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【完結】ラベンダー・キャンベルの『悪役令嬢』に挑んだ後、婚約破棄される公爵令嬢は、先に婚約破棄を申し出ます  作者: ましろゆきな


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第十九話:水面下の工作と最後の素材

 1. カサンドラの搬送:宿敵との密会


 ユーリとの協定が成立した直後、ゼノスは魔塔の結界を一時的に解除し、カサンドラを搬送するための段取りをつけた。彼は、意識のないカサンドラの隣に立つユーリと、最後の密会を果たした。


「いいかね、騎士殿。カサンドラは、魔力の暴走で『聖女の役割』という偽りの記憶を失っている。彼女が目覚めても、混乱しているだけの一人の女性だ。君の使命は、彼女を安全に王都へ運び、王家には『魔塔の結界から保護した』と報告することだ」


 ゼノスの声には、もはや嫉妬や支配欲の棘はなく、純粋な戦略的な冷徹さだけが宿っていた。それがかえってユーリの苛立ちを募らせる。


「貴様の言葉など信用できるか。だが、クロエ様の意思だ。私は、この女の魂を、真の人間として救うために動く」


 ユーリはそう吐き捨てると、静かにカサンドラを抱き上げた。彼は、かつてのライバルであり、ヒロインであったカサンドラを、純粋な献身をもって王都へと運び出す。


「一つだけ警告だ、騎士殿」


 ゼノスは、去り際にユーリを呼び止めた。


「君がこの協定を裏切れば、君の愛するクロエは、永遠に存在を抹消される。そして、君が救ったその女性も、無意味な世界の中で再びシステムに組み込まれる。……君の騎士道に期待させてもらうぞ」


 ユーリは返事をせず、ただ深く頷くと、闇夜に紛れて王都へと急いだ。


 2. 最後の素材:エーテル収束結晶


 ユーリを見送った後、ゼノスはクロエと共に研究室に戻った。


「カサンドラから得た情報によると、この世界を覆う次元の壁を破るには、『物語を創造した者にしか扱えないレベルのエネルギー』が必要だ。そのためには、最後の素材がいる」


 ゼノスは、魔法陣に書き出した素材の名称を指差した。


「『|エーテル収束結晶《Aetheric Focus Crystal》』。これは、王城の最深部にある王家の秘宝庫にしか存在しない。かつて創造神が世界を構築した際に残した、次元間エネルギーを収束させるための鍵だ」


「王家の秘宝庫……ユーリに、そんな場所に侵入させるの?」クロエが驚いて尋ねた。


「ああ。だが、彼は騎士団長としての地位と、カサンドラ救出という大義名分を得て、王都では英雄扱いされているはずだ。『聖女を救出した褒美』として、あの秘宝庫に一時的にアクセスする権限を得るか、あるいは騎士としての職権乱用を行うか。それは彼の『純粋な献身』がどう機能するかによる」


 ゼノスは、クロエの頬に触れた。


「私たちがすべきは、彼の帰りを待ちながら、脱出のための術式を完成させることだ。もう支配はない。君の知性と、私との魔力同調をもって、二人の自由という名の最終術式を編み出すぞ」


 3. 脱出術式の完成


 ゼノスとクロエは、魔塔の研究室で、次元の壁を破るための最終術式の設計に没頭した。


 クロエは、過去の物語の法則の知識と、ゼノスから得たシステムのコードを分析し、「最も摩擦が少なく、安全に次元を離脱する方法」を提案した。ゼノスは、その論理構造を魔力で組み上げ、愛と知性が融合した、二人だけの術式を完成させた。


(もう孤独ではない。この知的な共同作業、そして、彼女の隣にいるという確かな事実こそが、私が求めた全てだった)


 ゼノスは、術式の最終調整をしながら、隣で真剣な顔をしているクロエの横顔に、初めて「真の幸福」という感情を覚えた。


 残るは、ユーリが持ち帰る最後の素材のみ。

次回予告:

1/3 21:00更新

『 第二十話:最後の献身と次元の脱出 』

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