この世界に、朝食はまだ存在しない
2400本の松明を積み、倉庫を拡張し、火床を起動――だが『ログアウト不能』の一点で安心は得られない。負の経験値が牙を剥き、木材は宇宙、日常は飢餓。今、真に希少なのは羊毛と牛乳だ。
■副題:レアは溢れどパンは焼けず――
■Kiwami日記 〜レアアイテムはあるのに、生活はできない〜
【第1日目】
「ノーマル牛がいないという事実に、世界がどうして沈黙していられるのか」
森は語らない。魔樹の実は降ってくる。ヤクはいた。角がすごかった。
けれど牛乳がない。
パンは作れない。バターは塗れない。生きてるのに『朝食』がない。
【第2日目】
「ルーンブロッサムを抱えて餓死する俺」
レア植物だけは元気に咲く。香りで気力+5。だが満腹度は1のまま。
KIWAMIとは『選択肢があるように見せかけて、選ばせない』モードである。
【第3日目】
「風呂も寝床も無いのに、魔法精錬炉だけは組める世界」
魔石の破片を拾い、精錬炉は完成。だがベッドがない、羊毛がない。
『魂を焼く炉』はあっても『身体を休める布』が無い。文明は魂から先に燃えるのか?
【第4日目】
「ノクスの祈塔が建った。でも、住人は影しかいない」
闇は封じた。祈塔も完成した。だが羊はいない。
NPCは「闇を制御せよ」と言うが、俺は毛布の暗闇に入りたいだけだ。
【第5日目】
「ノーマル牛に会いたいだけの人生だった」
サボテン丸太、魔樹の葉、精霊の実――輝いていた。だが今なら言える。
「便利の美しさは、無い時に初めてわかる」
牛乳を飲みたい。バターを塗りたい。眠りたい。ただそれだけだった。
次回配信予定
* NPCと初めて魂リンクした日
* 交易で「羊毛1:妖精の実50」という地獄レートに遭遇
* 終末イベントに向け「牛乳がないまま終わるのか俺の文明」と叫ぶ回
さて、話を戻そう(しれっ)。
俺の目下タスクは――ノーマル牛の確保である。
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■AI副官ログ(AI LOG)――
\[T+2 940 sec] 【AI副官デリミタ子】
── 満腹度 8 % → 6 %(一括破壊EX燃料消費)。
── 睡眠不足デバフ:残り 420 sec。
── 『ノーマル牛』スポーン率 0 %(現在地=泥炭→草原転換待ち)。
── 第一クラン倉庫:丸太 15.9 M stack、みかん 0.52 M stack。
── 推奨:①草原形成を最優先 ②簡易枕クラフト ③夜間行軍は避けよ。
■AI副官が用意したコメント欄(ECHO-WALL)――
1. 「レアで腹はふくれんとはこのこと。」
2. 「牛乳=SSR級レア食材説爆誕。」
3. 「Kiwami日記、書籍化まだですか?」
4. 「デリミタ子の牛レーダー実装希望!」
5. 「次回『牛乳文明終末論』楽しみにしてるw」
在庫は銀河級、なのにベッドもミルクも無い世界。次回は『草原化&家畜誘導』で文明を人間レベルまで引き戻すフェーズに入る。コメント欄で序盤ベッド確保術と牛ルアー配合レシピ、切実に募集中!




