生存ログ一日目:通知と数値の同期
★ 状況確認フェーズ/視点固定
『魔界』ダッシュは……『地上界』での地盤が整ってからだ。
……でも、さっきから、なんか、視界の端にちらつくものがある。これって……?
「レベルアップ……?」
いや、違う。視界の上に、電光掲示板のようなテキストが流れている。
ゲームをやっていればおなじみのやつだ。「全体通知」が上、「チーム通知」は下。
でも、今の俺は……ソロプレイだよな?
「全体通知」なんて来るわけないのに……。
「まさか、これ……空母で見た、『ステイタスボード』……?」
……うわっ!
★ UI認識フェーズ/異常検知
目の前に浮かび上がったそれは、マイピのUIとは、まったく別物だった。
体力ゲージをタップすると、胃や小腸まで3Dで表示される。
「これ……地球の『ステイタスボード』じゃん……!」
『USアレキサンダー』で、現実に見えていた、あれ。
まさか、ゲームの中でも現れるとは思ってなかった。
試しに、みかんをひと房かじる。
すると、マイピの「満腹度ゲージ」と、地球の「空腹度ゲージ」が、同時に変動した。
逆方向に動いているから、すぐ分かる。
「……え? ゲームで食べたら、リアル体も空腹度が回復するってこと?」
★ 生存条件再定義フェーズ
ってことは、俺の体は、まだ地球にある?
いや、でも、飲まず食わず排泄もできないゲームだったら、リアル体はどうなる?
ぞわっとした。
「……リアル体が死んだら、ゲームの俺も死ぬんじゃね?」
普通のゲームに「排泄コマンド」なんて無い。
「ログアウト不能な状態」で、それは……命取りだ。
◆ 制度通知ブロック開始
(ピロン♪)
突然、ホログラムの通知音。
『リアル側のステイタスボード』に、メールが届いた。
『山崎悟、生きているか?
私は『USアレキサンダー』艦長、アレキサンダー・シュトラウスだ。
届いているかどうかわからないから、1通目で全部書く。
返信ができるなら、まず「生きてる」と一言、最初に送ってくれ。
それから、続きを読んでくれ』
★ 接続回復フェーズ/判断即応
「うおおっ!? 大佐ァーーーーッ!!」
大佐直々のメール。
考える前に、指が動いた。
とにかく、「生きてます」と打って、送信した。
◆……AI副官ログ(AI LOG)……
【AI副官デリミタ子】
・状況更新:リアル体との同期確認。死亡リンク仮説、成立可能性高。
・行動評価:即時返信は最適。通信断絶リスクを最小化。
・思想ログ記録:「ゲーム内生存=現実生存」仮説、確定扱いへ移行。
◆……AI副官が用意したコメント欄(ECHO-WALL)……
1. 「二重ゲージ怖すぎる」
2. 「排泄問題、避けて通れないのリアル」
3. 「大佐の一通目が重すぎる」




