俺はまた、誰かの経験値を奪ったかもしれない。
火床を灯し、森を刈り払い、倉庫を積み上げても終わらない不安。ログアウト不能の世界で、今度は『負の経験値』が牙を剥いた。嘔吐、赤フラッシュ、経験値逆流――静かな拠点で進行する狂騒を、君は耐えられるか?
■副題:嘔吐と経験値逆流の檻――
とにかく今は吐いたけど、『みかん』を山ほど口に突っ込む。満腹になって体力の減少は止まったが、気分の悪さは収まらず、もう一度嘔吐。それでも満腹度は減らない。
――食べ物が「口を通り抜けた」「口に入った」「食べる動作をした」いずれかで満腹度が上昇する――という、やるつもりのなかったテストが完遂してしまった。
「それにしても、経験値取得がマイナス? プラスに戻すにはどうする?」
独り言のつもりが、視界上部に回答が現れた。
【あなたのクランのポケットボックスにアイテムが過剰搬入されました。容量を減らすと経験値マイナスは解消されます】
全体メッセが流れる場所と同じ、存在感ゼロのテキスト。そんな大事なことをそんな所に!? 過去にも重要情報を見逃していたのでは?
慌てて〈マイクラン〉からアイテムを外に出すと、不快感がサッと消える。――ゲーム内なのに、地球のステイタスボードが機能しているってことか?
【あなたはポケットボックスにポイントを割り振っていないため最低容量です。ポケットボックスは経験値で容量を維持します。収納中は経験値が永遠に消費されます】
無料無双アイテムボックスなど存在しない現実!
「成長が遅くなるってこと?」
【はい。今回のように経験値マイナスで、超過するとレベルダウンし、体調不良が発生します。最悪、死にます】
ノロウイルス集団感染の地獄がフラッシュバック。嘔吐は本当に最悪だ。
空が黄色く染まり――正午。『アイテム収集』オン。
また伐採アイテムに埋もれ、一歩左へ避けインベントリを開く。そして、俺のクランをインベントリで開けてるとまたああなるので、うっかり第一クランのインベントリを開いたまま山へ再突入――
なんということでしょう! 山のようなアイテムがすべて第一クランに吸い込まれた。開いているインベントリに自動搬入される仕様らしい。マイクランを開いていなかったのは不幸中の幸い……思い出しゲロしそう。
「でも第一クランオーナーの経験値がマイナスになるんじゃ?」
【第一クランオーナーは〈アイテムボックス拡大〉スキル保持のため、あなたほどのダメージは受けません】
安心した途端、視界に追加メッセージ。
【裏情報ですが、】
――どこ情報だ?
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■AI副官ログ(AI LOG)――
\[T+1 388 sec] 【AI副官デリミタ子】
─ ポケットボックス容量超過:解除確認。経験値ドレイン停止。
─ プレイヤー状態:嘔吐フラグ解除、残存デバフ〈眩暈〉10 sec。
─ 第一クラン倉庫:搬入 +12 743 stack(樺丸太 82 %)。
─ リスク評価:オーナー側負荷=軽微。
─ 推奨:ポケットボックス拡張ポイント振り分け、又は外部倉庫増設。
■AI副官が用意したコメント欄(ECHO-WALL)――
1. 「嘔吐バフならぬデバフ、実装済みだったか…!」
2. 「無料ボックス神話、ここに崩壊。」
3. 「赤フラ→黄空→ゲロ、色彩情報だけで地獄。」
4. 「裏情報ください(膝)」
「無料のアイテムボックス? そんなもの、我が世界には存在しない!」――という厳しい現実をお届けしました。次回は〈裏情報〉の正体へダイブ予定。ポケットボックス拡張のコツや嘔吐トラウマ克服法、コメントで待っている!




