静かに生活インフラが詰んでいく音
負の経験値バグ、在庫ビッグバンを乗り越えた次の難関は『寝具ゼロ』。拠点奥に移設した大かまどは安全策かつ温度トラップ。50万のみかんを抱えつつ、プレイヤーは羊毛を渇望する。
――50万のみかんと燃ゆるカマド――
いつもは「洞窟拠点」なんて本当に一時的だから、大かまどなど置かずノーマルカマドで暫定的に木炭を焼くだけ。だから出入口のそばに設置していた。だが今日は漏斗を組む予定で奥に配置した――過去の俺、ナイス判断! これで出入りのたびに火傷しなくて済む。
「次は食糧問題か? みかんがあるからとりあえずはいいか?」
クラン倉庫にみかんが50万個以上。問題なし……いや、売りたい。売るには国家創設か、どこかの国家に寄生して店舗を出すしかない。今は無理! 腐らないようチェスト行き。第一クランのアイテムボックスも〈保管庫〉なら時間経過しないが、今どこに入った?
【第一クランオーナーはアイテムボックスを 55,000ポイントでランクアップ済み。山崎様の出し入れも自動振り分けされます】
また天の声。
「どこ情報?」
【シュトラウス大佐情報です】
婚約者案件なら納得だが、5 万ポイント!? 俺は数百しかなかったぞ。あの人、本気で世界を支えているんだな……。
体力が1減ったのでみかんを一つ食べる。みかんは満腹度は上がるが体力は回復しない。寝るしか無い――ベッドマットを作らねば。羊毛――ッ!
「樺を伐採すると一定確率でみかんがドロップする。序盤の楽々食料! 肌は黄色くなるけど見た目だけだ、気にしない!」
次は……? 脳裏をよぎる再警告。
【このゲームで死んだら地球のあなたも死にます。せいぜい長生きしてください】
善意なのか悪意なのか。だが、このメッセと「シュトラウス大佐情報です」が同じ出所に思えて仕方ない――。
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■AI副官ログ(AI LOG)――
\[T+4 120 sec] 【AI副官デリミタ子】
─ 大かまど表面温度:630 °C(接触ダメージ 1 HP)。
─ みかん在庫:+500 k stack(保管庫側)。
─ プレイヤー満腹度 64 %/体力 87 %(睡眠不足)。
─ ベッドクラフト要件:羊毛 ×3 → 未達成。
─ リスク評価:夜間探索前に寝具確保を推奨。
◆――AI副官が用意したコメント欄(ECHO-WALL)――
1. 「50万みかん=農協超えwww」
2. 「肌色バフ:ビタミンC耐性+?」
3. 「大佐ポイント5万…愛が重い」
4. 「火傷ダメ1で済んだの奇跡」
5. 「羊毛ガチャ頼むぞ明日!」
インベントリ問題がクラン倉庫で解決した途端、生活インフラが牙を剥く。『寝る場所』は最強レアより尊いことを痛感した。次回は草原生成と羊・牛探索、そして大佐発メッセージの発信源を追う。コメント欄で羊毛量産法とみかん転売テクを授けてくれ!




