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サバイバルゲームで一括破壊したら惑星がひれ伏しました。  作者: 設楽七央


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《精神摩耗戦線》ウォー・ルーム

★ 業務環境ログ:大統領選挙という名の戦争体制


 というか、11月の大統領選挙に向けて、データアナリストとして出向させられて、マジ、日本のブラックさながらの半年が経過。選挙90日前〜投票日までは『ウォー・ルーム(戦争体制)』、ただいま真っ只中! 休みは「スキャンダルが出なかった日」のみ! 今日は帰宅できただけで天使の采配!

「年収4,000万って言われたけど……そのうち3,500万分くらいは寿命削ってんだよな、これ」

 早死にしそう……俺コミュ障なのに! こんなリアルタイムで何百人が動いているとこ、座ってるだけでも嫌なのに! 壁のすみにデスクを移動させてパーテーション立てさせてもらった。無理! こういうのが通用するのはアメリカのいいところだよな。コミュ障にも人権がある。日本だと今だに「課のコミュニケーションがー」とか「みんなの顔色みて~」とか言われるもんな。うぜぇんだよ。俺が見る顔色はAIだけでいいんだ。お前なー、AIが一分間でどれだけの数の「答え」をあげてくるか知ってるか???? 人間の顔色見てる場合じゃねーんだよ!

 だが全員が、パーティーションを押しのけて俺の周りに立ってる。百枚のモニタを全員が必死で見てる。怖い。やめて。どっかいって。ここは俺の仕事場! 必要なことはスマホに出すからここにいないで!


★ 休息判定ログ:人間の限界



「週休? AIに『今日はおまえ脳死してます』ってロックされて寝た日が2回あった。それが休み?」

 会社からの推薦を受けて、キャンペーンから正式に雇われたのは三回目……データアナリストなんて俺じゃなくていいのに……

 一回目にちょっとした手伝いで入ったときに言っちゃったんだ。

「理屈はわかる。だけど、なんでだろうな……この案、吐き気がするんだよ」

 それを、聞いてたやつがそのまま上にあげたらしい。日本なら上司から問答無用で「怠けるな!」って雷が落ちるところだけどここはアメリカ。上の人は静かに問い詰めてきた。そしてそこでも俺が言ったのは「これ……誰かの誘導じゃないか?」

 上司は何も言わずに去った。

 

★ 事後分析ログ:信任と報酬の歪み


 そして、実際、そこで事件が起こりかけたんだって。「変だ」と現場が気づいた瞬間、その上司が俺を問い詰めたやつで、俺の言葉を思い出してストップかけられたって。信任案グラフがグッ、と下に傾いた瞬間止められたってドンペリ三本もらったので「酒いらないので睡眠ください」と言ったら、給料が三倍になった。週給12,000ドル! 違う! 俺がほしいのは睡眠だよ! スリープ! 現金じゃねぇ! 給料増えたら税金処理がめんどいだけ!!! もちろん税理士いるよ。でもさ、週給12,000ドルって言った瞬間、税金関係のSlackチャンネルだけ爆増したの。「贈与税はかからない収入ですよね!?」ってさー…………仕事増えてんの、俺じゃん……


★ 生活設計ログ:問い合わせという最大の敵


 俺のコミュ障は「問い合わせされる」ことがだめなんだよ。時間を全部俺だけで使いたいの! もちろん、メール見るのは夕方一回だけだけど、さすがに税務処理はリアルタイムじゃないとだめだから割り込んで来るの! ソレが異常にうぜぇ! けど、月給だった日本と違って……って、日本は税務処理年一回だからな! アメリカは週給のうえに、税務も「週一処理」! そりゃ、即日解雇がある世界だからな! もう自分でやってられない。ファイナンシャルプランナーも執事も雇いました! これでも圧倒的に手間は減ってるんだよ。でも、自分でやると「自分のペース」で「問い合わせがない」けど、人にやってもらったら問い合わせが来るの! 会社だと、部長室で俺一人のんびりできるのに、選挙事務所ってずっと何十人と人がいて、何百人が出入りしてる。もう、ね……寿命の導火線が手に取るところに見える感じ。

 

 

 ◆――AI副官ログ(AI LOG)――


【AI副官デリミタ子】

 ──業務環境:ウォー・ルーム体制継続中。心理摩耗指数 上昇。

 ──報酬増加と負荷軽減の相関なし。逆転現象を確認。

──問い合わせ頻度:ストレス主要因として確定。

 ──次段階提案:《生存優先設計への再配分》。



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