表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/15

おかえり

 ──もし、自由に飛べる翼があったとしたらどこに行く?


 かつて君が投げかけてきた問いだ。僕は北海道か、あるいは沖縄なんて良いかもね、とありきたりな答えを返した。君はそんな僕の返答を聴いて、旅行が好きな君らしい答えだねとふわりと微笑んだ。

 じゃあ君はどこに?と訊けば、私は君のそばに行くよ、と返された。あまりにもまっすぐな答えに、言われたこちらが顔を赤くする羽目になった。


 それから数ヶ月、君は僕より先に旅立ってしまった。旅行が好きな僕でも決して追いかけられないところに、たった一人で。

 旅立つ前に君は言った。先に一人で行ってくるね、と。そんな君に、僕は笑っていってらっしゃいが言えただろうか。きっと涙でくしゃくしゃの顔だっただろう。


 君が居なくなってから、僕は君の写真を持って北海道に行った。沖縄に行った。でも、どこに行くにも飛行機だった。僕には翼が無い。だから行く先は限られている。

 でも、君はきっと綺麗な翼をもった天使になっているだろう。その翼を羽ばたかせれば僕が飛行機に長い時間揺られて向かった北海道だって、沖縄だってひとっ飛びだろう。だから、その翼で、僕のそばに飛んできてくれないか。


 いつか、あの時に言ったいってらっしゃいに返す、おかえりを言える日が来ますように。


 ──お題:飛べない翼──

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ