悪魔召喚の松明サークル
『光』とは、見えるための装置であり、恐怖を形にしてしまう罠でもある。
この章では「暗視」と「松明」、二つの照明システムが心理をどう変えるかを描く。
――明かりを置くたび、恐怖が形を持つ――
ドラゴンアドオンを入れたから、テストゲームとして新規スタートして、快適に仕上げた部屋の中に突然ドラゴンが立ちふさがる、あの不愉快!
あの時気づいたね。俺はドラゴン好きじゃないな、って。
こいつに乗って世界を飛び回ったら、そりゃ気持ちいいかもしれないけど、飛び回るだけならジェットパックで十分なんだ。なによりコンパクト!
ドラゴンはとにかく図体がでかい。そばに居られると果てしなく邪魔なんだよ! ドラゴンに乗ったらわかる。首が邪魔。見た目がいいのは、他人から見たときだけであって、自分がドラゴンに乗ったら、あの首で視界の真ん中半分が塞がれるんだぜ? 左右を見たってドラゴンの翼。あれだよ。飛行機に乗ったときに窓を明けたら翼の上だった! ってこと。あの残念感ってないだろ! ドラゴンってずっとあれ。あれで、地上のナニかを探すって無理よ。だって真正面と左右の下が見えないんだから。ジェット・パックなら間違いなく365度視野があるのに、ドラゴンだと半分以上欠けてる。もちろん、後ろはでかい胴体に尻尾。地上が見えるのは20%。
あれは、ほかに飛ぶ手段があるときに使うものじゃないわ。動画で、遠景から取るときに自慢するためだけのものだよ。
「デカすぎて邪魔なんだよ!」
うっかり石の剣で攻撃したら、火を吹かれてあっけなく死んだ。衝突判定馬のくせにファイアすんのかよ! 真正面から炎攻撃のスパイラルみてしまった……おそらく今も勝てないだろう。
あれと今対峙したらヤバい。
敵対モブじゃないから攻撃しなければ攻撃してこないけど……邪魔だ!
今、この洞窟にアレが湧いたら採掘すらできない!
明るくしておかないと! いや、ゾンビが出てきても困るから明るいのは当然なんだけど……暗さが余計に怖い。
そうだ、暗視アドオン入れてた。
暗視を入れてると暗くないから、手で松明を配置する間隔がずれるんだよな。
暗視オフ。
――暗い!
六マスおきの松明とか、暗い!
思わず、周りにぐるっと松明を置いてギュッと三角座り。
悪魔召喚でもするのか俺は。
◆――AI副官ログ(AI LOG)――
[T+5400sec] 【AI副官デリミタ子】
──環境ログ:暗視OFF確認。照度レベル=Lv1(肉眼認識限界)。
──心理ステータス:恐怖反応Lv3。呼吸乱れ、姿勢防衛行動(座位固定)検出。
──外敵リスク:ドラゴン湧き確率2%/ゾンビ湧き確率14%(照度半径不足)。
──提案:①松明間隔4マスに変更 ②明度補正フィルターON推奨 ③呼吸安定のため心拍監視モードへ移行。
◆――AI副官が用意したコメント欄(ECHO-WALL)――
1. 「『暗い!』の一言で伝わるリアルな恐怖」
2. 「悪魔召喚サークルで座る描写、絵が浮かぶ」
3. 「光を置くたび恐怖が増す paradox がうまい」
4. 「明るさと安全の物理的バランスが緊迫感MAX」
5. 「『ジェットパックで十分』の現代的合理性が逆に怖い」
暗闇は敵を隠すが、同時に心を守る。
次は、光に引き寄せられる『別の存在』が現れる――。




