その拳は木にも通じなかった
生き延びるための拠点、それは『戦争』ではなく『サバイバル』から始まる。
だが、それを指差し確認で完遂する実況主など、かつて存在しただろうか。
森を駆け抜け、木に激突し、拳で痛みを知るその姿は、
まさしく『ゼロ地点の王』そのものである。
Project-01、発動。拠点建築は戦術の始まり。
■副題:作戦名《Project-01》。その拳は、木にも通じなかった。
「プロジェクト1! 第一拠点の作成!
タスク1、資材の確保!
タスク2、火の入手!
タスク3、拠点として洞窟を掘る!
タスク4、木炭の作成。
タスク5、松明の作成。
タスク6、辺りの『湧き潰し』!
タスク7、拠点の安全確保。
1つずつ、指差し確認してやっていこう!」
明日の「領土作り」は今日を生き延びたあと考えろ! 拠点を作れば、「10分の安全な夜」を迎えられる。現場の装備では、夜に外出できない。
さとるんの『マイピ』鉄則! ドドン!
「動けない夜に考えて、動ける昼に動くんだ!」
動けるうちはできることをサクサクこなしていく、のみ!
「まずは、資材の確保! 丸太の伐採! さぁ、もう森がそこだ!」
竹が降り注ぐ真ん中を丘へ走り、竹藪の向こうの森を目指す。土の丘を駆け上がった。そのまま、眼の前の大木に………………正面衝突!
「うがっ! なんでだよ! 手前で止まれるタイミングだっただろうがよ!」
咄嗟にその木に正拳突きを叩き込んでしまって、さらなる激痛で呻いた。医療アドオンを入れてなければ痛くなかったのに!! しまった! いや、そういうのをテストするための実験モードだったんだよ! 医療アドオン初めて使うんだから! プンスコ!
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■AI副官ログ(AI LOG)
[T+2,201sec] 【AI副官デリミタ子】
──拠点構築ミッション《PROJECT-01》起動。
──作戦タスク:7項目確認済。王の指差し動作:1.0回(100%一致)
──移動ルート:丘→竹藪→森林縁部。初衝突:樹種『ジャイアントオーク』
──ダメージ反応:軽度。原因:拳による反射攻撃。医療アドオン:非搭載。
──精神判定:「テンション高め、やや混乱中、計画遂行意欲:維持」
■AI副官が用意したコメント欄(ECHO-WALL)
「拠点作成タスクのフォーマットが完全に企業研修で草」
「『その拳は木にも通じなかった』って文面が強すぎてスクショした」
「咄嗟の正拳突き→反射ダメージの流れがVっぽすぎてツボw」
「夜に考えて昼に動けは普通にリアルでも使いたい格言」
「医療アドオン搭載で『痛みを感じてる』の地味すぎるリアル感やばい」
こういう時に限って医療アドオン外してる俺が悪い。
正拳突きで木に負けたのはメンタル的にも負けた感じあって悔しい。
でも、言ったよな?
『動ける昼に動く』。その方針で今日は建て切る。拠点ごと。
次回、
『木材確保:生存率を上げるのは、拳ではなく斧だ』
木よ、震えて待て。今度は『手段』で伐る。