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傷ものメイドはBLゲー攻め達に囲まれる〜悪役令息の執着が止まりません〜  作者: 日月ゆの
第三章

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ノア様の色気増強髪型会議、発足!

 



 剣術大会が終わった2週間後の放課後、リオンが突然教室に訪ねてきた。

 ミラの机に手を置いた彼に深刻顔で問いかけられた。



「あのさ! ミラちゃんって舞踏会を誰と行くか決めた?」


「来月末の舞踏会のことですか?」



 来月末に学院生のみ参加の舞踏会が学院大ホールで開催される。

 デビュタントの予行演習としての意味らしい。

 なんともお貴族様らしいイベントだ。



「うん! サポキャラのお仕事させてよー」


「お仕事の協力したいんですが、私、参加しませんよ」


「は?」



 リオンが顔色悪く、めまいをこらえるようにミラの前の席に座った。

 全身で理由を問いかけるリオンに、ミラは素直に答えた。



「まずドレスを持ってませんし、貸し付けはサイズないでしょうから。両親に頼むのも気が引けますしね」


「えっ?! そんなのミラちゃんだったらさ! ノアくんやらエルくんやらがプレゼントしたがるでしょ?!」



 大げさなくらい両手を動かしリオンが言う。

 けれど、ミラは首を傾げる。


「なんでノア様が?」


「もう完璧にノアルート入ってるでしょ?!」



 リオンの重ねた言葉にミラはさらに顔をしかめる。



「ノアくんは絶対に舞踏会に出たいって!」



 リオンのほうが必死なのは理解不能だ。

 けれど、ノアが舞踏会に出場したいというならば、話は違う。


 専属メイドとしてのミラが顔を出す。



 ご主人様が舞踏会に参加されるとしたら、正装される。

 ほとんど社交に行くことないノアは去年正装は作ったきりで今年はまだ採寸すらしていない。


 流行遅れのサイズ合ってない衣装なんて、誰もがうらやむ筆頭公爵家嫡男の“ノア・ラスフィ”にふさわしくない。



 一度考えを巡らせてみると、もう止まらない。



 ミラは落ち着かない気持ちで、勢い良く机から立ち上がる。



「ど、どうしましょ?! その舞踏会のノア様の準備がまだ私出来てません?! 私専属メイドとして失格ですっ!」


「え? そっちの心配してんの?」


「そっちの心配よりなによりノア様の心配のほうが重大ですよ?!」



 自分でも何を言っているかもわからない。

 だが、専属メイドとしては満点回答だと心の中のセルゲイが親指を立てた。


 途端、なぜかリオンが口をあんぐりと開けたまま固まった。



「あの、ノア様の髪型なんですけど、片側をなでつけるだけでなく、前髪をゆるくウェーブさせて流す方はどうですかね? ノア様の艶やかなアメジストの瞳が引き立つと思うんです」



(大人の魅力あふれるノアさまに、女性陣イチコロですよ! )


 

 にこっとミラが笑いかける。

 リオンが今度は両手に顔を埋めて伏せてしまった。



「無自覚ヒロインのメイド属性威力激しめ……勘弁して」



 リオンが消え入りそうな声でつぶやいた。


 メイドという単語が聞こえたが意味がわからない。

 それにノアの髪型について早急に意見が欲しい。



「ノア様のお色気増強作戦についての意見……」



 するとリオンがゆらりと立ち上がった。


 それから、ミラの両肩をがしっと掴むと目をしっかりと合わせた。



「じゃあ本人にまずは参加するのか確認したら? パートナー必須だし、パートナーに合わせて衣装決めたりしないとダメだしね!」



 一息でリオンが言い切った。若干リオンの瞳が据わっている。



「参加、パートナー必須?」



 ミラは頭が真っ白になる。



 失念していた。

 舞踏会にはそんな規則があったことを。自分に全く関係なかったために。


 ということは、ノアが出場したいくらい、誰かをエスコートしたいと望んだということ。


 大の社交嫌いで王宮からの招待以外断る主人が。



(ま、まあ、パートナーさんがおられるのならば、合わせた衣装が良いですし……)



 ⸺ノアは、すでにその女性を誘っているのだろうか。



 ミラは胸が突き刺されるような痛みを覚える。


 どくどくと逸る心臓をなだめるように、そこに手をやった。


 なのに、手のひらの下で暴れる鼓動は、どうしても静まらなかった。



(こ、これは準備が不十分だから不安なんでしょう……)



「ミラちゃんは気にならない?」



 リオンがじっと顔を覗き込む。大きな瞳には、なにかしらを期待する色が。


 気づいてしまえば、ふと冷静になる。


 誰だって『氷の貴公子』の相手が気になるのは当然だ。



(それに、これはメイドとしての業務の一貫です! )



「まさしく! 早速、確認しにいきましょう!」



 ぐっと両拳を握ったミラに、リオンはぱちぱち瞬きを繰り返す。



「先にいってしまいますよ! リオンくん!」



 ぱたぱたと教室の扉に向かうミラは、いつまでもやって来ないリオンへ振り向く。



「……絶対ノアルートなのに、ヘタレと鈍感同士だとこうも拗れるのかぁ。心労エグ過ぎ〜」



 リオンは深いため息を吐くと、ミラのもとへ足を向けた。

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同じ異世界恋愛短編ですお時間あればぜひ 追放された幼女聖女ですが、今はエルフ王子に溺愛されています
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