神の如き強者(アザゼル)六
「面白い?」
「うん。昨日はここの廊下はこんなに長く無かった。昨日のままの廊下からもうエレベーターに辿り着いている。それに部屋の数も昨日とは違う。ここは三階、
だが、僕達がさっきまで居た部屋は昨日の時点で、五階の部屋だった筈だったんだけどね」
「⋯⋯確かに面白いな」
廉はデュラークのその話を聞いて、この防衛局内の異常性を理解した。魔法が誰でも使えるこの世界で、魔法以外の能力、異能、超能力等の力はここ一年で突発的に増えて来た力であり、建物等には世界共通で魔法によるコーティングや、外へと通じる魔法陣が存在しているが、この建物の移動方法は徒歩とエレベーターが採用されている。重要な建物なら、世界共通で窓や扉等は存在せず、出入りや部屋の行き来は設置された魔法陣での移動がメインになるのが、この世界共通認識なのだが、この防衛局内はそれとは異なる設計をしている。
「俺達がさっきまで居た部屋の空間を広げた様にこの建物内の空間も弄られているな?」
廉の言葉にデュラークは少し間を置き答える。
「⋯⋯空間がネジ曲がっている事実に気づきますか?」
「それは、最初に空間拡張された部屋を見たからな。あれが無ければ、何言ってんだ?って思っているさ」
「なら、ここは入り口と言って理解できますか?」
「⋯⋯何言ってんだ?」
「ですよね。ここは文字通り入り口です。ここは防衛局の人間なら誰でも出入りが許されています。外部にここの情報を渡されても、毎回ランダムで部屋が入れ替わり、廊下の長さ、幅が変わるこの建物は皆入り口と呼んでます」
「⋯⋯何でここが入り口になる?」
「ここにはここでしか行けない別空間が存在しています」
「⋯⋯それでここは入り口か」
「はい。ここは防衛局の入り口で用途によってこことは異なる別空間への入り口があります。上層部の人間のみが行ける空間。トップのチームが住む空間。護衛対象を匿う空間等さまざまな入り口へと通じる場所がこことなります」
デュラークの話を聞いて、廉は首を傾げていた。
ここはデュラークの言う様に全ての重要な拠点に通じているなら、ここは占拠されれば全ての出入り口を敵に良いように扱われる危険性がある。
「なんで、ここを全ての出入り口にしたんだ?」
「確かに危険性はあります。裏を返せば自信の裏返しとも捉えられるでしょう」
「自信満々かよ。会いたいねぇ⋯⋯どんな面してふんぞり返ってるんだ?何をもってして、俺を顎で使う」