表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ラベンダー・キャンベルの『悪役令嬢』に挑んだ後、婚約破棄される公爵令嬢は、先に婚約破棄を申し出ます  作者: ましろゆきな


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/14

第五話:夜の寝室侵入

 魔塔での頭脳戦が終わり、翌日には外部への情報収集のため、ユーリとの接触という危険な行動を控えていた。その夜、クロエの心は、ゼノスの甘い言葉と支配的なキス、そしてユーリへの心配との間で揺れ動いていた。


 クロエがようやく寝台に入り、眠りにつこうとした、深夜のことだった。


 パチリ、と部屋の明かりが灯った。


「まだ寝なくていいよ、クロエ嬢」


 驚いて跳ね起きたクロエの目の前には、白と金の刺繍が施された寝衣姿のゼノスが、優雅に立っていた。彼は、昼間の軽薄な笑みではなく、獲物を追い詰めた獣のような、切実で熱を帯びた視線をクロエに送っていた。


「ゼノス……? なぜ、ここに……」


「なぜ、だと?」


 ゼノスはゆっくりと寝台に近づき、冷たい手をクロエの頬に触れさせた。


「君は明日、私以外の男に会うのだろう? 君の心が、再びあの純粋な騎士の『過去の愛』に傾く可能性を、私の理性は受け入れることができない」


 彼の瞳は、もはや研究者の知的な光ではなく、孤独への恐怖と独占欲に支配されていた。


「だから、君の身体に、その愚かな可能性を忘れさせるための『印』を刻んでおかなくてはいけない」


 抵抗する間もなく、ゼノスの身体が覆いかぶさってきた。彼は容赦なくクロエの寝間着を剥ぎ取り、その白い肌を露出させた。昼間とは違う、剥き出しの欲と支配が、部屋を満たす。


「私のものだ。私のものだ。 私は君を愛し、君を支配する。君の身体は、この孤独な世界の創造主に仕える私にこそ、愛欲の証を刻まれるべきだ」


 ゼノスは、呪文のようにその言葉を繰り返しながら、クロエの全身にくまなく、熱いキスマークを刻み始めた。首筋、鎖骨、胸元、そして腹部へと、その痕跡はまるで魔力の刻印のように肌に残っていく。それは、ユーリを含む、いかなる人間の目にも、クロエがゼノスの所有物であることを見せつけるための、最終的なマーキングだった。


 クロエは羞恥と恐怖で抵抗しようとしたが、ゼノスの指先が触れるたびに、彼女の身体は抗いがたい熱と快楽に襲われた。


「身体が、私を求めているだろう? 嘘はつけないよ、クロエ嬢」


 ゼノスはそう囁くと、彼の愛欲に満ちた手が、クロエの身体の最も敏感な場所に滑り込んだ。彼の巧みで、魔術的な指の動きは、クロエの貞節な心を打ち破り、激しい快楽の波で上書きしていく。


(ユーリ……ユーリのことなんて、考えられない……!)


 クロエは抵抗を試みたが、口から漏れるのは、ゼノスの名と、抗い難い快楽の吐息だけだった。ゼノスは、クロエが肉体的な快楽に溺れ、自分に完全に意識を向けたのを確認すると、満足げに笑った。


「いいね。その愛欲に満ちた表情と、私の支配に屈した身体こそが、君の真の姿だ。これを覚えておけば、あの騎士の顔など、すぐに忘れてしまうだろうさ」


 夜が明けるまで、ゼノスの支配的な愛撫と、クロエの全身へのマーキングは続いた。それは、愛の行為でありながら、孤独な支配者による、哀れな獲物への精神的な鎖でもあった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ