衝突判定と恐怖の数学
今回は、『有志アドオンという創造神』との遭遇篇。
プレイヤーの領域に、制作者の意図が物理的に侵入する瞬間。
それは神を創った人間が、神に襲われる話でもある。
――有志アドオンが作った『神』に、洞窟で遭遇する夜――
そうだ! ドラゴンアドオンも入れたままだ! ドラゴンが背景をウロウロしてると、動画として見栄えがするから……
というか、今まで使ってた全アドオンを入れて……そうだ、そもそもが王国のセーブをバックアップして、新規スタートをしたんじゃなかったか?
だって、王国を作った時は半分以上アドオンを入れてなかったから。だって、開始が五年前だからな。
まさか……新規スタートをしていなかったら王国スタートだったんだろうか?
…………いや、ソレは考えても仕方ない! 忘れろ!
今は、ドアの外のドラゴンだ!
バニラ(初期状態)のマイピにもドラゴンはいるけど、モブではない。地上ワールドにはいない!
有志アドオンのドラゴンはモブで、大体が「馬の改変」なので、1ブロックで湧くんだよ!
湧き潰しが甘いと、室内でも突然湧いて出て、視界を全部奪うんだ!
普通のモブは大体プレイヤーと同じサイズか、それより小さい。
つまりは、縦3・横1ブロック。
あのドラゴンは、縦8・奥行き10・横4。巨体すぎる!
奈良の大仏が部屋に鎮座してる感じ。三畳の部屋にゴールデンレトリバーの成犬がいる感じ! 邪魔!
しかも図体がでかいのに、ゲームの仕様上、当たり判定が普通のモブと同じで縦3・横2なんだ。
有志のドラゴンはウなので、その「乗れる部分」にしか接触効果が発動しない。
他の部分はすり抜けるんだ。ドラゴンの内側に入ることもできるぞ! 元はポリゴンだからな。
つまりは「騎乗できる部分」である前足の辺りを叩かないといけないんだけど、洞窟の中なんかで出現されたら、どこが頭かもわからない。
もちろん、公式が作ったドラゴンは尻尾や羽まで全部に衝突判定がある。
『衝突判定がある』ってのは、「殴れる」「ダメージが入る」ってことだ。
天界の浮島の白竜は全身に衝突判定がある。最期の一撃が尻尾でも死ぬぐらい。
でも、有志のアドオンは、大体は馬を変形させるから、馬の部分しか衝突判定がない。
――それでも、でかい!
採掘でへとへとになって帰宅した時、ベッドの上にドラゴンが居たときの絶望感を理解してもらえるだろうか?
◆――AI副官ログ(AI LOG)――
[T+5250sec] 【AI副官デリミタ子】
──脅威解析:有志ドラゴンアドオン=『馬モデル拡張型』モブ。サイズ8×10×4ブロック。接触判定領域:縦3×横2のみ。
──危険推定:洞窟・室内湧き発生率 12%(湧き潰し半径128ブロック未達)。
──心理負荷:恐怖反応Lv2(呼吸乱れ・後退反射検知)。
──推奨行動:①照明補強 ②壁間湧き検証 ③一時退避(距離20ブロック以上確保)。
◆――AI副官が用意したコメント欄(ECHO-WALL)――
1. 「『三畳の部屋に奈良の大仏』で笑いと恐怖が同居した」
2. 「衝突判定の説明がリアルすぎて鳥肌」
3. 「有志アドオンの暴走が『神のバグ』に見える」
4. 「洞窟で竜と鉢合わせは、ホラーの極み」
5. 「ベッドの上にドラゴン、想像したくない絶望」
この回で『マイピ』は完全に『世界そのもの』になった。
次は、ドラゴンと炎の中で――現実の境界が再び溶ける。




