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LOG.16 ー 声を、聞かせて / VOICE ー

——実話。


こんな人生で、マトモは無理だった。


これは、

現実にあったかもしれないし、

無かったかもしれない。


もう一つの結末。

————








「……ってば!」

「ちょっと!」

「ねぇってば!」








シン

「…っ」

「うっせぇな…」

「あ!」






シンは

慌てて起き上がった。




店舗のソファで

寝てしまっていた。



朝方に寝たのか、

いつ入眠したか記憶が無い。





目の前には

自分の店のスタッフ、

マリナがいた。







マリナ

「何してるのよ!」

「呑みすぎたの!?」

「もう開店時間ですよ!」





シン

「わりぃ!」

「やっちまった!ありがと!」







シンは急いで

店舗の更衣室で着替えた。







マリナ

「9時から予約入ってるので」

「私、対応しておきますね」

「9時半のお客様はお願いしますよ!」

「…ん?」






シンのスマホが震えている。






マリナ

「オーナー、電話」

「メイ…?って書いてある」






シンは

着替えを止めた。







シン

(今度は……)

(どうしようってんだ)






バタン!

更衣室から飛び出すシン。





マリナ

「わ!びっくりした!」






スマホを掴んで、

そのまま店の裏口へ出た。







シン

『…はい』




ミカ

『会おうよ』




シン

『なんのつもり、』




ミカ

『ごめん』





シン

『お前…な、』






ミカ

『ごめん。』

『ごめんね。』






その謝罪は…

心からの言葉に聞こえた。








ミカ

『だから、さ、』

『わん って言って?』





シン

『……はぁ?』

『何言ってんだ?』





ミカ

『許してくれるなら、』

『わん って言って。』

『声を、聞かせて。』













シン

『…わん』













ミカ

『会ってくれますか?』

『私と』











シン

『わん』











ミカ

『シンさん。』

『はじめまして。』

『メイ、です。』





















「…っ!」





「ちょっと!」

「ねぇってば!」








シン

「…っ」

「うっせぇな。」

「あれ!?」




シンは

ガバッと立ち上がった。



時計は

8時50分。



シンは

更衣室で目覚めた。



更衣室の椅子で

座ったまま寝ていたようだ。






シン

「え!?」

「待って、あれ!?」







マリナ

「もう!」

「酔っ払ってんの!?」

「お客さん来ちゃいますよ!」






マリナは怒りながら、

更衣室を出ていった。







シン

「くそ…!」

「どうなってんだ…?」




シンは

急いで着替えた。







シン

「おいマリナ!」






更衣室のドアを

少し開けてスタッフに聞く。






シン

「俺のスマホ、」

「電話鳴ってないか!?」







マリナ

「鳴ってないですよ」

「さっき電話してたでしょ…」

「早く着替えてくださいよ…」





シン

「さっき…電話…?」









マリナの声が、

一瞬、遠くなった。


店内の音だけが、

やけに大きく聞こえる。









シンの心は

警笛を鳴らしていた。






そして……


そんな彼の心が

とんでもないモノを作り出す。

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