LOG.12 ― 首輪に、鎖を / CHAIN ―
——実話。
こんな人生で、マトモは無理だった。
これは、
現実にあったかもしれないし、
無かったかもしれない。
もう一つの結末。
————
映画館についた2人は
その時の
話題 ど真ん中だった、
“すずめのドア”を見てきた。
ミカ
「ねぇ…」
「どう思った?」
「ラストのシーン…。」
シン
「あぁ…」
「凄かったよね…」
「ちょっとビビった…」
シンは
ポップコーンのゴミを
ゴミ箱に捨てながら、
ふと、ミカを見た。
シン
「おや…?」
「メイさん、泣いてる?」
「ラスト、怖かった?」
ミカ
「うん」
ミカは下を向いて
目をゴシゴシした。
シンは…
カウンターを食らった。
こんなにあっさり、
ミカが
弱さを出すと思ってなかったのだ。
シン
(か…可愛い…!)
(さすがに可愛い…!)
そしてミカは
ついに本格的に
泣き出してしまった。
シン
「え!?」
「えっと、えっと」
「こっちきて!」
シンは、
とりあえず
急ぎでゲーセンへ避難した。
焦りのまま、
”猛獣との正しい距離感”
を、すっかり忘れていた。
ミカの腰に手を回してしまい、
緊急避難として
プリクラの中へ誘導した。
これが、いけなかった。
プリクラに入るなり、
シンはミカの顔を覗き込んだ。
ミカは顔を、
ぷいっとそらす。
シン
「ねぇ、大丈夫?」
「急にどうし、」
ミカは突然、
シンの耳をつかみ
強引にキスした。
シンには……
もう抵抗する理性は
残っていなかった。
ミカ
「もうイヤだ、外。」
「怖くなった。」
「シンと、くっつきたい。」
ミカ史上、
最も甘い声だった。
そのまま、
2人は何も言わず、
ゲーセンを出て駐車場へ戻った。
ミカ
「ねぇ…」
「ちゃんと向かってね。」
「ホテルに。」
「…逃げないでね。」
シンは
何も答えなかった。
その代わり、
体を助手席に乗り出し、
今度はシンからキスをした。
シン
「わん」
今、
終わりが始まろうとしている。




