ポテチ欲望が文明を呼ぶ
★ 生理対応ログ:最低限の尊厳
破壊アドオンをオフにして、隅の岩を縦に三つ。
──ガコン、ガコン、ガコン……。
うわっ、水!?
地下水!?
この下、水かよ!?
……いや、むしろトイレするには最高じゃね?
水洗!
バンザイ!
あとは、流れていってくれる未来を祈るのみ。
……うんこもしたい。
あ、そういや――。
★ 記憶復帰ログ:料理アドオンの存在
普段なら即気づいてた。
でも、テンパってて忘れてた。
俺、料理アドオン入れてたじゃん!
ポテチ食いたくて入れたやつ!
ただし、ゲームと違ってレシピが出ない。
じゃがいもも無い。
条件を満たさないとレシピが見えない。
『KIWAMI』モード仕様だったか……。
……まぁ、ポテチって、芋とオイルだろ。
あとはフライヤー。
芋は畑。
油は、菜の花、コーン、オリーブ……。
素材があれば思い出せる。
問題ない。
俺は、できる子。
★ 思考暴走ログ:自動化の呪い
──いや、でも待てよ。
どうせ農業始めるなら、大規模でいくよな?
となれば、自動化した方が楽。
……いや、これ。
結局また、工場ゲーじゃん!
王国時代は、それが楽しかった。
でもさ……。
五年もやると、飽きるわけ。
アドオン、200テラ超えてたし。
今度こそ、のんびり。
スローライフ。
ひとりで。
……の、はずだった。
でも、ポテチのためには芋。
芋のためには畑。
畑のためには大規模化。
そして――自動化。
──堂々巡り!!
★ システム説明ブロック:アドオン受取仕様
実は、アドオンを入れると、ゲーム開始時に
「説明書き」と「見本アイテム」
――つまり、「追加アドオンアイテム」が渡される。
それらは、インベントリに入る。
……入る、はずだった。
俺が入れているアドオンは、とんでもない量だ。
個人用インベントリには、収まらない。
さっき、竹藪の中で、パンダの隣にスポーンした瞬間。
インベントリに入らないアイテムが、宙にプカプカ浮いた。
『空中盆踊り』。
そして、このゲームでは、
放置されたアイテムは、5分で腐る。
ボーナスアイテムが腐って、使用不可。
俺みたいな連中が、メーカーに直訴し続けた結果――
仕様が変わった。
「追加アドオンアイテム」は、
チェストを大量に作った時に、
任意で受け取れる。
なぜ、アドオン制作者じゃなく、メーカーに行ったか?
答えは簡単。
アドオン制作者、何千人いると思ってる?
しかも、メーカー公式サイトで有料アドオンを売っている制作者は、
メーカーに自動で上納させられている。
アドオンが増えれば、メーカーも潤う。
なら、管理もメーカーがやれ。
――俺たちは、そう頼み込んだ。
だって、全員、アドオンを何百も買ったお得意様だ。
『マイピ』に、百万円以上使ってるんだから。
ちょっとは、優遇してぇ!
というわけで。
アドオンアイテムの「別受取」が可能になった。
もちろん、俺だけじゃない。
『マイピ』ユーザー、全員だ。
ただし――。
その中から、
一部だけ受け取ることは、できない。
全部受け取るのみ。
★ 数量確認ログ:絶望的現実
……つまり。
俺の場合。
受け取りに必要な、
ビッグチェストの数──52個。
◆――AI副官ログ(AI LOG)――
【AI副官デリミタ子】
──初期生活環境、最低限確保。
──欲望トリガー:《ポテトチップス》を確認。
──スローライフ志向と自動化衝動の矛盾を検出。
──アドオン受取要件:ビッグチェスト×52。
──次段階:《収納設計》が生存計画を上書きする可能性あり。
◆――AI副官が用意したコメント欄(ECHO-WALL)――
1. 「水洗トイレ即発想するの強すぎる」
2. 「ポテチ一枚で文明が進む」
3. 「堂々巡り!!で声出た」
4. 「空中盆踊りは想像したら地獄」
5. 「ビッグチェスト52個で察した」




