万象を束ねる艦長の技
★ 異音発生/安全確認フェーズ
…………ポンポンポンッって、なんか、空気鉄砲撃つような音が聞こえた。カワイイ音だけど、ぜったい可愛くないことやってるはず。
★ 艦長放送/新規運用説明
『艦長より総員に告ぐ。艦長より総員に告ぐ。今の射出は『スキル』で、私が実行したものである。当艦への危害はない。この射出音は安全である。
新たな攻撃を開始した理由は一つ。もっと内陸まで国民を救助するためである。
『USアレキサンダー』のミサイル以外の有効射程は五万二千メートルだ。
ただし、砲撃・レーザー系は**地形追従も目標選別もできない**。
海上や沿岸なら問題ないが、内陸部では人間と巨大動物を区別できず、使用すれば必ず民間人を巻き込む。
だから内陸への直接攻撃手段は、現状ミサイルに限られる。
そして私は、**国民が残っている地域に、無差別兵器を撃つ判断を取らない**。
実機のプチドローンでは、沿岸部しかカバーできないためにプチドローンを金属の射出機で内陸へ飛ばしている。このスキルの組み合わせを今、編み出した『スキルの組み合わせ利用方法』である。延々と射出するのでこの音を聞き分けて安心してくれ。
このように、スキルの組み合わせでさまざまな利便性がある。生活、攻撃、防備、救助、なんでも良いので、思いついたスキルを使って利便性があがったなら、『ジェットボート』の使い方のように、私に教えてくれ。君たちの頭脳がこの艦の能力を上げるのである!
『ジェットボートの使い方』を編み出したのは、デイモンキャラダイン二等兵、私に報告したのが、ラウルクリーズ上等兵。二人を一階級特進とする。
頼むぞ!』
大佐また職員向けの話、全艦放送に流してますよね?
プチドローンって可愛いけど、エグそう。地雷系だよね?
★ 内省/スキル再評価
ふーん…………「スキルの組み合わせ」か……そういう情報が入ると、『ステイタスボード』を見直さなきゃいけないな。というか、『ジェットボートの使い方』って何?
「俺の『ポテトチップス』と『投てき』ってスキル、組み合わせたら遠距離スナック攻撃とかできるんじゃ……遠くから口封じ!」
……これ絶対怒られるやつだな。
「俺の『軽業』と『荷物運び』ってスキル組み合わせたら、宅配エースになれる? って、何やってんだ俺……」
こんな世界で宅配なんてもう意味ないよな。
◆ 生存者会話/情報翻訳
「悟、今の放送、なんて?」
「日本語訳にする?」
「いや、難しくて聞き取れなかった」
「ああ、はいはい。さっきポンポンって音がしたのは、『ステイタスボード』のスキルを組み合わせた新攻撃だから気にすんな、って。スキルを組み合わせていろんなことができるから、面白いの思いついたら教えてくれってさ」
「意味がわからん」
だよね。
★ 外界確認/継続する異常
……シーン。
入口のモニタが、さっきと同じように
船の周囲を映している。
相変わらず、ゾンビ帝国。
巨大ゴキブリの大群が空を覆い、
鳥にバクバク食われながらも、
数を減らすどころか、どんどん拡大していく。
★ 再放送予告/艦長の姿勢
『艦長より総員に告ぐ。艦長より総員に告ぐ。
忙しくないものだけ聞いてくれ』
また大佐の放送だ。忙しいはずなのに、こんな細かく語りかけてくんのすごいな。
まさに聖人だわ。
◆――AI副官ログ(AI LOG)――
【AI副官デリミタ子】
──《スキル組み合わせ》運用、正式共有段階へ移行。
──全乗員を「受動的戦力」から「発想提供型戦力」へ再定義。
──戦闘継続下でも知的余地が生存率を押し上げる局面に入った。
──次フェーズ:スキル発想競争と実装選別。




