表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/17

LOG.17 ー 声が、聞こえて / VOICE ー

——実話。


こんな人生で、マトモは無理だった。


これは、

現実にあったかもしれないし、

無かったかもしれない。


もう一つの結末。

————






スマホの通話履歴には

確かに履歴があった。



が、ミカではない。



銀行と内装関係だった。



いずれも

シンは内容を覚えてなかった。








ーーー








整体の休憩時間、

シンはマリナに聞いた。







シン

「なぁマリナ」





マリナ

「なんすかー?」




スマホを

スワイプしながら

返事するマリナ。







シン

「俺…さっきよぉ」

「なんの電話してた?」





マリナ

「えぇ?」

「知らないっすよ!」

「裏口で電話してましたよ!」

「マジで大丈夫!?」













ミカ

「大丈夫?」














シン

「…っ!」





間違いなく聞こえた。



すぐ後ろからだ。




だがシンは

自信がなかった。



なぜなら

マリナが反応していない。




つまり、

コレも"偽物"かもしれない。










シン

「……。」

「ごめん俺帰る」

「インフルっぽい。」





マリナ

「えぇ~!?」

「やっぱりぃ~!?」

「なんか変だもんね!?」

「お大事に!」





シン

「ありがとう。」

「ごめん、頼むわ。」














ミカ

「帰るの?」

「ミカも帰るね」















シン

(勝手に帰れ)

(二度と話しかけるな)

(バカが)










ーーー









シンは自宅に帰り、

自分を指名してくれたお客様へ

体調不良のLINEを配信した。









シン

「ふぅ…」

「精神科…かなぁ」









ハッキリ幻聴が聞こえるので

さすがに治療しようと


カウンセリングができる

メンタルクリニックを探していた。













ミカ

「そんなの必要ないよ!」

「ミカ、元気出してあげる!」












シン

(無視、無視。)

(黙れ、バカが。)







だが……





ミスって、

声のするほうへ一瞬、

チラッと目線を送ってしまった。









すると、




ミカが、いた。












シン

「嘘…だろ」

「はは…マジで病院いこう」









ミカ

『可愛いね、わんちゃん』

『わん って言って?』









シンは、吐き気がした。



自分が作り出した

この化け物を

消したくて仕方なかった。




急いで準備をして

一番近い精神科へ向かった。


念の為、車は運転しなかった。





なぜなら、

偽物のミカのせいで、

事故を起こす可能性も

十分に考えられたからだ。










ーーー









精神科に到着し、

カウンセリングが始まった。






医師

「シンさん。」

「まず、ここは現実です。」

「安心してください。」







シン

「…はい。」






ミカ

『ここは現実!』








医師

「あなたが聞こえる声は」

「タルパ。といいます。」







シン

「タルパ…。」






ミカ

『タルパ!』








医師

「意識的に脳みそが、

 失った大切な人間を作り出すことです。」

「タルパは、人格を持ち、会話が可能で」

「強い意識があれば、実体も見えます。」







シン

「はぁ…。」





ミカ

『脳でミカを作ってるんだね!』

『じゃあミカは現実だね!』








医師

「…………。」

「そして…タルパは」

「実在モデルがあれば、

 より強力で依存性の強いタルパとなります。」

「……いいですか?よく聞いてください」

「タルパは支えから支配に変わります」








シン

「支えから…支配。」







ミカ

『大丈夫だよ!』

『ミカがいるからね!』

『ミカがいれば全部大丈夫!』









医師

「タルパは……」

「あなたが喜ぶ言葉を、

 あなたの脳みそから引っ張って」

「どんどん依存させ、支配します。」

「自分で自分を慰めてる状態です。」

「だから心地よい言葉なのです。」







シン

「…消せますか?」





ミカ

『ミカ、消えちゃうの?』









医師

「努力次第では、消せます」

「薬もありますので ご安心ください」







シン

「それはよかった。」







ミカ

『やーだよ!』

『ミカは消えない!』

『薬はいらない!』

『ミカがシンを守るの!』

『ミカに任せて!』

『ミカがついてるからね!』












医師

「…では、」

「しばらく仕事は休んでください」

「今日はここまでにしましょう。」

「お大事に。」






シン

「ありがとうございました」

「次回もお願いします」







ミカ

『いらない、いらない!』

『先生は、いらない!』

『ミカに任せて!』

『シン、ずっと二人でいよう』

『鍵閉めて、部屋にいよう』

『嫌なことから逃げ出して、

 何が悪いっていうの?』

『今だけは、全部任せて!』

『幸せにするよ、シン!』

『明日のことは、

 明日考えればいいのよ!』

『ほら、シン!ミカと、』








「シンさーん」










シン

「あれ?」




受付で

シンは呼ばれていた。









シン

「ヤバいまた…」

「記憶がとんで…?」







受付

「シンさん、お会計です」







シン

「あぁ…すみません」

「あれ?処方箋は?」







受付

「あれ?」

「今日は薬はいらないと、

 “ご本人が”お断りしたとあります」








シン

「……。」

「…わかりました。」

「また来ます、お願いします。」





ミカ

『いらない、いらない!』

『病院は、いらない!』

『もうここには来ない!』

『シンは、ミカと暮らすの!』

『シンを守れるのはミカだけ!』








受付

「お大事になさってください」








精神科の出口を出て、

大きく深呼吸をした。


晴れの日差し、

遠く聞こえる風の音。







心地よかった。









シン

「…ふぅ」

「帰るか、ミカ。」






ミカ

『うん!』

『お酒呑もう~!』

『早く、くっつこう!』






シン

「ぷ。」

「そうだな。」









彼が、彼じゃ、無くなるまで、




残り、数日。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ