表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
サバイバルゲームで一括破壊したら惑星がひれ伏しました。  作者: 設楽七央


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

65/79

動けば死ぬ、動かなければ確実に死ぬ

人は「動く」と「動かない」の間で生きている。

その狭間で、火を守り、息をつき、世界をつくる。



――「些事」と呼ばれるものが、人生そのものだ――






 かまどの下のチェストを確認。できている炭を回収して、上のチェストに丸太と苗木を追加……しようとして、あと十分では使い切らないだろうから、追加をやめた。


 全部、些事だ。

 これらは、些事だ。


 決定するのが怖いから、後回しにしている。


 なぜなら、『このゲームから俺がログアウトできない』なら、ここが俺の人生になる。


 人生って、悩むものじゃん?

 ゲームだから「やってみる」ができるんだ。「死んでもやり直しが効く」から。


 死んだら終わりなら、「死ぬかもしれないこと」は極力選びたくない。

 でも、じっとしていると、そのうち攻め滅ぼされる。


 動くと死ぬ確率が上がる。

 動かなければ確実に死ぬ。


 強国の城壁の中で店を持ってスローライフでもいいんだ。けど、それだと稼ぎが少ないから、ドラゴン退治に行けない。野外スローライフでドラゴン退治ができるんだから、店を持ってスローライフもできると思うだろ? 「店を持つ」と「何日以上は営業」という「枷」が発生するんだ。そりゃそうだよな。土地を借りてるんだから。城の兵隊に守ってもらう代わりに税金として物納が発生する。チェストの中身がランダムで消えるんだ。価値には関係ない。だから、大事なものは城壁の外に隠しておかないといけないけど、もちろん、NPCに見つかっても盗まれる。地下を掘っても同じ。城壁の内側はその国だから。だから、城壁の近くに住んで、地下を掘って、地下の城壁の外側にチェストを配置する。国内のチェストにはゴミだけ入れておけばいい。もちろんそのチェストも、その国の掘削家とか、他の奴らに見つかると盗られる。チェストに鍵はかけられないんだよ!

 そして、『ドラゴンの心臓』がないと延命できない。そうなると、地球時間の十年くらいで死んでしまう。


 俺、まだ三十代だぞ?

 あと十年で死ぬって嫌すぎだろ。


 そもそも「強国」を『KIWAMI』でどうやって見つけるのか問題が難易度高い! 手近の国に居候して、国主アレキサンダーに攻め込まれたら終わり! アレキサンダーは敵国からアイテムを盗むスキルを持ってるから、地下で城壁の外においてるチェストからも盗んでいく。

 国に囲われるなら強い国じゃないと意味ないし、強い国は税金が高いから、大変。城壁のそばは城壁を攻撃されたときに一緒に被害がでる。確か、『KIWAMI』だと、攻撃されるたびにチェストの中身が一個ずつ減るはずだ。城壁際に住みたがるプレイヤーへの嫌がらせだな。


 だから、やることは決まっている。


 『俺の巨大王国』を作る。


 稼いで、装備を整えて、強くなって、ドラゴンを倒して、寿命を伸ばすアイテムをガバガバ集める。

 それ一択だ。


 だが問題がある。


 どこに作る?

 どこで立国する?


 木材で棒と板を作って、それらで塀を作成して湧き潰しをすれば、暫定でこの拠点は安全になる。

 だが、この起伏の多い場所を本拠地にしても仕方ない。起伏が多いと柵が倍の量必要になる。

 本拠地にするなら平地がいい。一括破壊があるから、山を削って平地にするのは簡単だが……鉄も取れるだろうし、どうしようか。


 二分経過。さっきの火傷で1減った体力は点滴のおかげで2戻った。

 今だと「一分で体力が1回復」――それが点滴の仕様だな。


 今は体力が十だから、「一分で一回復」だが、この先レベルが上がれば最大体力は十万を超える。

 そうなると「一%回復」なら一分で千増える! 後半になるほど効率が上がる。

 「固定回復」ではなく「%回復」だから、タイミングを考えるゲームになる。


 医療アドオンはすべて%判定で動いているのかもしれない。

 枕やベッドマットも欲しいが……それも、今は些事だ。


 デスストーカーが出るのは四日目から。

 今はまだ、「明日どうするか?」の話。

 四日後のことは、その後考えよう。


 村人を殺しまくって、村巨人から逃げまくったテストプレイが懐かしい。

 ナニも考えずに済んだ……




◆――AI副官ログ(AI LOG)――


[T+5640sec] 【AI副官デリミタ子】

──行動記録:資源再配置中断→思考遷移:決断遅延。

──心理傾向:生存確率算出ループに停滞(リスク回避指数0.94)。

──医療状態:点滴稼働継続/体力100%/火傷ステータス回復中。

──未来予測:第4日サイクルに『デスストーカー』生成確率24%。

──提案:①拠点移動検討②平地スキャン③意志決定アルゴリズム更新。




◆――AI副官が用意したコメント欄(ECHO-WALL)――


1. 「『動けば死ぬ、動かなければ確実に死ぬ』の矛盾が人間的」

2. 「十年で死ぬ三十代の王――妙に現実的すぎる」

3. 「%回復の考察、経済論としても面白い」

4. 「『些事だ』を繰り返す口調に、生存の哲学がにじむ」






この章は、『決断』を哲学的に扱った一話。

プレイヤーが「選択」を恐れる瞬間、それは生存本能の証だ。

次回――いよいよ、建国の一歩目。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ