LOG.15 — 走れ / RUN —
——実話。
こんな人生で、マトモは無理だった。
これは、
現実にあったかもしれないし、
無かったかもしれない。
もう一つの結末。
————
マスター
「あのなぁ…」
「何があったら知らねーけど…」
バラバラになった
ウイスキーの棚を掃除しながら
喋るマスターを横目に
2人は
ただ黙って対峙していた。
マスター
「シン、おめぇよぉ…。」
「普通なら逮捕だぞ…。」
「警察には言わないけどよ…」
「酒代はつけとくからな…」
「後できっちり返せよ…」
マスターが
何を言っても、
シンはジッとミカを見ていた。
ミカも
無表情で目を逸らさない。
マスター
「聞いてんのか!」
「とにかく弁償しろよな!」
「でよ!もう一度言うぞ!」
「何があったかは知らねーよ!」
「とにかく俺の店でやるな!」
「2人も帰れ!」
マスターが
シンの肩を掴んで
出口で誘導した。
シンは
何も言わず
そのまま店を出ようとした。
出る直前に、ミカが ぽつり。
ミカ
「哀れね。」
その言って
ニヤリと口角を上げた。
ミカ
「アタシの勝ち。」
シンは
出口のドアノブを
一瞬離した。
マスター
「おい…ミカ!」
「余計なことを言、」
バタン!
シンは飛び出していった。
マスター
「…ったくホントに」
「いつまでガキなんだ…」
「ミカ、お前もだぞ。」
ミカ
「…はぁ」
「ごめんねマスター」
「アタシ手伝うね」
マスター
「当たり前だ!」
「お前…親戚じゃなかったら
もっとブチギレてるぞ…。」
ミカ
「うん」
「ありがと叔父さん。」
ーーー
シンは走った。
何処に行くのかも、
何で走りたくなったのかも
一切分からない。
でも走りたくなったのだ。
それ以上でもそれ以下でもない。
ダッシュしていたら
いつの間にか
自分の店についていた。
自宅じゃなくて
自然と自分の店舗へ
帰っていたのだ。
シン
(バカみてーだな…)
(25にもなってよ…)
(たかが小娘 1匹に…)
その日シンは、
店のテナントに泊まった。
シン
(俺は…)
(ミカのことが好きなのかもしれない。)
(でも今は憎い。)
(この気持ちはなんだろう。)
(あの声じゃないミカに会いたい。)
シン
(ミカ……ミカ……)
その日は、
天井を見つめて過ごした。
眠れぬまま、朝日が登った。




