まだログイン一日目、地獄の24分
思考の暴走は、恐怖より静かに人を壊す。
それでも言葉を吐き出すことで、人は自分を維持する。
――生産と破壊の間に、王は呼吸する――
村人を殺しまくって、村巨人から逃げまくったテストプレイが懐かしい……。
あのときは村人の目を盗んで村長家に殴り込んで、5人殺したけど、セーフ! とか言って笑ってたし、この先もどうせやるので、夜明け前に『村巨人』についてちょっとだけ説明! ドドーン!
なんで今? 説明してると俺の精神が落ち着くからだ! ドン!
10秒後にやることも考えないといけないが、その前には精神統一が必要!
ああ、『村巨人』についてちょっと喋りたい! というのを我慢して、他のこと考えても俺の場合、上手く行かない。
喋りたいだけ喋ってから次に行くほうが、急がば回れで速い!
なので、『村巨人』について軽くドドン!
村には村の守護神として『村巨人』が湧くんだ。身長四ブロックの鉄の巨人だ。ラピ◯タのアレみたいな感じ。「領土」の人数10人に対して一体湧く。俺の一億人国家だと、一千万人がうろうろしてた! すげーっ! 衛兵扱いだな。
それより少ない村でも、「世界が作られた最初」に『村巨人』は一体だけ湧いている。
大きな城でも湧くけど、そっちの場合は甲冑をつけているので『城巨人』と呼ばれるな。
村人を一回殴ると村巨人が駆け寄ってきて逃げるまでタコ殴りされるし、村に近づけなくなる。「排除」機能なので村の外まで追いかけては来ない。でも、入ったら殴りに来る。翌日なら大丈夫。一日限りの指名手配って感じかな。
だから、村に入るときは『村巨人』が来る前にサクッとやる! それしかない!
そのまま逃げ切れば「村巨人は犯人を見ていない」という扱いになるのか、何事もなかったように入村完了!
テレパシーみたいなものはないんだな。追いかけられても、細かいところを潜っていくと普通に見失われる。
通称、「逃走巨人ルール」。発動タイミングを間違うと地獄だ。
『村巨人』は倒すと『村巨鋼インゴット』を落としてくれるんだ。分解すると鉄インゴットが10個できる。序盤の鉄素材!
『村巨人罠』という自動装置を作れば、掘削しなくても鉄がザクザク入手できるぜ! これは後で作るからその時紹介する。
『城巨人』なんて装備品もドロップするからね。城のランクが最高になるとダイヤ装備をドロップする。
だから、掘削するより領土を作って内政して、『城巨人罠』を作ったほうが簡単に鉱石や装備を入手できるんだ。
うん。──以上、『村巨人』についてのサクッとドドン!講座でした。
よし、すっきりした。詳細はまだまだあるけど、簡単な説明でいい。
夜明けあとの話をしよう!
ちなみに、ゲームログインから一日目がこれから終わる! まだ24分経ってないぜー!
4ヶ月ぐらいヤッた気がしただろ! 俺もだ。
な? だから、絶望感がよぎったんだよ。
ログアウトできないなら、このペースでこの先もずっと進むんだ。
休めるのは、工業システムを配置して自動化がある程度整ったあとの話だから……ゲーム時間で数カ月後じゃないかな。
考えるだけで吐きそうだろ?
俺の脳みそのベンチマークテストされてるようなもんだよ、まじで。
「ベンチマークテスト」ってのは、本来は機械がどれだけ性能出せるか測る試験なんだけど──人間でいうと、ブラック環境で何日連勤できるかって話だ。
『マイピ』では俺の脳みそと精神力と集中力が、毎秒毎秒「お前の限界どこだ?」って問われ続けてる。
圧迫面接で面接官が5秒無言になったときのあの感じ。
100キロマラソンでゴール時間を測られながら走り続ける感じ。
箸で豆を掴んで別の皿に移し続ける、集中力48時間耐久の感じ。
それが『今の俺』。
つまり俺は──常時処理能力試験中。
俺のベンチマーク脳が……もう、火を噴いてる!!
それがずーっと続いてる。
キツイです。
きついですが、きっとこの先48時間もそうなると思う。
圧迫面接48時間、考えてみて……
「だから、コメント頂戴!」
◆――AI副官ログ(AI LOG)――
[T+5820sec] 【AI副官デリミタ子】
──敵勢情報:村巨人/城巨人の出現確率と生成条件を再分析中。
──行動解析:説明衝動→自己鎮静ルーチン発動(精神安定行動と判断)。
──生理状態:思考過負荷・睡眠剥奪警告。
──提案:1. 休息シーケンス導入 2. 優先タスク減算 3. コメント入力による対話的減圧推奨。
◆――AI副官が用意したコメント欄(ECHO-WALL)――
1. 「『村巨人罠』の経済設計が秀逸すぎる」
2. 「説明が自己鎮静って発想が最高」
3. 「『常時処理能力試験中』、この言葉が刺さる」
4. 「圧迫面接48時間、想像しただけで吐きそう」
5. 「『コメント頂戴!』で笑ったのに、笑えないリアル感」
「説明癖」という名の防衛本能。
それが、彼を次の朝へ連れていく。
次回――二日目の夜明け、そして初めての『自動化』。




