンは必死で

本音を隠していた。


本音は、



ブヒー!ミカ様!

デート嬉しいですぅ~!




と、返信してもいいくらいだったが

マスターとのことを考えると

そうもいかないのだ。






ミカ

『バーカ!童貞!』

『いいから連れてけ!』

『牡蠣を食わせろミカに!』






シンは悟った。


これは…多分…

"牡蠣を食べる" 以外の

選択肢はないルートだ。 と。





シン

『わかった、わかった』

『今回だけね。約束して。』

『で、家どこらへんなの?』





ミカ

『ふふ♡』

『やったー!』

『近くのコインパーキングまで迎えきて!』





シン

『なんでパーキング?』

『家の前まで行くよ?』





ミカ

『いーの。家の前はダメ。』

『返事は、わん でしょ?』





シン

『俺は犬じゃないよ…』

『わかった、とりあえず行くね』





ミカ

『よし♡わんちゃん偉いね♡』

『楽しみにしてる〜』






シンはスマホを伏せた。


少しだけ鼓動が早くなっていた。







ーーー








月曜の昼前。


シンはミカの家の

“近く”にあるコインパーキングで待っていた。


ミカが指定してきた場所だった。





シンは、

“家の前はだめ” の理由は聞かなかった。





彼は、

そもそも他人に興味が無いのだ。


誰が どこで浮気しようが

不倫しようが どーでもいい。






ただ…


誰かに

"嘘をついてデート"していることは

シンにも明らかだった。








ーーー







10分後。





住宅街の影から、


ちょこんと

小柄なシルエットが現れた。


ミカだった。





ピタッとした黒のワンピ。


海沿いへ行くにしては

寒そうな格好だ。


寒くても自慢の美脚は出す。

ミカのポリシーなのかもしれない。





そして手には……

異常にデカいバッグ。


旅行?お泊まり?

どう見ても1泊2日のサイズ。








シン

(まさか…)

(今日 泊まるー!とか)

(言い出さないよな…?)







シンは嫌な汗をかいていた。



ミカが

シンの車を見つけると、


パァーッと

笑顔になって駆け寄ってくる。



ミカが

助手席のドアを開けた瞬間、


車内にふわっと

"ミカの香り"が広がった。





ミカ

「お待たせ〜!」





シン

「あ、うん……」





ミカ

「よいしょ!おもっ!」





ミカが

バッグをドスッと後部座席に置く。



重そうだった。






ミカ

「じゃ、いこっか♡」






シンだけが損しそうな、

嫌な予感のするお出かけが始まった。







ーーー






車が走り出す。


港までは約1時間。


助手席のミカは

窓の外を見ながら

足をパタパタさせていた。




ミカは

シンの顔を一瞬チラ見すると、


不意に

肘置きに置いてる

シンの左手をキュッと握った。





ミカ

「楽しみだね〜♡」

「ねぇ、港ってどんな所〜?」





シンは

とっても久しぶりに

女の子と手を繋いだ。







シン

「ちょっ!」

「……まぁ、景色めっちゃいいよ」






ミカ

「ふふ♡ たのしみ〜」

「あー早く牡蠣食べたい~!」






笑うと目がなくなる。


シンは

気付かぬうちに…


ミカを

笑わせることに喜びを感じていた。








ミカ

「ねぇ!」

「牡蠣食べたらさ、海も見たい!」

「海岸も行こうよ!砂浜!」






シン

「やだよ、汚れるじゃん」

「メイさん1人置いてくね」

「歩いて帰ってきな!」






ミカ

「やだよ!」

「さいてー!」

「ケチ童貞!」






シン

「おい、違うって!」

「童貞じゃないって!」







そんなこんなで

キャッキャしながら


港までの1時間、

シンはずっと浮かれていた。



そして、

その浮遊感のまま…


彼は、

ある選択を迫られることになる。


それは、

ほんの、もう少し、先の話。

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