チェストを作っても、作っても、作っても。
今回のエピソードは『森の経済学』をチュートリアル風にまとめてみた。序盤から伐採計画を立てないとハード以上では詰む――そんな経験者の悲鳴をネタに、初心者読者も「とにかく木!」を覚えてもらえれば嬉しい。
■副題:伐採は国を救うか滅ぼすか――
ドアの飾り窓から見える空に鳥がよぎった。ジャングルのカラフルなインコだ。鳥は何種類かいるけど、食えないし使えないから全然覚えていない。俺はコレクション欲がないからな。
最初にアドオン無し・チート無しで『マイニングラフ』をプレイしたとき、「公式実績」を全部取得した。そのついでに「全アイテム制覇」もやった。ただ、『マイピ』では無理だ。AI管理が入ったことでユーザーの新アイテムが毎日公式化されるから……いや、そのAI導入の寸前、まだアイテムが少ない時期に完全制覇はした。だから『マイピ』でも「第一次公式実績達成者」のバッジはもらっている。「第一次」だ。わかるな?
AIが入ってアイテムが増えてきてからが第二次。そこからは俺はもうアイテムコンプリートなんて諦めた。ここらへんは国が安泰になってから必要になってくるので、また後で説明する。
まだ外は明るいな。外が明るくなったら活動しないといけないから、『朝を早く知ること』はベッドマットや枕が無い時は必須なんだよ。念のため、もう一度『アイテム収集』をしてみたら、また俺が埋もれた。チェストを作らないといけない。
チェスト一つで45スタック。二つくっつけたミディアムチェストで99スタック。三つくっつけたビッグチェストで153スタック収納できる。ビッグチェスト三つで『ラック』が作れて、540スタックを収納できる。だから、ベテランの『マイピ』界隈では「チェスト」といえばビッグチェストのことだ。
1スタックはゲーム開始時は32個。つまりビッグチェスト一つで4,896個のアイテムを収納できる……はずなのに、三つ作っても伐採した丸太が余ってる。1スタックの数は技術を上げれば、『時代』ごとに32から2のべき乗でランクアップする。『KIWAMI』の最新バージョンでは、新時代『星環時代』に1スタックが65,536個になるのだ! すげー! と喜んでばかりは居られない。わかるよな? つまりは、その頃には、七万個以上を必要とするレシピが出現するということだ。
ふと洞窟の外に出て、先ほど伐採した丘――いや、左の森を見ようと思ったら、パンダの向こう、真正面の森もなくなっていた! 全部森だった場所が草原に! しかもまだ「あの地点」に伐採したアイテムが飛んできている!
「『伐採モードの最大範囲』が半径100ブロック以上ってことか! すごいな!」
そして伐採でも霧が晴れるっぽい。山の向こうまで霧が晴れてる! ワッショイ!
『プレイヤーが世界を動かした』部分の霧が晴れるのだから、「伐採した樹木の葉っぱ部分が霧を晴らす」というのは妥当だな。森を見つければ一括伐採で一気に視界が開ける。朗報!
「伐採」には三つ以上の意味がある。
1. 自分の資材にする。
2. 開拓する(建造物を立てられる場所を確保する)。
3. 敵の資材を減らす。
4. 暇つぶし。
丸太を「俺が伐採」すると敵は利用できない。遠回しに「敵の弱体化」になる。掘削も同じ。先に掘削してしまえば敵の手に渡らない。逆に言うと「敵に先に取られたら終わり」。だから、何事も早く速く! ハードモード以上はスローライフなんてナニソレおいしい? の世界だ。
とにかく「樹木」は何にでも必要だ。ツルハシやスコップの柄、松明、家具、塀、建材。果樹は食べ物にもなるし、特定の樹木にしか湧かないモブもいる。そして「燃料」。
燃料にも種類がある。
・一瞬で燃え尽きる「枯れ葉」。
・枯れ葉よりはマシな「細い枝」。
・その倍もつ「中太の枝」。
・「棒」よりは細いが長持ちする「太い枝」。
・ランダムで火が消える「生木」「草」「花」。
・砂漠でよく湧いている「原油」。
・あとは「化学系燃料」や「プラスチック」。
序盤の燃料は植物系しかない。樹木を洗いざらい敵に伐採されると国家は立ち行かない。燃料がないので焚き火すらできず、肉もパンも焼けない。棒がないからツルハシやスコップを修理・新造できず、家も建てられない。ドアや塀の修理ができなければ夜にモンスターが侵入し、村壊滅・国壊滅だ。
農民は食糧が無いと餓死していくが、軍事系は略奪と破壊に走る。チェストを壊して国宝を身にまとった山賊団の出来上がり。国主アレキサンダーがこうしてよく国を滅ぼされている。
『伐採』。たかがこの二文字ができなくなるだけで国が滅ぶのだ。
だから森は見つければ伐採してしまったほうがいい。そのあと塀を拡張し、塀の内側で植林してさらに伐採する。そのルーチンが良い。
『マイピ』ではそういうことを『専門家』NPCで自動化できる。昼間動いてくれる『伐採家』『植林家』『養蜂家』、そして塀を自動拡張する『拡張家』などだ。『拡張家』が塀を自動で拡大してくれる。最初に囲った塀の外側に「空白地」があれば、塀を設置し、看板を立て、内側の塀を破壊する。それを自動で実行してくれるのだ。NPC国家はそうしないと国を拡大できない。そしてNPCが使えるものはプレイヤーも使える。NPCはとても便利!
ただ、『カオス御技』は『ボッチプレイ専用御技』なので『専門家』をほぼ使えない。狩人や農家など第一次産業系は使えるが、第二産業系は使えない。だから「工業化」という系統がある。ドローンでNPCの代わりを作るのは簡単だが、そのためには「電力」が必要で、これもまた大変だ。
――そして問題です。インベントリに見たことのない『タブ』があるのです。
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■AI副官ログ(AI LOG)――
\[T+540 sec] 【AI副官デリミタ子】
──伐採モード・推定半径:100+ ブロック。
──森林消滅率:+41 %(周辺チャンク換算)。
──視界霧クリア範囲:+3 チャンク拡張。
──インベントリ新タブ〈UNKNOWN〉検出。解析中……
──危険度:環境変化のみ、敵性反応なし。
■AI副官が用意したコメント欄(ECHO-WALL)――
1. 「森が草原に転職してて草。」
2. 「新タブとかもうフラグしか感じない。」
3. 「パンダ、家失ってない? 大丈夫?」
4. 「伐採=国家運営ってスケール感すげぇ。」
ついに謎の『新タブ』が登場。次回はこれが何なのかをAI副官と一緒に深掘り予定! コメントで「タブの正体はアレでは?」みたいな考察をぜひ投下してくれ!




