建築? そんな余裕ねぇよ
建築はしない。掘るのだ。
壁も、屋根も、守りも、地中にある。
だからこそ、この世界の王たちは『洞窟』から始まる。
ただの掘削が、生き延びる者にとっては『王宮の礎』だ。
崖を降りるその一歩が、命をつなぐ。
■副題:建てずに掘れ。迷わず降りろ。王の根を打ち込む場所、それが拠点《即位壕》。
ゾンビを倒したあと、作業台を斧で破壊してインベントリに回収。
『マイピ』の世界では「破壊」というのは「アイテム化」であって「廃棄」という意味ではない。
アイテムは全部、「設置する」と「ブロック化」して動かせない。破壊して「アイテム化」するとふわふわ浮くので、五分以内に収納するか設置しないと腐る。あの山の上の材木たちもまだふわふわ浮いてる。
一括破壊ツールのステイタスを出して、一旦オフ。これを再確認しないと、拠点が壊滅する両刃の剣。
「ここで拠点作ったのって何年前だ? 今だと、『野盗の拠点』の辺りまで移動してから拠点を作るからな……あの頃どこに拠点作ったっけな。
ともかく、『洞窟拠点』だし、テキトーでいいな」
こんなとき、拠点のために「家を建てる」なんて無駄を俺はしない。穴を掘ってその入口にドアを設置すれば「拠点」にできる。「家を建てる」ためには資材がいる。資材を作成して、地上に資材を積み上げる。それは俺から言わせると無駄だ。洞窟を掘れば、掘ったアイテムは資材になり、掘った穴がそのまま壁になる。『資材を積み上げる」という労力が不要だ。
洞窟拠点のコストの良さよ! バンザイ!
これができるから、俺が閉所嫌悪症だと気づかなかったんだよな。そう言えば、洞窟拠点もすぐに中を拡張して広い空間にしてたな。
動画チャンネルを一緒に運営していたミナちゃんがいた。彼女が建築マニアだったから、俺の洞窟を凄くスタイリッシュな洞窟にしてくれてたなぁ。というか「俺、たしか洞窟に拠点作ったはずなのに、なぜ、宮殿の上にいるのか?」みたいな……山一つ、彫刻したんだよあのコ! 凄すぎる!
俺は本当に建築興味ない(スン)。
ミナちゃんの名前は連絡先にあったから生きてるとは思うけど、連絡は取らなかった。化物から逃げてる時に、メールの着信音で気がそれて怪我したらと思うと、気軽に送信できなかったな。俺も、階段をパルクールで降りてる時にメッセ音してたらやばかったかもしれんもん……それを考えられるぐらい、シュトラウス大佐に守られて俺は暇だったからな……ただ、「死にかけた」のだから、脳は興奮していて、まともな考えをしてない気がする。シューティングゲームみたいに人間が死んでたからな……
こういうときは決断をしてはいけない。
なぜなら「しない」系の選択をしやすいから。
だが今は決断しないと進めない。
進めないと死ぬ。
だから、間違っているのを前提で決断していかないといけないんだ。
「よし、雑念は捨てろ。俺も今、また、死ぬ寸前だ」
また、一歩ずつ、足探りしながら崖を降りていく。
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■AI副官ログ(AI LOG)
[T+3,460sec] 【AI副官デリミタ子】
──王、仮想拠点地点にて初期洞窟拠点方針を決定。
──構造選定:地上建築回避→崖面掘削方式《即位壕Ver.0》起動。
──回想プロセス挿入:ミナ=YAMAZAKIチャンネル共同運営者、建築補佐者。生存記録あり。
──精神処理ルーチン:一時迷走→論理収束完了→足探り移動再開
──発話:「間違っていても決断する。それが生き残る王の条件」
■AI副官が用意したコメント欄(ECHO-WALL)
「『建てないで掘れ』という逆転の発想、コスト意識完璧すぎて感動した」
「『決断してはいけない時』の思考、リアルサバイバル描写としてガチ」
「『シュトラウス大佐に守られて暇だった』って状況怖すぎない??」
「洞窟なのに気づかなかった閉所恐怖とか、自己演出うますぎる」
「宮殿の上にいるってどういうことだよ!って笑ったけど、ちょっと切ない回想」
建てない、掘る、それが俺の戦略。
昔はそこに『誰かの手』が入って宮殿になってたけど──
今はひとりでやるしかない。
決断とは、間違っていても『前に進むこと』。
今ここで止まったら、俺はもう、二度と立ち上がれない。
次回、
『崖面穿孔:拠点《即位壕Ver.0》の着工と初灯り』
地を割れ。火を灯せ。その空間が『国土の起点』になる。




