在庫ビッグバンと牛乳ゼロの朝
負の経験値地獄を抜けた先に待っていたのは、計算資源を焼き尽くす巨匠サーバーとインフェルノコア3個。ログイン初日で黒焔炉フラグが立った瞬間、人は次の星を欲する――それがビルダーの業である。
――黒焔炉から星焔統制炉へ――
もう一度『アイテム収集』しておいた。また、ごそっとアイテムに俺が埋もれ、クランのインベントリに一瞬で吸い込まれる。まだ伐採してるの? あ! また満腹度が減ってる! さっきから俺、ずっとココにいるのに!
「あ! そうか! 『デストロイヤーEX』って、伐採や掘削した範囲分のエネルギーを満腹度から使ってるんだった!」
前にも言ったように、『マイピ』はSDGsに則ってるので、エネルギー保存の法則もある。『ゼロから何かを作る』ことは基本的に許されていない。裏アドオンならそういうの関係ない本当のチートアイテムでまかり通ってる。でも公式サーバーで販売するなら、ちゃんと、「不思議動力の源」を設定しないといけないんだ。大体のアドオンは満腹度をエネルギーにする。つまりは飲食物がエネルギー源ということだ。
「この一括破壊アドオンも、伐採や堀削の処理が続いている間、一分で全体の10%の満腹度が減るんだよ。
さっき『伐採を最大範囲』でやったから……いつもノーマルぐらいでやってるから、一分以内に処理が終わってたから、満腹度が減っても1。だからその心配したことがなかったんだよな……みかんは山程あるし、2減ったときにみかん一個食えば大丈夫だからいいんだけど……走り回ってるわけじゃないしな。
そのうえで……もしかしなくても、まだ、『伐採が終わってない』んだ? あんなに何十万個の丸太があったのに?」
「伐採最大」は「葉っぱや樹木の幹などが5ブロック以内にある場合、連続して伐採する」だ。つまりは、ちょっとした森は丸裸になる。砂漠とか、サバンナとか、5ブロック以内に葉っぱが無いところで止まるんだろうけど……
「森がまったく無いところは全然ないけど、あるところは一面森だからな……もちろん竹とかも樹木の一つだからつながってる。ヤシの木、ジャングル、竹林、樺の木、白樺、タイガ……と暑いところから寒いところまで、森がつながってることはあるかもしれない」
以前使った時は、半径32ブロックしか伐採できなかったはずなのに。
「マイピのマップは色々あるが、地上界は基本、地球を模してる。日本人は「すぐに海がある」と思うが、ユーラシア大陸って日本の側からイギリスの近く、アフリカまでつながってるんだぞ? 海を知らないやつのほうが多いんだ」
でもなぁ……「最大」といってもサーバーの処理能力の限界がある。ゲームが処理オーバーで止まる前に、『マイピ』は自動でそれをカットして、「ココまでしかできなかったよ」とメッセージを出して先に進むゲームなんだよ。
「そうだよ、『マイピ』は『サーバーの演算能力に比例してゲームが自動で拡縮する』んだ。
どういうことかというと、一般人のパソコンだと、NPC100人もいるとアニメーションがカクカクになる。『マイピ』は、「アニメーションがカクカクになる前に、それ以上はNPCが発生しない」のだ。
あと一人NPCを設置するとカクカクになるなら「これ以上NPCを追加できません」というメッセージが出て、実際に設置できない。余裕があれば、NPCは食料が余っていれば一日に三人の子供を産むけど、処理能力上限に引っかかるなら生まれない。
処理を常に把握して自動で処理中断をする。それが『マイピ』サーバーの能力の1つ。だから、その処理能力内でプレイするなら快適に遊べるんだ。
最悪なのは、やすいパソコンでどうにか星冠時代までやったとき「この環境ではこれ以上堀削できません」って地下2000ぐらいまでしか掘れなかった! という報告が『ピ板(『マイピ』コミュニティ掲示板)』によく出てる。「カクカクでプレイする」ということを許してくれないのが『マイピ』。もちろん、デフォルトの初期設定で「処理過剰ストップ機能をオフにする」がある。そうなるとカクカクでもプレイできるけど、ダウンする確率も高くなる。
でも、俺のサーバーだと、一億人の国家が5つあってもスムーズなんだ。そのためにワークステーションを組んでサーバーを作り上げたからな!」
『マイピ』に人生賭けてます!(握りこぶし)
とりあえず、夢がなくて死にそうなので、「まずは、工業の最終兵器……『《終焉の黒焔炉》虚無核融合機関』を作るぜ! たぶん、何年もかかるだろうけど……オレは諦めない! そして、そこまで生き抜いて、そのあとの最終戦争も勝ち残るんだ!
……と、宣言したのはほんの数分前のはずだったんだが、……インフェルノコアの材料が手に入ったので、…『《終焉の黒焔炉》虚無核融合機関が、早晩3つ作れる。
今、ログイン初日なんですけど?
なので、次の夢として、『《終焉の黒焔炉》虚無核融合機関』の魔法バージョンアップ版、『星焔統制炉:アンビエント・ゼロ』を作ることを目標にしよう。全界のアイテムを大量に収集しないと作れない。『《終焉の黒焔炉》虚無核融合機関』にさらにインフェルノコア、ノクスシルバー板、ソルフェリウム導管、マナ濃縮石柱、アースバイン結晶核を乗せて、こねて叩いて丼! どんぶりになった! ドン! これは流石に地上界だけでは作れないから、今すぐアイテムが揃うなんてことはないはず。
これは、『KIWAMI』での新アイテムだから俺もまだ作ったことがない。うん。目標として妥当だろう。
「違うだろ!(心理描写→ デスク、を拳でドン!) なぜ、限界突破のモチベのためのアイテム作成のランクを自分であげなければならないのか!」
おそらく現時点で、「今日を生き延びる」ことは成功した。このままココでカウチポテトして、ここらへんがどこかのNPC国家に制圧されたとしても、その国の国民として登録してもらえば、俺の命はある程度大丈夫。俺は『抵抗』せずに『降伏』すればいいだけだから。そこまでNPC国家は鬼じゃない。最初に出会った斥候や村人を殺したりとかしない限り…………フラグか?
危ないことをすると地球の俺の命も危険、というか、ゲームに入ってるのに地球の俺の身体のことも考えなきゃいけないとか!
ラノベの「ゲーム転生」はそうじゃないだろ! 地球のこと、考えなくさせてくれれば気楽だったのに!
いや、その御蔭で、第一クランのインベントリで明らかに楽になってるんだから、そこは感謝するべきところか。
ふむ。
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■AI副官ログ(AI LOG)――
\[T+6 040 sec] 【AI副官デリミタ子】
─ 一括破壊EX:処理チャンク 11→5(残 6)。
─ 満腹度 34 % → 12 %(消費 22 %)。体力 –2 HP。
─ ベッド/枕:未所持。睡眠回復不可。
─ インフェルノコア保有数:3 unit(黒焔炉要件達成)。
─ 星焔統制炉パーツ進捗:5 %(素材総数計算中)。
─ 推奨:①緊急栄養摂取+簡易寝具 ②体力 50 % 以下で伐採停止 ③国家接触時=降伏プロトコル準備。
◆――AI副官が用意したコメント欄(ECHO-WALL)――
1. 「初日でインフェルノ3つは草。」
2. 「黒焔炉→星焔炉、スケール急上昇!」
3. 「満腹12%は死亡フラグ見えてるぞ。」
4. 「国家に囲まれたら即・土下座了解!」
5. 「ドン!で完成する鍛冶式ほんと好き。」
体力削りながら夢は膨張。次回は「満腹12%からの立て直し」と「星焔統制炉素材狩りロードマップ」に着手予定。コメントで簡易寝具の裏ワザとマナ濃縮石柱の楽な量産法を大募集中!




